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アメリカにおけるCOVID-19対策経済安定法による個人への現金支給の概要

・アメリカでは年収1500万円までは子供二人がいる家庭に36万円を支給!

1)アメリカでは,超党派による2兆ドル(約218兆円)の経済支援を含むthe Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Actが成立
2)所得制限を設けて,成人一人あたり1,200ドル(約13万円)を支給。16歳以下の受給資格のある子どもがいる世帯では追加で500ドル(約5万4千円)を上乗せ支給する
3)(調整済みの)総所得が成人(独身)で7万5千ドル(約810万円),夫婦(子供なし)合算所得15万ドル以下(約1620万円),世帯主収入11万2500ドル(約1215万円)以下の場合は満額が支給される
4)これ以上の所得がある場合は,徐々に減額が行われ,独身では9万9千ドル(約1070万円),子供なし夫婦では19万8千ドル(約2140万ドル),子供二人がいる家族では21万8千ドル(約2350万円)以上の総所得がある場合は受給はゼロとなる
5)成人でも扶養家族の場合は受給権がない
6)原則として受給者はすべて社会保障番号が必要
7)減額は満額上限から25ドルにつき1ドルが順次減額される
(source; https://www.nytimes.com/article/coronavirus-stimulus-package-questions-answers.html
https://www.cnet.com/how-to/coronavirus-1200-stimulus-check-find-out-if-youre-eligible/
https://www.washingtonpost.com/graphics/business/coronavirus-stimulus-check-calculator/)

・アメリカでは9割近くの人々が給付を受けられる

1)調整後総所得が7万5千ドルの独身は,申告所得の統計(2017年段階)をみる限り77%が満額の支給を受け取り,10万ドル以下までをみると89%となるため,概ねアメリカの独身成人の85%がいくらかの現金支給を受け取る。世帯では95%が満額支給を受ける。
2)所得制限はあるものの,非常に多くの世帯が受給を受けることができる模様。
3)また,年収1500万円以下の世帯では,子供が二人いるケースで36万円近くの受給を受けることができる。
(source; https://www.irs.gov/statistics/soi-tax-stats-individual-income-tax-returns-publication-1304-complete-report , table1.2)

・日本とアメリカを比較して

1)日本では申請世帯に対して,世帯単位で10万円一括支給の案が出ている
どれだけの規模の世帯が受け取れるか不明
2)日本でアメリカ並みに9割の世帯が受け取れる可能性について、一案としては1000万円以下とすることも可能性として考えられる→平成30年国税庁『民間給与実態統計調査結果』第3表の給与階級別表によれば1000万円以下で調査対象の93.2%が包摂される
3)財務省資料p.49で見ても,児童手当についての調査で600万円以上1000万円未満が最も子育て費用への支出傾向が強い,すなわち一定の高い消費性向(給付を支出に回す傾向が高いと推定される)を見せているものと考えられる
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20191009/01v2.pdf
4)以上の比較や想定から,日本では給付の規模がアメリカと比較して非常に小さく,カバーされる範囲が極めて狭くなる危険性が考えられる
5)実は低所得グループにおいても貯蓄等に回す可能性も考えられる(財務省前傾調査)
6)中間層及び子育て世帯を含めた広い層への十分な支給のほうが,家計支出を押し上げ,景気対策的にもプラスに働く可能性も考えられる


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