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誰も教えてくれない建設現場の安全対策 ~現場が質問体質になる~

~現場が質問体質になる~

ある建設現場に安全パトロールに行ったとき、「いつもどんなところに気を付けていますか?」と現場のスタッフに質問してみました。

すると、重機(建設用の大きな機械)に近づくときは、必ず手を挙げてオペレーターと合図の確認をとるなど安全のポイントを的確に答えてくれました。

(素晴らしい!)

普段なら、安全パトロールは現場のダメ出しをしにいくので、こんな質問はしないのですが、現場で働くスタッフに安全への意識を高めるためには、本人に質問した方が良いなと感じました。

もし、注意するポイントが不足しているなら、アドバイスすれば良いだけです。

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建設現場には、たくさんの見えない危険があります。
それを見極めて未然に防ぐために、現場監督のみなさんは、日々一生懸命に指導されています。
ところが、それでも追いつかないのが現状です。

(どうしてなんだろうか?)

それは、建設現場に、作業場所、時刻、人、天候などさまざまな要因が混ざり合い、いくら安全対策を行っても、複雑な危険要因に対応することができないからなんです。

作業する本人が自分で危険に気がつき、その危険を防がなければ、事故を無くすことはできません。

(では、どうするか?)

本人に見えいない危険に気づいてもらうには?
それは、現場が質問体質になることです。

(え、質問体質ってなに?)

「自分の危険は何だろうか?」と自分に問い掛けると、はじめて人は、考えだします。

「自分の危険は何だろうか?」と質問することで、自分の作業を思い浮かべ、そこでどんなケガをするかイメージできます。

私たち現場監督は、「気をつけろ!」「油断するな!」と注意をしますが、この注意で、どれだけ本人に危険を防ごうとする意識が生まれるでしょうか。

この注意を「気をつけるとしたら、どんな時かな?」
「油断するとしたら、どんなことかな?」というように指示から質問に変えていけば、本人たちは考えるようになります。

脳科学者の茂木健一郎さんも「人は質問によって考えだし、その思考回路は、対象が変わっても同じような働きをする」と言っています。
そのとき答えは出なくても脳は勝手に考え続けます。

(そうなんです。脳は勝手に考え続けるんです!)

考える人達

だから、見えない危険に遭遇しそうになったとき、「あ、これだ!」と危険のシグナルが送られてきます。
人によって訓練の度合いは違いますが、これが習慣化したとき恐るべき威力を発揮します。

例えば、私が推奨している危険予知訓練「4ステップKY+アドバイス」は

ステップ1 「今日のあなたのお仕事は?」
ステップ2 「その仕事には、どんな危険がありますか?」
ステップ3 「その危険をどうやって防ぎますか?」
ステップ4 「具体的にどう行動しますか?」
+アドバイス「こんなことも気をつけた方いいよ!」と
仲間からのアドバスを受けるというステップになっています。

4つの質問とアドバスで構成されていて、本人が考えることが基本になっています。

重要ポイントは、ステップ3の「その危険をどうやって防ぎますか?」の質問では、「足元注意します」や「周囲の確認をします」と漠然とした回答を具体的な行動にすることです。

具体的な行動に落とし込むために、ステップ4で「足元注意するとしら、どんな時?」や「周囲確認が必要なときは、どんな場面?」というように具体的な行動がイメージできる質問をします。

どんなとき?どんな場面?という質問をすることで、危ないシーンが本人の頭の中にイメージされ、現場の目に見えない危険に気づくことができるようになります。

繰り返しになりますが、指示や命令では、人は考えません。
言われた通りのことしかやりません。

だから、何があるか分からない建設現場は、言われた通りのことをやっているだけでは、事故は無くならないのです。

現場監督も現場スタッフも質問し合う質問体質になれば、誰もが、自分の危険について考え、自分で対策を実践する究極の安全対策になるのです。

あなたの現場に質問です!

「事故をなくすために、どんな質問をしたらいいでしょうか?」

次回に続きます。お楽しみに!!

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拙著「部下が変わる本当の叱り方」明日香出版社を参考にしています。

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