画廊ではたらく大北良彦

彩美画廊というアートギャラリーをしています https://www.ambistyle…

画廊ではたらく大北良彦

彩美画廊というアートギャラリーをしています https://www.ambistyle.co.jp/

最近の記事

積みわら~クロードモネ

モネは積みわらを多く描いている。 1883年ジヴェルニーに住まいを移した。 それ以来死去する40年あまりに描かれた作品の多くは、自宅から3キロメートル以内の風景を描いたものです。 積みわらも、その作品のひとつ。 モネは多くの積みわらを描いている。 その多くは風景画としての積みわらですが、この作品には人物が描かれています。 帽子を被った少年はモネの次男、ミシェル。白い服の女性は後に妻となるアリス。 だからこの絵は風景画であるとともに、家族の肖像と言える。 2人がいるだ

    • 画廊は閉鎖的で入りにくい

      「画廊は閉鎖的で入りにくい」 と言われる。 ごもっとも。 たしかに閉鎖的です。 窓はない。 あっても少ない。 画廊の設備というのは つきつめていうと壁。 絵をかける壁。 床面積でなく壁長勝負。 だから窓は少なくなる。 それに太陽光は、なによりも敵。 だから、閉鎖的になってしまう。 閉鎖的にして高級感をあおってるわけじゃないのです。 どうぞお気軽にお入り下さい。 彩美画廊 大北良彦

      • 画廊の入場料

        勇気を出して入ってこられたお客様 「見せてもらってもいいですか?」 「入場料は?」 だいじょうぶです。 画廊とは、美術館でも、会員制クラブでもありませんから誰でも、何歳でも、どこの国の人でも入れます。 もちろん入場無料。 地方だろうが、銀座、日本橋だろうがおんなじです。 みなさんの住んでるとこにも画廊があるはず一度その扉を開けてみてはどうでしょう。 彩美画廊 大北良彦

        • 現代アート大丈夫?

          今のの現代アートはバブルな気がしてならない。 尖りに尖った前衛的で刺激的なストリート系のアートを若い起業家か資産家が買い漁ってるだけに見える。 現代アート面白いけど 「それにそんな価値ある?」 「あなたそれを家に飾りたい?」 とも思う。 オークションで有名どころをバンバン落札してる方がいた。落札するたびに隣の家族とハイタッチ。 「イエー!」 STAR FUCKER というスラングがあるらしい。 自分の目やポリシーでなく、美術誌によく出る有名アーティスト、オークショ

        積みわら~クロードモネ

          アートフェア東京2024

          アートフェア東京で撮った写真や、カタログを娘婿に見せた。 「これがアートなんですか?」 まあそうなるよね。 東京アートフェアには国内外のギャラリーが最先端の作品を出してくる。 綺麗な風景画や静物画、美人画などはほぼない。尖りに尖った作品を尖った方々が販売している。 とても刺激的で面白い。 緊張感がある。 だけど、ぼくは疲れた。 味の濃いラーメンはたまに外食で食べるにはいいけれど、家庭料理として3食食べるには重い。それに体にも悪い。 東京アートフェアは尖った刺激的

          アートフェア東京2024

          星野佳路と考えるファミリービジネスの教科書

          息子が「星野佳路と考えるファミリービジネスの教科書」という本を購入。 そして娘に渡した。 「画廊やるんやろ?」 ということでファミリービジネスがスタートした。 同族経営、世襲という言葉をネガティヴにとらえる方がいることは知っている。 ジェフベゾスや孫正義のような創業起業家に格好良さを感じるのもわかる。実際創業者のパワーというのはすごい。 だけど企業の命題とは永続性にあると私は学びました。 近所の美味しいうどん屋が閉店しました。売上不振でも債務超過でもありまさん。後継

          星野佳路と考えるファミリービジネスの教科書

          しばられたキューピッド

          今回はレンブラントの「ダナエ」 西洋美術、古典美術は神話、宗教を主題としたものが、多く、ぼくらにはなんとも馴染みがない。 ダナエと言われて「ああアレね」と言える方は、よっぽどの勉強家か、ギリシャ人。 ダナエとはギリシャ神話に登場する娘。 アルゴス王アクリシオスの一人娘。 王はある日神託を受ける。 「お前の娘が男の子を産む。ほんでもって、そいつがお前を殺す」 親兄弟親族といえども、権力、政治、ビジネスの世界では敵になりうる。 孫に殺されちゃたまらんと考えた王は、ダナエを

          しばられたキューピッド

          ポロックの点と線

          ポロックは高評価なアーティストだが、一般観衆の意見はわかれる。 「絵はわからない」 「アートはむずかしい」 と言われる原因の一人でもあるでしょう。 ポロックはアクションペインティングと呼ばれる。 その言葉の響きと、作風から、絵の具をたたきつけているようなイメージを受ける。 そう思っている人も多いと思う。 絵具の飛翔、飛び散りに見える。 だけど、その作品をよく見ると、それだけではないことがわかる。 叩きつけられたり、落とされた飛翔ではない、線が多い。 下の写真を見る

          アートは癒しなのか2

          アートは癒し。 それはほんと。 だけどアートの力は癒しにだけ使われるものではない。 それに人々がアートに癒しだけを求めているわけでもない。 静かなクラシックを聴きたいときもあれば、激しいパンクが聴きたいときもある。 フォークソングに涙したい人もいれば、ハードロックで拳をふりあげたい人もいる。 クラシックが高尚で、ロックが低俗という単純なものではない。 心静かに休日を楽しむ人も、仕事中はアグレッシブにテンション上げているかもしれない。 絵もそう。 ゆったりと、心静か

          アートは癒しなのか2

          画廊というビジネスモデル

          古典落語を聴きます。 その中に出てくる職業で現代に残っている職業はほぼありません。 「ゴボウ売り」という職業が出てきます。「ごんぼ、ごんぼ」といいながらゴボウを売る職業です。現代にはありませんよね。 古典から今も残っている仕事と言えば、夜鷹つまり娼婦と、飲食業かな。 とは言え娼婦も、街に立ちゴザや、小屋での仕事から、店舗型ビジネスとなり、現代ではスマホによるデリバリービジネスへとイノベーションしてきました。 落語には屋台のそば屋や、うどん屋、団子屋も登場します。これも路上

          画廊というビジネスモデル

          アートは癒しなのか

          「アートは癒し」だと言われる。 アートヒーリングとかアートセラピという言葉もある。 絵、彫刻、書、詩、音楽、香は人を癒す。 だけどアート=癒しというのはちょっと違う。 たとえばピカソのゲルニカ スペイン内戦時、空爆を受けた町ゲルニカを主題とする絵。 絵を見た感想、受ける心情は人それぞれなので、一概には言えない。 少なくとも、ぼくは癒されない。 名作だとは思うけど、我が家のリビングには掛けたくない。 戦争の悲しさ、悲惨さ、反戦のことは大事なことだが、それを365日見つ

          アートは癒しなのか

          我が子を食らうサトゥルヌス

          あるときサトゥルヌスは「お前の子どもがお前を追放するぞ」という予言を受ける。 王座から追われることを恐れたサトゥルヌスは、生まれてくる子ども達を喰っていく。 この絵はそんな神話をモチーフに描かれた。 ゴヤの代表作の一つ。 若い時は年功序列なんて気にしない。 我が手腕で年寄りどもを押しのけ、上へと登る。 老人のやり方、考え方は古い。老いたるものは去れ。とっとと引退しろ。 そんな若者もいづれは年をとる。下からは力ある若者達の足音が聞こえてくる。 怖い。自分がやってきたことを

          我が子を食らうサトゥルヌス

          絵の価格がわからない

          「絵は分からないんです」 と言われる 絵をみて、それがいくらぐらいのものなのかがわからない ↓ だから自分には見る目がない センスがない ↓ 「絵は分からないんです」 なんでも鑑定団 を見る ↓ え~この絵ってこんなに高いの!(またはこんなに安いの?) ↓ やっぱり自分には見る目がない センスがない ↓ 「絵は分からないんです」 それは違います。 相場というものも知識ですから 生まれながらのセンス 才能とは違います。 ぼくはサンマの価格がわかりません。 買い物をしない

          絵の価格がわからない

          絵はわからない

          「絵は分からないんです」 と言われる わからない? なにが? と、突っ込んで聴いてみると わからないにもいろいろあるんだ。 その1のパターン 名作と言われている絵の良さがわからない ピンと来ない ↓ だから自分には見る目がない センスがない ↓ 「絵は分からないんです」 美術史、その作品が制作された当時の風俗、政治、宗教観がわからないとわからない部分はたしかにある。 その作品に描かれていることが、当時どれほどセンセーショナルなことだったのか。 これは感性ではなく知

          ロートレック ムーラン街

          若くも美しくもない女たちが尻を出している。 性病の定期健診を受ける娼婦たちです。 1800年代のパリには1万人~3万人ほどの娼婦たちがいたと言われています。 街に立ってる娼婦を最下層とすれば、娼館に属し、定期健診を受ける彼女たちは 最高とは言わないまでも、きちんとした安全・安心な商品だったのでしょう。 体を売り、裸になるのが仕事の娼婦とはいえ、 尻を出して検診を受ける姿はあまり見られたくない姿のはず。 彼女たちとロートレックには信頼関係のようなものがあったのでしょうか

          ロートレック ムーラン街

          絵は黄色い袋に入っている

          絵や骨董は黄色い袋に入っている。 そうじゃない場合もあるけれど、おおむね黄色い袋に入っている。 黄色い袋なので「黄袋(きぶくろ)」と呼びます。そのまんまです。 黄袋に入れる意味としては ・ナイロンなどと違い布なので通気性が良い カビにくい ・やわらかい布でつつむことにより傷から守る ・箱から出すときに、引き出しやすい などがある。 じゃあなぜ黄色いのか? 黄色といえばウコン ウコンには防虫効果があるらしい。 それ故、美術品、骨董は黄袋に入れるんだって。 知ら

          絵は黄色い袋に入っている