見出し画像

我が子を食らうサトゥルヌス


1820年~ 油彩 プラド美術館収蔵

あるときサトゥルヌスは「お前の子どもがお前を追放するぞ」という予言を受ける。
王座から追われることを恐れたサトゥルヌスは、生まれてくる子ども達を喰っていく。

この絵はそんな神話をモチーフに描かれた。
ゴヤの代表作の一つ。


若い時は年功序列なんて気にしない。
我が手腕で年寄りどもを押しのけ、上へと登る。
老人のやり方、考え方は古い。老いたるものは去れ。とっとと引退しろ。

そんな若者もいづれは年をとる。下からは力ある若者達の足音が聞こえてくる。
怖い。自分がやってきたことを若者達からされるんだから。
後進を育てるなんて、とんでもない。
殺してやりたい。つぶしてやりたい。
そんな男の絵ではなかろうか。

老いや、死に対する恐怖。持ってるものを奪われる恐怖。
勝ち進んできた自分が負けるかもしれないということを認めなきゃならない恐怖。

とても、おぞましい絵だが、なんか心にひっかかる絵だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?