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トルコが私に教えてくれたこと。「本気になる」「カッコつける」「困った時こそ助ける」

◆震災で苦しむトルコ。本当に素晴らしい場所です

 
2月に起きたトルコ南部の大地震で、甚大な被害が発生してしまった。亡くなられた方々に弔意を表し、被災された方々にお見舞い申し上げたい。
今回は、その被害があったトルコを応援するために、私のトルコでの挑戦を紹介する。
 
2011年、私が勤続30年のとき、リフレッシュ休暇で一度は行ってみたかったトルコを訪れた。コンピューターのウィルスではなく、本物のトロイの木馬があるところだ。詳ししくは、ブラット・ピットが出演した映画『トロイ』をご覧いただきたい。

話の舞台は、トルコの内陸部にあるカッパドキアというところ。奇妙で大きなキノコの形をした岩がたくさんあるところで世界遺産になっている。山の上にある洞窟ホテルに泊まることになるのだが、部屋は一部屋一部屋違う作りになっていて、とても冒険チックでエレガント、妻は大喜び!
 

テラスからの眺め

部屋の前には庭のようなテラスがあり、ベンチに腰かけながら夕焼けに染まる淡いピンク色の岩肌を楽しむことができる。時間の経過とともに深いローズ色に変わっていく神秘的なピンクの世界は圧巻だ。

朝は連なる岩山からオレンジ色の光を放ちながら朝陽が顔を出し、まぶしさの中から一斉に気球が飛びあがってくる。幻想的な世界に引き込まれてしまう。
あまりにも素晴らしい景色だったので前置きが長くなってしまった(汗)。
 

朝陽と共に気球が飛び上がる

◆ヨーロッパ代表、韓国代表。そして日本代表は…?


話を私の挑戦に戻すと、カッパドキアでのディナーのときの出来事になる。
 
ホテルから車で少し移動して、これまた洞窟のレストランでベリーダンスを見ながらの食事に。大きな洞窟の中に入って行くと、中には円形のステージがあり、その周りには階段状のテーブルとイスが配置され、ショーを見ながらディナーを楽しむことができる。
 
なんともエキゾチックなムード。何がはじまるのかワクワクしながら、妻とワインで名物の壺を使った煮込み料理を堪能していると、今度はダンサーが観客の中から一緒に踊る人を探しに来たのだ。

ヨーロッパチームからはラテン系のノリの良い女性、韓国チームからはちょっと今風な女の子が選ばれていく。私は、ダンスの上手そうな人を探しているんだろうと安心している。
 

壺の中にある煮込み料理を取り出すシーン

 
ダンサーが日本人の席に来て一緒にベリーダンスを踊る人を探しにきた。私は目が合い嫌な予感がして、下を向いてダンサーが通り過ぎるのを待った。
だが、彼女が立ち止まり、なんと私の肩に彼女の手が…。「えっ、俺!? なんで…」。なんと、私が日本チームの代表に選ばれてしまった(汗)。
 
ベリーダンスやったことないし、恥ずかしいし、「ノー、ノー」と断りましたが、強引に手を引っ張られステージへ連れて来られることに。
見るからにまわりはダンス上手ばかり。緊張して心臓バクバク状態に。
 
しかし、ここでカッコ悪い真似はできないと覚悟を決めステージに向かう。日本男児(昭和世代の言葉)がすたると心を決め、音楽に合わせてダンスを踊り始めた。


自分でも身体が硬いなと思いつつも、セクシーでちょっとボリュームのあるダンサーと懸命に回転、腰折りを繰り返し踊り切った。ダンスがやっと終わり「フ~」とため息をつくも、自分でもやり切った実感があった。
 

著者本人です(汗)

 
客席に戻ると日本人チームからなんと拍手喝采の歓迎をしてくれるではないか。みんなが、「良かったよ! 良かったよ!」と祝福してくれて、とっても嬉しかったことを覚えている。

もしふてくされていたら、祝福もなかったし、この充実感はなかったことだと思う
  

◆昔の私は一生懸命にやっていなかった


今考えても、覚悟を決めて下手なりに一生懸命にやって良かったと。こんなちょっとしたハプニング的なこととはいえ、本気で挑戦できことを誇らしく思っている。
 
実は、大分昔の話になるが、中学の時に文化祭で当時流行していた『翼をください』をステージ上で仲間と歌う機会があった。

しかし、中学生の吉田くんは、「どうせ上手くない、カッコ悪い」と勝手に決めつけ、下を向いたりふらふらしたりと悪びれて歌ってしまった。今思うと、とても恥ずかしく後悔している。

下手なりに一生懸命に歌っていれば、まわりの人は必ず暖かく見守ってくれたのだと思うし、一生懸命にやっている私達を応援してくれたに違いない。当時の仲間、そして聞いてくださった方々「ごめんなさい!」と謝りたい。
 
この時の申し訳ない気持ちと後悔が、少し大袈裟かもしれないがトルコでのベリーダンスへの挑戦となったのだ。

 ◆やっと気がついた。一生懸命にカッコつけるも良し!

 
自分の実力は世間から見て、まだまだかもしれない。でも、自分の持てる力を発揮する一生懸命さや精一杯にやることだって、れっきとした唯一無二の素晴らしさだと私は考えている。
 
人間というのは、自分の限界に挑む人を応援したいと思っている。人が死ぬ時、後悔することがあるとすれば、その時々に自分のできることを一生懸命にやらなかったこと、自分にカッコつけられなかったことではないかな。
 
妻がトルコでの私のベリーダンスを動画で撮っていた。「やっぱり動きが硬い! リズム感なし…(涙)」。でも、後悔なし!(笑)
 

テラスから観れる朝陽

◆トルコは実は日本の恩人

 
最後に、トルコは日本にとって恩人だということを伝えたい。トルコは親日派が多いのだが、その理由として1890年、明治時代にオスマン帝国(現在はトルコ共和国)から派遣された特使が乗ったエルトゥールル号が和歌山県串本町の沖合で沈没した。

そのとき、トルコ船の乗組員を串本町の人たちが献身的に救助した出来事がきっかけとなっている。これは有名な話だからご存知の方も多いと思う。
 
時は過ぎて1985年、イラン・イラク戦争の際に日本人だけがテヘラン空港に取り残されてしまう。そのとき、トルコ自国民より日本人を先に救出してくれたのがトルコ航空なのだ。
この話をするといつも涙が出てくる(これは老化かもしれないが)。
 
自分がこの世にいなくなっても続く、お互いを思いやる優しさがずっと残って欲しい。孫子の代まで続くお互いを思いやる優しさこそが、私たちが残すべきものだと思う。
 
だから、地震で困っている人たちに少しでも寄付をしてあげて欲しい。コンビニでもユニセフでも赤十字でもどこでもやっている。自分のできる範囲で日本人の優しさを届けていただけることが私の願いだ。(この記事は2023年3月に掲載したものです。)
 
※作家たちの電脳書斎デジタルデン 出版事業部https://digi-den.net/より転載
 
人の可能性を最大化させ、日本を再び世界のリーダーにする」という未来実現のために、全国の企業に対し「会社の未来を担う次世代リーダーを育成する」ための活動を行う。
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