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トロント北郊の小さな村でアウトドア・アートショーに参加したワイフの話

昨日(9月18日)は、たぶんこれから長い間、忘れられない経験をしました。

絵を描く私のワイフが、3年余前に我々が住んでいたトロント市東部のコンドミニアムから、今のマーカム市の家に越した際、それまで借りていたスタジオを引き払い、新しい住まいのベースメントで、かなりスケールダウンして絵を描いていました。

それまでの、古い建物ではあっても、広くて天井の高かったスタジオに比べて、窓のないベースメントの一角の”スタジオ”では、かなり創作意欲も減退したかに見えていましたが、それでもワイフは、折を見て描き続けていました。

そんなとき、前から親しくしていたポーランド系カナダ人の夫妻(奥さんはアーティスト)から、「私たちが関係しているアウトドア・アートショーに参加してみないか」と声がかかったのです。9月18日(日曜日)に、Schomberg (ションバーグ)という町(村?)で開かれるというのですが、この地名は、ずいぶん昔、コリアンハイキングクラブのメンバーたちと一緒にトレイル歩きをしていたころ、帰途のドライブの途中に通過したことがあった、といった程度の記憶しかありませんでした。

ウィキで調べたら、ションバーグの人口は約2700人というから、これは完全に村ですね。1830年代に当時の米国ペンシルベニア州に住んでいたアイルランド系の農民たちが移住して開拓した所だそうです。けっこう歴史のある村ですが、周辺をドライブするとすぐわかりますが、広大な農地に囲まれた小さな村のイメージです。

とにかく参加費が超安い(ただし、参加条件の作品陳列テントは購入)し、審査とかはいっさいなしだった(友人夫妻の口利きの効果)ので、「まあ、気分転換と、最近、書き溜めた作品を並べてみたい」といった、割と軽い気持ちで「ションバーグ・ストリート・ギャラリー」に参加することになったのです。

「ションバーグ・ストリート・ギャラリー」の宣伝パンフレット表紙。

1日限りのアウトドア・ショーですから、とにかく天候については神様に祈る気持ちでした。予報では50%以上の率で雨が降るとなっていたのです。私たちの車と息子の車にテント関連その他の荷物、大小の作品25点を積み込んで朝6時30分に出発、約45分のドライブの後、現地の会場に到着しました。同村の狭いメインロードを車通行止めにして、午前10時にアウトドアショーはオープンになります。入場は無料です。

曇り空で今にも雨が降り出しそうでしたが、とにかく粛々とテント設営から絵の壁掛け(壁はなくて、太めの金網を使用)まで、なんとか10時のオープンには間に合いました。私は前週のトレイル歩きで転倒事故を起こし、腰が痛くて体が思うように動かず、ワイフもいろいろ持病の神経痛のような症状があり、息子のヘルプなしには何一つできませんでした。

ワイフのテントです。全部で25点並べました。

10時から2時間ぐらいは雨雲が低く垂れこめていましたが、なんとか降らずに済みました。しかし、その後、1時間前後、ついに小雨が降り始め、だんだん本降りになってきました。ワイフの絵はほとんど全部アクリルですので、雨には平気です。ただ、見物人の皆さんはやはり、雨には敏感で、それまでは結構、小さな村の割にはそれなりの人出があって、何人かの人たちはワイフのテントの中まで入ってきて、熱心に見てくれましたが、本降りになりだした途端、”客足”はめっきり減りました。

周囲のテントの中を見て回ると、このアウトドア・ショーは「アート・ショー」というよりは、「クラフト・ショー」と呼んだ方が適切ではないかと思いました。中には、それなりのアーティスティックな作品(絵)もありましたが、決して「上から目線」の言い方ではありませんが、多くの作品は十分にアカデミックな修業を積まれたアーティストのものとは思えないように感じました。

そういう意味では、ワイフの作品は「間違った会場」で披露されたかと思います。それでも、というか、それだからこそ、と言った方がいいかもしれませんが、ワイフのテントに立ち寄ってくれた方々の多くは、「あなたの作品は違う」と言ってくれました。

私のワイフとその作品です。

違いが分かる人々が、この小さな村にもたくさんおられるということを知ったのは収穫でした。

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