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制作日記「コスメ部第25話掲載」

現在発売中のゲッサン7月号にて「中高一貫!!笹塚高校コスメ部!!」第25話掲載されております。
どうぞよろしくお願いします。

連載始まった当初は「コスメ部」というタイトルを発声するのが恥ずかしくてたまりませんでしたが、早2年。
やっぱり今も若干恥ずかしいです。しかし最初よりはだいぶマシになりました。
そういえば今月のゲッサンは年に一度の「連載作家集合絵表紙」でした。

去年に続き人生2度目の表紙絵への参加となりましたが、個人的に結構好きです。この集合表紙絵。
いつも1人で仕事をしている個人事業主ですので、普段は感じられない所属感が体験できますし、微妙に雑なコラボ感といいますか、無理やりデザインした感じも愛着を感じます。ごちゃごちゃとしたお祭りの感じがしてよいです。
僕の描いた絵はこちらです。


カラーイラストの塗り方を試行錯誤してまして、あーでもこーでもないと迷いながら描いていたら、絶妙にあーでもないこーでもないと迷いながら描いたんただろうなーという絵になってしまいました。
絵を納品した時、担当編集者から「これって誰ですか?」と言われてしまい、「完全に失敗した。」と思いました。
うん、確かに誰かわかりませんね。
去年の集合絵はキャプテンを描いたんですが、その時は割と上手く塗れたんですけどねー。

去年の集合表紙絵

むずい。
「全然大丈夫なんですけど、4巻のカバーイラストはもうちょっと誰かわかるようにお願いします。」ということで、4巻カバーの練習カラーとなりました。4巻のカバーイラストをぜひお楽しみにしておいてください。

そんで持ってサンデーうぇぶりさんで追っかけ連載の19話が無料公開されております。

こちらは無料なので今すぐチェック&いいね!を押してきてください。(この記事を読んでるマニアックなあなたは間違いなくするように。)コメントなどもどしどし入れてください。

今までこの「制作日記」ではこの追っかけ連載に触れることをすっかりこっかり忘れておりました。
19話を描いた時の制作日記はこちらです。2022年年末に描いてた分ですね。
こうやってリンクさせればよかったんやな。
ようやくこの制作日記の意義も出てきた気もします。

さてさて今回は25話です。
この25話はネーム段階で無茶苦茶苦労して30枚描くのに120枚くらい描き直した記憶があります。連載始まって以来最大の難産でした。
それも「何を描けばいいか思いつかない」という難産ではなく、「頭では思い浮かんでいるのに描いてみると何故か面白くない」というタイプの難産でした。
自分ではめちゃくちゃ面白いと思っているのに、何回直しても全然面白くならないので「もうダメだ。廃業だ。。。」と思い、「え、ということはバイトか?嫌だ。バイトは嫌だ!」と半分本気で冷や汗をかきました。
そういう苦労した結果、ある気づきがありましたので、これをお読みの皆さんにも共有したいと思います。皆さんもバイトしないために。
題して「まだ誰も言ってないネーム直しテクニック」

まだ誰も言ってないネーム直しテクニック
第1回「頭の中では面白いのに、描き出せは描き出すほど面白くなくなる場合の対処法」
その答えはズバリ「フリが不完全」であるからです。
どういうことか。
例えば「熱湯風呂」の場合、熱湯に入って「熱がっているリアクション」や「熱がってる表情」が面白いと思いがちなのですが、実はそうではなく、これ単体では面白くないのです。
「罰ゲーム決定!」となって「えー!最悪ーやだー!!」となって「押すなよ。押すなよ。」となって押されて落ちるから面白いのです。
その「フリ」があっての「熱湯リアクション」なのです。
今回の私の場合、「頭の中で面白い」と思っていたものは「熱湯リアクション」単体であって、それを面白くないと言われるたびに、さらに2つ3つと「熱湯リアクション」を付け足してしまい、付け足せば付け足すほど面白くないと言われ、ついには自信喪失。ドツボに入ってしまったのでした。
大切なのは何故熱湯に入っているか。熱湯に入ることをキャラクターはちゃんと嫌がっているか、を先に読者に伝えておかなければいけなかったのです。
「フリが不完全だとボケればボケるほど地獄が続いていく」ということを学びました。
具体的に25話でいいますと初稿のネームでは今回の主人公のいつきが福耳くんをどう思っているのかを説明せずに、延々と「混浴の歴史」の説明をするという、ボケの展開に持っていってしまったのが、苦労した原因でした。(ぜひ第25話本編を見てご確認ください。)
しかし何とか廃業せずにすみました。
その辺もお楽しみください。
では冒頭を少し。


寄生獣全巻購入

先日ちょっと欲しい本がありまして、昔ベストセラーになったやつだからブックオフにあるだろうと思って行ったところ、お目当ての本はなかったのですが、ぶらぶらしていたら寄生獣全10巻を見つけました。100円の棚に全巻揃ってるのです。
全巻100円にあるのって珍しくね?と思い、ついつい買ってしまいました。
僕はたしか高校生の頃に初めて読んで、それから繰り返しもう内容を覚えるくらい読んだので、ある時売り払ってしまったのですが、何の因果の巡り合わせか、約20年ぶりの再読となりました。
いやー、すごいです。時を経ても全然色褪せていません。色褪せるどころかさらなる発見があります。
最も驚いたのは自分の子供(12歳)も楽しんで読んでいたことです。
今までも自分が面白かった漫画や本を読ませたことはあるのですが、大体途中でやめてしまうので、20年くらい昔の漫画だと文体や絵柄が古くなっちゃうからやっぱ読めないんだなーと思ってたんですが、寄生獣はかなり真剣に読み続け、9巻のラストでは号泣していました。(あれは泣けます。)
時代の価値観も違うし、決して文字が少ない漫画ではないと思うのですが、「変わらぬ面白さ」が作品内にうどんのように練り込まれているということでしょうか。驚きました。
僕が20年ぶりに再読して勉強になった箇所を具体的に挙げると「あんまり顔にトーン貼らないんだな」ということです。
僕はついつい前髪がかかってる顔に1番のトーンを貼ってしまいがちなのですが、寄生獣では顔の立体感の影も服のシワの影もありません。
こういうことも漫画を描いていなかった高校生時代には全く気づかなかったことです。
というわけで来月のコスメ部(26話)からは顔にトーンを貼りません。
よろしくお願いいたします。
名シーンを語り始めると枚挙にいとまがありませんし、これまで様々な漫画でオマージュされてきていると思うのですが、それを踏まえた上で再読して感動したシーンを一つご紹介させていただきます。
恐縮ですがご引用失礼致します。

第8巻「第49話お見合い実験」の冒頭

扉ページを合わせますとなんとブチ抜き8ページセリフ無しです。
でも不思議なことに絵を見ているとなんて言ってるのかセリフが聞こえてきます。
そして8ページセリフなしからの
「大丈夫…心配いらないよ」です。
痺れました。
泉くんはいつもそういうんです。
どうやったらこんな漫画が描けるんでしょう。
というわけでしばらく寄生獣にハマってると思います。

ではではまた次回お会いしましょう。



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