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パパの育休5日間でも、2週間でも、1ヶ月間でもわからないこと。10か月の育休後にわかったこと。

この記事は2020年5月28日の記事『育休5日間でも、2週間でも、1か月でも、分からないこと』に、新たな情報を追加しつつ、再編したものです。

街ゆく人々の表情がマスクなしで見えるようになってきた2023年の初夏。我が家のおてんば娘は3歳と4か月になり、保育園の年少組さんに元気よく通っています。

思い起こせば、マスク生活を強いられるようになった2020年の春、娘はこの世に産声を上げました。娘が産科のクリニックを退院するその日に、「面会はたとえ父親であっても禁止です!」と言われたのをよく覚えています。(我が家はは退院当日ということで、院内に入れてもらえた)

娘が生まれると同時に、僕の育休生活はスタートしました。ちなみに、厚生労働省の資料などで育休を取得するパパについて数字で見てみると、2020年は、男性の育休取得率は7%台。最新の統計情報でも10%をようやく超えたところです。10%を超えたといっても、2週間未満の育休取得者が半数近い割合となっていて、8か月以上も育休取得するパパはまぁまぁなレアキャラです。

で、約10か月間の育休を取得した僕はまぁまぁなレアキャラの一人なわけですが、育休生活も3か月を過ぎたころに、こんなnoteを書いていました。

当時、noteの編集部さんに取り上げていただいたこともあり、細々と書いているnoteの割には多くの方に見ていただいた記事になりました。

今日は、そんな当時の記憶を振り返りつつ、いま改めて思う、育休生活5日間でも、2週間でも、1か月間でもわからなかったこと、そして、10か月間※の育休がおわり、娘が3歳に成長した今だからわかることを、書いてみたいと思います。

※僕の育休期間は、書類上は8か月間(2020年5月1日~12月31日)ですが、2020年3月上旬に娘が生まれ、コロナ禍もあり、有休をあるだけ使って早めに育休状態となったので、実質10か月となりました。

【育休1か月目】心身を壊す

子育て環境は家庭によっていろいろだと思いますが、我が家の場合は両親も近くにいる地元での出産だったので、退院後、妻は実家へ戻りました。同時に育休をスタートした僕も産後の約1ヶ月間は、妻の実家で寝食を共にしました。

妻の両親から手厚いサポートを受けられるものの、マスオさん状態の僕としては正直、気疲れするところもあり・・・めちゃめちゃありがたくて感謝してもしきれないほどなんですが、どうしようもなく一人になりたくなることは多々ありました。

慣れない新生児育児に加え、自分のお風呂のタイミング、トイレのタイミング、冷蔵庫の使い方・・・すごく細かい話だけど、どうしてもなれない気遣いの連続で、疲れ果ててしまったのが最初の1ヶ月でした。(冷蔵庫を自由に開けていいと言われても開けられないタイプの性格)

育休がはじまってちょうど1ヶ月が経つ頃に、人生で初めて交通事故を起こしてしまったりもしました・・・センターラインの無い道路ですれ違う対向車とサイドミラーが接触して、ミラーは粉々に吹き飛びましたが、お互い怪我もなかったのが不幸中の幸いでした。

この頃、世間ではコロナ騒動が本格化しだした頃で、正直まだ海のものとも山のものともわからないような状況でした。そんなタイミングで僕は39度を超える高熱を出してぶっ倒れてしまいました。

身近な親族からも、ヤバいのに感染しちゃったんじゃないか?みたいな目で見られていた気がします。(思い込みかもしれませんが)

言い方は悪いかもしれませんが、育休3日間とか1週間とかで終わっちゃってれば、こんな目には遭わなかったかもしれません。でも、それだけ新生児育児って、いろんな意味で大変なんだってことはよくわかりました。

【育休2か月目】慢性疲労に悩む

娘が生後1ヶ月を迎える頃、妻と娘は予定通り我が家へ帰ってくることとなりました。もちろん僕も一時的なマスオさん生活を卒業です(正直、ホッとした)。

そんな育休2ヶ月目は、慢性的な肉体疲労に悩まされる日々でした。娘の寝かしつけはほとんど僕の仕事でしたが、おかげで腱鞘炎になりました。2つ年上の長男がいますが、やっぱり、どうしても、赤ちゃん返りするんですよね。この頃、もうママにベッタリでした。

そんな大きな赤ちゃんになった息子を抱っこする時間も増え、腰や腕は慢性的な痛みを抱える状態になっていました。日中は2歳のお兄ちゃんを外で遊ばせるのも僕の役割のひとつでしたが、毎日元気いっぱいな2歳児と遊び続けたら、朝ベッドから起き上がれないくらい身体が疲労困憊でした。

普段は通勤で歩くくらいしかほとんど運動をしていなかったオフィスワーカーな僕は、育児のおかげでとても体を鍛えられた気がします。

一人目のときに育休をとるのと、二人目のときに取るのと・・・また違った大変さがあるのだろうと思います。三人以上子どもがいる生活は僕には経験ないし想像できないですが、いずれにしても、子育てするためにはある程度身体を鍛えておかないとやっていけないなと思ったのでした。

【育休3か月目】ようやく生活リズムを掴める

育休生活も3ヶ月目ともなると、すこし身体も鍛えられ(笑)、自分のペースが掴めて心に若干のゆとりがうまれてきました。

妻と連携して子ども二人をうまいこと同時刻に寝かしつける術を身につけ、夜には自分の時間をうまく確保できるようにもなってきました。お風呂の時間やご飯やおやつの時間もある程度ルーチン化され、だいたい1日のスケジュールが決まっていきました。

幸い実家が近いので、両親にもほとんど終日めんどうを見てもらう日もありました。そして、平日の日中に会社の仕事がないことを利用して、普段は参加できないようなセミナーに参加してみたり、逆に自分で小さなセミナーを開催してみたり。

3か月目にしてようやく、自分の生活リズムを掴み始めた気がしました。

コロナ禍かつ育休という特殊環境の総括

2020年の春から育休生活に入った僕は、まさにコロナ禍で人々の外出が制限されると同時に育休生活に入ったわけです。僕としては育休のために会社へ行くこともなくなるし、当面は新生児育児のために外出もそれほど多くない予定だったので、コロナ禍が始まったころは、その特殊事情をそれほど気にしなくて済んでいたのかもしれません。

でも、育休生活3か月目以降、自分の生活リズムを少しずつ取り戻していたころ、友人に会うことはやっぱり制限されていて、日ごろの悩みを相談したり、一緒にお酒を飲んでストレスを発散できるような時間が持てなくなったのは、とてつもない辛さを感じました。

育休生活も半年に差し掛かろうという2020年の夏は、とても暑い夏だったなぁという印象ですが(毎年暑いですがw)、日中は暑すぎて子どもを外に連れ出すこともためらわれ、もちろんコロナ禍のために屋内遊具施設へ連れ出すことにもためらいがあり・・・本当に家に引きこもりっぱなしのような生活をしていました。

毎晩、ひたすら泣き続ける娘を寝かしつける毎日。抱っこで寝かしつけ、ベッドへ置いたと思ったら背中スイッチONでまた振出しに戻り・・・

友人とは会えず、もちろん休職中なので会社へ行って同僚と愚痴を言い合うわけにもいかず・・・

ちょうど僕が休職中に、会社では上司が代わるという出来事もありました。たぶん引継ぎがちゃんとできていなかったのか、上司が代わったとたんに会社からの連絡がプツリと途切れたりして・・・

なんかもう、いろんな不安と、疲れと、イライラと・・・いろんなものが積もり積もって、僕の人生史上、もっともメンタル的にヤバい時期だったと思います。本気で、メンタルヘルスのための病院へ行こうか迷いながら悶々としていた時期でした。

なんと言うか、10か月間の育休の間に、人生の喜怒哀楽やアレやコレやがぐちゃぐちゃに入り乱れていたというか・・・。総じて幸せな時間であり、育休を取得してよかったと思っているし、貴重な経験ができたことは何事にも代えがたいことですが、振り返ってみると、僕としてはそんな感想です。

育休5日間でも、2週間でも、1ヶ月でもわからないこと。

日本ではまだまだ長期間の育休を取得するパパが少ない中、10か月という比較的長期間の育休生活を過ごしてみて改めて思うことは、やっぱり、育休5日間じゃわからないことが多すぎるし、2週間でも、1ヶ月でも、わからないことばかりだったということです。

自分がたった1ヶ月で心身が辛いと音を上げるとは思わなかったし、毎日ほぼ全力で2歳児と遊び続けたら朝ベッドから起き上がれなくなるとは思わなかったし、困難な状況の中で自分のペースをどうやって作るかということを初めて知ったし。

これらは、10か月間という期間、育休を経験したからこその貴重な経験や知見だったと思います。

自分が所属する会社内でも10か月間も育休を取得する男性は珍しいので、社内報で紹介記事を書いたりだとか、マネージャー研修の場に呼び出されて男性育休についてコメントしたりだとか、その後いろんなお声がけがありました。それだけ、貴重な経験ができたということだと思います。

社内での発信が増えると、後輩パパから「もうすぐ子供が生まれるので育休どうしようか考えてるんですけど・・・」みたいな相談をたまに受けたりもします。これも、僕としてはあまり予想していなかったことでした。

もちろん、家族によって子育ての環境やスタイルとか全然違うと思うので、どの家族も、パパが長期の育休をとることが正解とは思いませんし、僕自身が10か月間の育休を取得したからと言って、誰にでも長期の育休を進めているわけではありません。

相談してくれる後輩たちには、仕事や職場の現状を聞きつつ、育休をこれくらいの期間取ったら仕事の方はこんな風にやりくりできそうだね、みたいな話をしつつ、実際に育休期間中はこんな経験をすることになるかもよ?みたいなこれまでに書いたような経験談を話しつつ・・・

10か月間の経験があったからこそ、これから同じ会社内で育休を取ろうとしている彼らの少し先が見通せたりします。これはやっぱり、5日間でも、2週間でも、1か月間でも、わからなかっただろうなと思います。

できるだけ、一人一人に合った育児が実践できるようになることが、本当の意味で幸せな人が増えることにつながると思います。みんなそれぞれが、それぞれの形で幸せになるために、制度や仕組みをうまくつかえるような環境であってほしい。

職場のパタハラが厳しいとか、同僚に仕事を引き継ぐのが気まずいとか、そんなクソみたいなこと(暴言失礼)は一切気にせず、家族の幸せを実現できる環境であってほしい。

そう願ってやみません。(もちろん、会社内でも人間関係が大事なことも承知の上で、です。)

育休を10か月とっても得られないとわかった、ひとつのこと。

最後に、育休を10か月間も取得したのにこればかりは叶わないとわかったことが、ひとつあります。

それは、どれだけ時間をかけようと、どれだけ愛を込めようと、どれだけ・・・とにかく何かしようとも、絶対ぜったい、母親には敵いっこないってことです。

正直に言います。

育休10か月も取ったんだから、赤ちゃんの頃にほとんど毎晩自分が寝かしつけてあげたんだから、もしかしたら、娘が少し大きくなったら、妻(ママ)より僕のことを慕ってくれるとうか、なついてくれるんじゃないかって、ほんのちょっと・・いや、まぁまぁ期待したりしましたよ。

3歳になった娘はいま、自分になついてくれているし、父と娘のすごくいい関係を築けていると自負しています。

でも、朝目が覚めるて隣にいるのがパパだけだと、やっぱりママがいいと泣くし、ママ>パパ、ということには変わりありません。

なかなか文章では表現しづらいけど、日々の感覚として、ママ=パパではなく、ママ≧パパでもなく、もちろんママ<パパには程遠く、ママ>パパなんです。

やっぱり、母親の存在は偉大なのです。

パパより、ママがいいのです。

もうこれは、覆しようもないことなのです。

育休取る前から、なんなら子どもが生まれるずっと前から、きっとそうなだってことは頭では分かっていました。でも、淡い期待というか、実際のところどうなんだろう?って思いもありました。

で、実際はやっぱり、パパよりママ、でした(笑)

こりゃもう、生物学的に、生命の原理的(?)に、そうなんですよ、たぶん。

10か月間の育休経験者として言いたいこと。

なんだかんだ言って、子どもは「ママ」を選ぶんです。でも、だからパパが育休取っても仕方ないとか、そういう話ではなくて。

『家族で子育て』という幸せを、いかに実現するか?とう課題に対して、産休や育休という制度や仕組みをいかに自分たちらしく利用するか、という話です。

ある家族は、夫婦二人で育休取って子育てしてもいいし、またある家族は、ママだけが育休をとってパパは仕事に専念するのもアリです。5日間のパパ育休だってアリだし、10か月間だってアリです。

僕が言いたいことは、「会社が男性育休を推進しているので、人事部に言われるがまま5日間の育休を取得しました」とか、「周りでも男性育休を取る人が増えてきたし、”とりあえず”取得するのが好ましく見られるっぽいので2週間くらい取得しておこう」とか、そんな風に制度をつかうんじゃなくて、もっと主体的に育休制度の利用を考えてほしいなということです。

僕は育休期間中に、もっといろんなことをやってみたいと思ってもいました。好奇心旺盛な性格な故、やりたいことが多すぎるのでここには書きませんが、けがや病気でもなく、勤めている会社を1年近く休める機会なんてそうそうありません(サイボウズさんの『育自分休暇』みたいな先進的な制度を運用している会社でない限り)。

残念ながら新型コロナウイルスの大流行とともに育休生活が始まってしまい、育児以外にやりたいと思っていたことをあきらめざるをえなかったりもしました。もちろん育児中心の生活をするつもりでいたし、当初は1か月で自分がぶっ倒れたり、慢性疲労で動けなくなったりすることは想定していなかったので(笑)、育休中に育児以外でもやりたいことをいろいろ考えていたんですよね。

僕の育休計画はうまくいかないことも多々あったけど、兎にも角にも、子どもが生まれるって人生のターニングポイントの一つだと思います。だからこそ、そこから自分がどう生きていくのかということを考える良い機会だと思います。

そういうきっかけをうまく利用して、誰もが自分らしく幸せに生きられる道筋を改めて立てられるといいなって思います。そんなこと言いながら、自分がちゃんと幸せに生きる道筋を立てられているのか?というと、まだまだはっきりしない部分もあったりしますが、育休期間は、これからの人生をあれこれ考える良い時間になったことは間違いありません。会社員やってると、どうしても仕事のことが常に頭の何割かを占領してしまいますからね・・・。

最近、政府目標として男性育休を30%にするとか、そんなことも言われています。実際に育休取って新しい生活に奮闘していくのは僕たち自身なわけですが、育休を取得する人たちが所属する”会社”というものは、そんな僕たち自身を置き去りにして、数値を達成することだけを目的として動きがちだったりします。

もちろん、数値目標が達成されることも大事ですが、実際に奮闘する僕たちは、育休という制度を、自分がこれからどう生きるのか?を考えるきっかけとしてうまく利用できればいいなと思います。会社に言われるがままではなく、自分の人生を考えるための貴重な時間として育休をつかえるといいなと思い、過去の自分の記憶と記録を振り返りながら、このnoteを書きました。

これから子どもを持ちたいと思う人、具体的に育休を検討中のパパ、あるいはダンナ様に育休を取ってほしいと思っているママさん・・・そんな方々にとって、何か少しでも参考になるnoteになったら、嬉しく思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

お気持ちだけでも嬉しいです。ありがとうございます!