キャリアとは何か?を自分なりに考えてみる

留意事項

しがないエンジニアの独り言です。ダラダラ書いていますし、言葉足らずなところもあるかと思います。
読まれる際は「お前がそう思うんならそうなんだろう、お前ん中ではな」ぐらいの気持ちでいると良いかもしれません。

結論

長々書きそうなので、先に結論を。キャリアを経験の長さや経験した職位の積み重ね(経歴)だけではなく「持ち運び・再現可能な技術の蓄積」とも捉えた方が良いと思います。

きっかけ(前置き)

コロナ禍において働き方は多様化しており、私が属しているIT業界も大きく変化しました。働き方が変わるという事は今までと同じ働き方、もう少し言えば今までと同じ考え方や価値観で働くことが難しくなってくるということではないかと思います。今までの考え方や価値観で働くことが難しくなるということは今までは価値があったものの価値が下がったり、今までは価値が低かったものの価値が上がったり、価値観の変化が起こり得るということでもあると考えています。
当然、全ての企業が同じ価値観を持っているわけではありませんので、働き方や価値観の多様性が一層広がっていくことは想像に難くないでしょう。これらの背景を前提に考えた場合、過去の経験(職位経験)をベースに「キャリア」を説明できない可能性があるのではないかと思ったのが「キャリアとは何か?」を考えたきっかけとなります。

一般的なキャリアの認識

キャリアという単語を辞書で探すと「経歴」や「経験」と見つけることができます。キャリア不足やキャリアを積むという文章を良く目にしますし、キャリアという単語を経歴や経験と捉えると非常にしっくりきます。
キャリア不足とキャリアを積むという文章をそれぞれ見ていくと、キャリア不足は「経験不足だから任せられないよ」という意味であり、キャリアを積むは「キャリア不足で任せられないことを任せてもらえるように経験を得る」または「将来の可能性を広げるために経験を得る」という解釈ができるかと思います。
私の狭い観測範囲内ではありますが、目線で考えるとキャリア不足は「仕事を任せる側」であることが多く、キャリアを積むは「仕事を任される側」であることが多い印象があります。双方の立ち位置から考えてもキャリアを「経歴」や「経験」と捉えるのは問題無さそうに感じます。

現在の役割と想像上の役割

現在属している組織内でも転職活動をしている方もほとんどの方は何かしらの「役割」を期待されます。新人さんも中堅さんもベテランさんも「役割」を与えられます。ここで重要となるのはどのような役割を与えられるかではなく、その役割で「どんな成果を上げなければならないのか」「何をしなければならないのか」であると考えています。
組織内であれば役割に対する期待値の認識合わせはできていると思いますが、組織の外に目を向けた時に役割に対する期待値の認識合わせはできていません(他の企業なので当然ですね)。話が少し転職の方に向いてしまいますが、期待値の認識合わせができていない以上、どうやって「どんな成果を上げなければならないのか」「何をしなければならないのか」を認識するかを考えると過去の経験や見聞になります。
具体的に言えばA社に所属してプロジェクトマネージャー(以下、PM)を行っていた人が転職を考えた時に「PM経験あるしPM採用ならいけるかな。」と思うでしょう。過去にPMを経験していることから必要なスキルを有していると判断するわけですね。プロジェクトリーダー(以下、PL)をやっていた人が転職を考えた時に「PMの仕事を見てた感じ、私でもいけそうかな。PMの人と結構話をして知見も得たし。」と思うこともあるでしょう。これはPMの場合と異なり過去の見聞から判断した結果になります。
IT業界は役割に対する期待がそれなりに一定だったので、これらの考え方自体は多くの場合において正しく作用していました。しかし、開発手法や働き方、文化やマインドの変化に伴い、役割の名前(PMやPL等)が同じであっても「今の場所」と「他の場所」で期待されることに差異が出てくると予想されます。
先程の例で言えば「A社ではPMとして十分責務を全うできていたがB社では責務を全うすることができなかった、そもそもなところでPMがすべきことの認識が違っていた。」ということが起こり得る可能性が以前より高まるということになります。
現在の役割は外の世界でも同様に期待される役割であると考えるのは、この変化が多い時勢に置いてはミスマッチの原因になり得るのかなと思います。

経験とスキルは異なるもの

先程「今の場所と他の場所で役割に対する認識が違う可能性がある」という内容を書きましたが、全てが異なるのか?と考えると決してそんなことはありませんし、今の場所が間違っているとか他の場所が間違っているということもありません。
PMという役割を考えた場合、多少認識に違いがあれど大枠で見れば「どんな成果を上げなければならないのか」と「何をしなければならないのか」は折り合うはずです(EMやVPoE等、最近聞かれるようになった職位はまだ各企業で認識の差が大きいと感じます)。
大枠の認識が合っているのにミスマッチが起きるかを考えていく必要があります。過去の経験や見聞から判断をすることが多いと書きましたが、ここがミスマッチの要因となり得るのではないかと個人的に考えています。役割ベースで考えてしまうと、その役割を構成するスキルまで可視化されにくいのでは無いかと感じます。
役割の経験が重要であることは言うに及ばずではありますが、役割を遂行するにはスキルが必要になります。言い方を変えるとスキルの集合から役割を遂行できるかどうか判断できるとも捉えることができると思います。同じPMという役割だとしても企業によって期待する成果やタスクは異なりますし、企業として求めているマインドも異なるでしょう(変化と多様性の観点で見た場合)。PMという役割としては同じ経験をしたとしても個々が持っているスキルは異なるという結果は至って自然と言えるでしょう。
少なくとも役割だけで語るのではなく、その役割をどういうスキルを持って遂行してきたかを説明できる程度には自身のスキルの可視化を行っておく必要があるように感じます。スキルを可視化しておくことで想定していた役割以外でもっと自身が活躍できる役割を見つけることもあるでしょう。これはキャリアの方向性を考える上でも少なくないメリットになると考えています。

期待されるのは過去の経験ではなくスキルの再現

今の場所でも他の場所でも求められるのは過去の栄光ではなく未来の成果です。
未来の成果と言うと少し言葉が大きい感じがありますが、持っているスキルの再現が求められるのは間違いないと思います。過去にPMの経験があるのであればPMとして得たスキルの再現を期待されます。漠然としたPMという経験だけでは再現は困難になるでしょう。過去にどれだけ素晴らしい成果があっても再現性が低ければ期待を裏切ってしまうことになります。
過去の経験と成果を振り返り、分析することで環境に依存した結果なのか、再現可能なスキルなのか、持ち運び可能なスキルなのか等の観点でスキルを棚卸しすることで持ち運び可能で再現可能なスキルを可視化することができると考えています。
役割によっては環境や状況に依存することになるので、どこまでを再現可能とするかは難しい判断ではありますが、スキルを棚卸しして整理しておくことで自身のスキルの再現だけではなくスキルの継承や育成といった方面でも役に立つことでしょう。

「場所を問わずに」提供できるスキルはあるのか?

実際にスキルの棚卸しをすると「場所を問わずに」提供できるスキルがそう多くないことに気付くことになります。私のようなしがないエンジニアはスキルの棚卸しをすると場所を問わずに提供できるスキルの少なさに驚愕します。
私の話は置いといて「場所」をどう設定していくかは重要なキーワードになります。パッと思いつくのは業種でしょうか。IT業界で言えば次に考えるのは技術領域や事業内容になりそうですね。そこからマネジメントなのかテックなのかを考えると思います。並行して企業のカルチャーや雰囲気も考慮するでしょう。ルールがきっちり決まっているのかルールが少なく自由度が高いのか、場所と言っても色々な観点があります。
再現性に条件があるのであれば、その条件を満たす環境を自身で理解・把握しておくことでスキルの再現性を高めることができると考えています。

改めて結論

変化が多い時勢・業界であることや流動することが普通となったことを考えると経験や経歴を重視したキャリアの考え方だけではなく、スキルにフォーカスして持ち運べるのか?再現できるのか?という観点で自身のキャリアを見てみることも必要ではないかと思います。

最後に

経験や経歴を否定するものではありません。経験から学べることは非常に多いですし、ある種の度胸や覚悟も持てると思います。
キャリアを考えるって難しいですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?