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社内スタートアップ タビトシゴトという自社サービスを事業会社で立ち上げ学んだこと


概要

2022年10月から構想を始め社長ピッチを行い、翌年2023年2月6日にリリースした初めての自社サービス"タビトシゴト"を通して学んだ自社サービス開発の難しさとそこで得た学び、この短期間の中で何をしどう進めてきたのかをお話しします。

ここで学べること

同じように事業会社の中で自社サービスを開発したいと考えている時に考えなければいけないこと、進め方、陥る罠などを実際の事例を通して学べます。

感謝

最後までタビトシゴトにご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。
タビトシゴトは本日をもってサービスを一時休止いたします。

第0章: ワーケーション検索サービス「タビトシゴト」とは

2023年1月20日に公開したサービス、ワーケーション検索サービス「タビトシゴト」というサービスがありました。

このサービスを作ろうと思った背景としては、2022年から2023年の間、エンジニアのリモートワークが普及し、オフィス以外の場所でも仕事ができる環境が整ってきました。その中で、リフレッシュをしながら仕事をしたり、チームビルディングを促進したりと、より自由度の高いワークスタイルの促進にワーケーションの活用が期待されていることを知ります。

ワーケーションを活用し日本全国どこにいても仕事ができるようになることで、地方創生の活性化を夢見ていました。
しかし、滞在先で普段と変わらない業務をこなせるのか、仕事と休暇のバランスをどのようにするのかなどの懸念や不安も上がっており、なかなかワーケーションに踏み切れない人も多いという実情もあり、実際に私も体験する中でこの課題についてを認識していました。
ここ課題の根本原因としては、仕事をする施設や環境の情報が十分に提供されていないことが要因の一つと考え、我々が考える必要な情報を届けるサービスを開発したのでした。

それがタビトシゴトというサービスです。

実際にサービスが提供する情報としては、下記のようなものを取り扱っていました。

  • 宿泊施設の環境や設備情報

  • 滞在先のワークスポット情報

  • ユーザーのワーケーションのくちコミや体験記

  • ワーケーション視点でみたときのバケーション情報

「タビトシゴト」は、旅も仕事も全力で楽しむ人のためのワーケーション検索サービスです。

宿泊する施設の環境や設備情報、滞在先のワークスポットなどしっかりと仕事も行うために必要な情報を提供し、ユーザーがワーケーションを実施する際に具体的なイメージを掴むサポートすることで、ユーザーの不安を軽減、よりワーケーションを行いやすくすることを目的として開発してきました。

Top画面
施設一覧画面


第1章: 自社サービスを立ち上げたいと思った時に気をつけること

社内で新規サービスを自社サービスという形で、BtoB, BtoCの形どちらでもいいのですが開発しようと思った際に、下記の項目について意識することをお勧めします。
なぜこんな項目を作ったのかというと、それは何も考えずサービスを立ち上げ、事業化まで見据えていたとしてもステークホルダーとなる人との合意、稼働調整、投資条件など、隔たる障壁がたくさんあるためです。
私がここを意識した、後から振り返り意識すればよかったと思ったことは下記の5つの項目になります。

[自社サービス立ち上げ時に意識すること]
①: 構想しているビジネスドメインがKAGが投資する判断軸に沿っているのか
②: 立ち上げ時、開発時のチームメンバーの稼働調整
③: 開発したサービスのKPIとその後のKAGからの投資条件の確認
④: プロモーション費用を忘れるな
⑤: 最終的に開発したサービスをどうしていくのかの合意

①: 構想しているビジネスドメインがKAGが投資する判断軸に沿っているのか

「アンゾフの成長マトリクス」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?


新しいサービスを事業会社などで立ち上げ、新しい事業として進めようと思った時に、「アンゾフの成長マトリクス」をまずは考えることが良いでしょう。
下記が、アンゾフの成長マトリクスと呼ばれるものです。

引用元: https://mirasapo-plus.go.jp/hint/15043/

どのように見るのかというと、成長戦略を「製品」と「市場」の2軸とし、さらに「既存」と「新規」で分けた時にどこを対象にサービスを作っていくのかを考えることができます。

①: 左上に位置するものが、既存製品✖️既存市場を対象として会社の事業における売り上げや市場シェア拡大を目指す戦略になります

②: 右上に位置するものが、新規製品✖️既存市場を対象として、今までの市場に対して新しいサービスを開発し、会社の売り上げを拡大する戦略になります。

③: 左下に位置するものが、既存製品✖️新規市場を対象として、既存の製品やサービスを新しい市場に対して投入し、戦っていくそんな戦略になります。

④: 右下に位置するものが、新規製品✖️新規製品を対象として、新しい市場に新しい製品、サービスを投入する戦略になります。ここはサービスを開発するコストだけではなく、自社が今までやっていない市場に対してサービスを出していくことになるので、かなりのリスクになるのです。

さて、では、「タビトシゴト」はどうだったのでしょうか?

このタビトシゴトを企画し、社内でピッチさせていただいたのが、2022年の11月、会社が設立したのが2022年の5月。私が入社したのが、2022年の10月だったので、会社はこれからコアな事業、すなわちアジャイル開発の案件を獲得し、売り上げを伸ばすフェーズではありました。
入社直後、会社の知名度も無い中で、会社の技術力を社外に出しつつ自社サービスの開発をし、コアな事業以外の売り上げ、事業を持つことを目標にしていたので、私がピッチをし進めようと考え、動いてきたことが背景にあります。
さて、この背景をもとにアンゾフの成長マトリクスを見てみましょう。本当であれば、コアな事業が元々あり、その拡大を既存の市場に対して行うマトリクス①は、コアの事業でもあるので、ここはやっています。
会社としては、それ以外に新しい市場に対して既存のアジャイル開発の内製化支援を行うための営業も行っていたので、マトリクス③もできていました。
そうなった時に、新規の自社サービスを立ち上げ、売り上げに貢献しようと思えば、マトリクス②にある、「新規製品✖️既存市場」の土壌で戦うべきでしたし、既存の市場についてはお金を投資してくれる経営陣も理解があるので、大きなリスクにはならず、サービス開発を進められたのでは無いかと考えています。
ただ、当時の私にこの知見はありませんでした。
選択としては、マトリクス④である「新規製品✖️新規製品」でビジネスモデルを考え、ピッチをしサービス開発を続けてきました。
なので、ここで伝えたいこと、それは、事業会社で自社サービスを作ろうと思った時に、この「アンゾフの成長マトリクス」におけるどれに該当するものを作ろうとしているのか、会社のフェーズ的に求められていること、投資しやすいものは何かを考える必要があるということなのです。


②: 立ち上げ時、開発時のチームメンバーの稼働調整

狙うべき市場、つくりたいサービス、ビジネスモデルが決まったあと、考えなければいけないのは、このサービスを「誰が・いつ作るのか」という問題です。
事業会社の中で働くということは、基本コアとなる事業があります。私はエンジニアというロールで働いていたので、もちろんコアとなる案件があり、その開発を行う必要があります。
そうすると、アイデアはあるがだれが・いつ作るのか。これは残業になるのかならないのか。人の追加ができるのか、できないのかを考えなければいけません。
まず調整しなければいけないのは、自身の稼働と開発メンバーの確保、稼働調整です。
案件が決まってしまっている場合、契約上10割の稼働を案件側に降らなければいけない場合は、残業で開発することをしてもいいのか、ここは交渉する必要があります。

次に開発メンバーのアサイン。
新規で自社のサービス開発をしようとすれば、必ずマイナスの資金からスタートになります。なぜなら、開発しているものがすぐにはお金を産まないからです。
業務委託のメンバーでもプロパー社員でもいいのですが、1人当つきにいくらの人件費がかかるのかは意識しなければいけません。ここも調整が必要となります。
そうすると言われるのが、いつまでに何をつくりたいのか、その後はどうするのか、継続的に人件費を払わないといけないのか。ここを詰める必要が出てきます。
計算してみてください。普段やっているプロジェクトでどれだけ人件費がかかっているのかを。
そうすると長く新規サービスをやろうと思うと、トータルでいくら会社が払わないといけないと分かります。そうすると最低、いくらまでなら出せるがそれまでに、ものを作りリリースしなければいけません。
この調整が本当に難しく、期間が決まれば自分が実現したい夢を形するときに、何の機能が本当に必要で、何の機能が必要じゃ無いのかを決めないといけないのです。
ここで初めて、機能を捨てることの重要性が分かります。真の意味でのプロダクトオーナーの仕事を理解した瞬間でもありました。


③: 開発したサービスのKPIとその後のKAGからの投資条件の確認

いつまでにいくらくらい必要で、何を作り、どう儲けるのか。結果、これを作った会社が何を得られるのかが分かると、次は、この新規サービス開発を進める上での進め方を考える必要があります。
新規サービスを開発する中で、スタートアップがやっていることは、「実証実験」です。
つまりは、自分たちが考え、作りたいものが世の中の人たちが使ってくれるのか、どんな機能を求めているのかを確認し、サービスとして継続するのかしないのかを判断する。それを経て追加の投資を得るそんな流れで進める必要があります。
我々も下記のプレスリリースにあるように実証実験を3ヶ月間行いました。

「目的は、そもそも我々が考えるワーケーションの需要と、ワーケーションにおける課題。その解決策があっているのかを確認することが目的でした。」
実証実験中も、人件費は発生し、ホスティングしているインフラの費用もかかります。なので、短期決戦で知りたい情報を獲得することが重要でした。この実証実験をする中で重要なこと。それは、何を持って、当初の目的「目的は、そもそも我々が考えるワーケーションの需要と、ワーケーションにおける課題。その解決策があっているのかを確認することが目的でした。」を達成したとするのかということです。お金を出してくれるステークホルダーからすると、定性的な評価は投資の判断にはならず、なるべくなら定量的に取れる判断軸を持ち実証実験をすることが重要でした。

では、どんな条件(KPI)を定めて実証実験を行ってきたのでしょうか。

我々は、下記のクライテリア要件を定めて実証実験を行ってきました。

実証実験クライテリア要件

  • 1)2000人のユーザーにサイトを見てもらう

  • 2)アンケート調査をして40人から解答を回収する

  • 3)28人から(40人の70%)サービスの高評価や継続利用意向を獲得する

結果はどうだったのでしょうか。
下記がその結果になります。
1)2000人のユーザーにサイトを見てもらう
=> 新規ユーザ数: 2381名

2)アンケート調査をして40人から解答を回収する
=> アンケート回答数、全体として169件集まる。

3)28人から(40人の70%)サービスの高評価や継続利用意向を獲得する
=> ユーザの声としてはタビトシゴトの継続を求める設問に対して過半数以上が継続を望む声が多かった。

つまりは、サービスの継続判断となるクライテリア要件を超え、継続することができることとなったのです。
が、ここで重要な問題が発生します。それは何かというと、我々は実証実験後にこのサービスがクライテリア要件を超え、サービスの継続判断にOKが出た後、何を会社として支援してもらうのかということについて合意が取れていませんでした。
その後、起こったこととして、有償サービスとするとユーザーに対して担保しなければいけないSLAのレベルや求められる責任範囲が広がってしまうこと、無償サービスで試験的にプロダクトとして提供できる範囲に絞って欲しいこと、開発チームのフルアサインはできないなどの問題が発生し、サービスとしては完全に止まってしまう問題が起きてしまったのです。なので、ここで重要なこと、それは、実証実験後に開発しているサービスをどうしたいのか、会社として支援してもらいたいことはなんなのか?次のロードマップ、投資額についてをきちんと合意してもらうことを確約した状態で走るべきということが教訓になります。

④: プロモーション費用を忘れるな

新規のサービス開発の中で忘れてはいけないこと、それは、プロモーションです。なぜプロモーションが重要なのかといえば、我々が良いものを作ったとしてもそれを広めなければ誰も使いません。

では、どうやって新規サービスを現代でいうバズらせれば良いのでしょうか?ここで考えることとしては、「イノベータ理論」というものがあります。

イノベータ理論というのは、新たなサービスが市場における普及率を示すマーケティング理論を指します。イノベータや、アーリアダプタというのが、とある新規サービスに対して使ってくれかつ、コアなファンとしていてくれる人たちです。新しい製品を積極的に採用する好奇心を持っているので、ユーザインタビューなどすると実際に触っているユーザの声として様々な情報を得ることができます。

次にアーリマジョリティーのレイヤの人が使い始めるとそのサービスは「すでに流行が始まっている」と思って良いと思います。

引用元: https://www.utokyo-ipc.co.jp/column/innovation-theory/

このイノベータ理論で超重要なことが、イノベーター理論を語る上で欠かせない「キャズム理論」と呼ばれるものです。キャズム理論とは、初期市場とメインストリーム市場(アーリーマジョリティ・レイトマジョリティ)の間にキャズムと呼ぶ溝があり、このキャズムを乗り超えられない限り、新しい商品はメインストリーム市場で普及させることができないといったものです。これがすごく難しいからこそ、新しいサービスを作った時には、いかにそのサービスを使ってもらえるか、普及させるのかを考えなければいけません。

引用元: https://www.utokyo-ipc.co.jp/column/innovation-theory/


タビトシゴトでは、主にSNSとワーケーションをこの言葉が生まれる前から実施しているユーザを巻き込みイベントなどを実施してきました。それにより、タビトシゴトを知ってくれた人も多かったんじゃないでしょうか。

[Note]


[X(旧: Twiiter)]

https://x.com/tabitoshigoto?s=20

[Connpass]

[実際に行ったイベント]

[Youtube]

イベント自体、北海道にある鶴居村という場所にて1回しかできなかったのですが、この取り組みが取り上げられ鶴居村の公式Youtubeチャネルに掲載されております。


サービスのリリースが見えてきたタイミングで、プロモーションに対して、効率的にユーザを獲得できるのにはどうすれば良いのかを考えます。そして、こうしたイベントやPR Timesへの寄稿、キャンペーン施策などにはお金がかかります。様々な施策を検討し、何が効率的でどれくらい費用がかかりそうなのかをまとめることをお勧めします。


⑤: 最終的に開発したサービスをどうしていくのかの合意

最後に考えなければいけないことそれは、このサービスが事業化する、しないにしろどう維持保守していくのか、機能追加をしていく想定があるのか、実証実験後はサービスを潰すのかということを考えてください。
いつまでこの作ったサービスを継続し、誰が、どれくらいの工数をかけて保守するのか、そこが重要です。もし仮に実証実験後のクライテリアを超え、サービス継続判断が下り、上に書いたように専属のチームが割り当てられ、機能追加、保守ができるのであれば、それに越したことはありません。

ただ、逆に手が空いた時に保守するくらいでしか継続ができないのであれば、サービスを潰す判断をした方がいいでしょう。

サービスを世の中に出してしまった後に、そのサービスが何も回収されずほって置かれる結果、無駄に生き続ける保守も機能改善もされないサービスそのものが負債として残り続けるからです。

第2章: ビジネスモデルとピボット

新規サービスを作るということは、そのサービスのビジネスモデルが存在します。

ではどうやって作ればいいのでしょうか?
まず、私がやったことは、PR/FAQとDesign Docsを作成するところから始めました。
PR/FAQとは、サービスを作る前にそのサービスのプレスリリースを書くことによってどんなサービスを作りたいのかを言語化することができます。
FAQについては、想像にはなってしまうのですが開発するサービスでどんなことができ、何ができないのかなどが分かるそんな効果があります。
次に、Design Docsなのですが、これから開発していくサービスではどんなアーキテクチャで何を作り、コスト感、何をトレードオフとし作っていくのかをドキュメントとして残すことで、より作っていくものの理解を深められます。

[Design Docsについて]


次に、やったことは、PEST分析を行いました。

ワーケーション市場における「政治」「社会」「経済」「技術」に関して、調査を行い、下記のような表を作っていくことで、ドメインに対する知識とビジネスモデルとしてどんなものがいいのかを考えるネタになります。

[PEST分析]

そこから、MVPキャンバスと記載した言葉の裏付けとなる情報を調査し、言語化していきます。

チームメンバとは、エレベータピッチを作成するため、サービスデザインのワークショップを行いました。まずは、ペルソナを定め、目指すべきゴール、ユーザジャニーを書き出していきます。
その後、エレベータピッチに落とすために必要な情報を整理し、最終的なエレベータピッチのものを作成しました。

エレベータピッチ、MVPキャンバスができると、どんなサービス、方向性のものをこれから作ろうとしているのか、個人だけではなくチーム全員で共通の理解をすることができます。ただ、これだけではビジネスモデルとしてちゃんと稼げるサービスなのか、どんな登場人物がいて、どんなお金のやり取りが発生することが見えてきません。
そこでビジネスモデル図解というものを我々は使いました。

実際に誰が誰に何をどのように届けるのかを図解することができます。
下記は、タビトシゴトにおけるビジネスモデルを作った時のものになります。

こうすることで実際のお金の流れを追いながら、お金をどう稼ぐのかを可視化することができるのです。その後、ここまでまとめた内容を実際に計算してみてどうなるかをまとめることをしました。

このようなビジネスモデルを可視化した後は、本当に書き上げたモデルでいくのかを考えます。
このタイミングで幾度もピボット、すなわちビジネスの方向性を変えることをしてきました。こうやって、よりハマるビジネスモデルを作れると、次は実際にサービスを作り始めていくそんな形で進めました。

こうすることで実際のお金の流れを追いながら、お金をどう稼ぐのかを可視化することができるのです。その後、ここまでまとめた内容を実際に計算してみてどうなるかをまとめることをしました。
このようなビジネスモデルを可視化した後は、本当に書き上げたモデルでいくのかを考えます。このタイミングで幾度もピボット、すなわちビジネスの方向性を変えることをしてきました。
こうやって、よりハマるビジネスモデルを作れると、次は実際にサービスを作り始めていくそんな形で進めました。

====ピッチ資料====

資料1

資料2

資料3

資料4

資料5

資料6

第3章: POとしての動き方

このサービスを立ち上げた後からは、私がプロダクトオーナーとし、タビトシゴトというプロダクトの方向性を日々考えていました。

サービスを開発するメンバーは、エンジニアが2名 + スクラムマスターが1名、POは私とOさん、マーケティング担当者が1名、デザイナーが1名といったメンバーで進めてきました。

稼働状況としては、エンジニアの方々の稼働は月の稼働が10割、それ以外のメンバーは2割~5割の中でサービス開発をせざる負えなかったそんな状況でした。

また、月にかかる人件費については、常に言われていました。それもあり、2022年11月くらいから開発に着手をし、2023年の2月くらいにリリース、そこから3ヶ月間を実証実験期間とし、サービス継続の判断を行うというのが、経営層と合意したことでした。

そうすると、実際に作るもののデザイン、機能を考慮しても完璧なものを作っていくのが難しいそんな状況に置かれているというところからスタートしたのです。

まずやったことは、デザインを待ってもすぐにはできません。
このタビトシゴトをいいものにしていきたいといデザイナーの熱量もあり、開発とデザインが並行で動ける形を目指しました。

最初にやったことは、私の頭にあるイメージをチームメンバーに伝えることです。
そこで、Studioを利用し、下記のようなものを作ることから始めました。このイメージと、Miro上に作ったワイヤーを元に動くものをまずは作り、デザイナーの方にはこのワイヤーをもとに正しい形として、UX観点を意識し、UIのデザインを落としてもらうそんな進め方をすることにしました。


デザインについては、いきなり全て作ってという進め方ではなく、まずチームが思うタビトシゴトというサービスの色や雰囲気を合わせる作業、ムードボードと呼ばれるものを作成するところから始めました。
これにより、色味を定め、ロゴの見た目を整えることから始めたのです。

次に行ったこと。それは、表示する情報を整理することです。
情報設計」を行い、どのページに何を優先的にどの項目を表示させたいのかによってUIの見た目を調整したいというデザイナーからの提案でした。
これがものすごく体験がよく、私自身もどのページで何の情報を出すことが効果的なのか、ユーザは何を求めこのサービスを使おうとしているのかを考えるきっかけにもなりました。

例えば、ある一覧ページがあったときに、そこで表示している項目と、詳細画面に遷移したときに同じ項目を表示しているのでは、詳細ページの意味がありませんよね。

そんな形で、一覧ページでユーザが求めている情報とは?を考え、UIをデザインし実装していく。とても重要なことだと感じています。

最終的なデザインについては、Figma上に作成いただき、このFigmaを通してレビュー、コメントをやり取りしていきました。

また、確認いただければ分かるように、実証実験中に気づいたこととしてスマホから確認した時のレスポンシブなデザインの需要があることが分かり、そのデザインも作っていただきながらスマホ表示対応および機能追加のタスクを切りながら調整するそんなことをしていました。

私がPOとして動いている中で、一番重要視したことは何だろうと当時のことを振り返るとそれは、「サービスに対する誰にも負けない熱量」と「稼働調整」そして、「収益化」でした。サービスに対する熱量とは、このサービスを本気で事業化させるつもりでいたし、サービスを通してビジョン/ミッションをちゃんと持って動いていました。
これが一番重要なのです。熱量がなければ誰も一緒にやりたいとは思いませんし、そのサービスを事業化させるなんて叶うはずもないのです。僕らが、作っているサービスって、必ず社会における課題などがあり、それをソフトウェアの力で解決できると確信があり、開発するはずですよね?

当時の思いとしてはこんなことを考えていました。

>2019年、コロナが流行し、テレワーク中心の働き方が強制された結果、エンジニアとして働く環境に制限がなくなったように感じました。
それによって、時間と場所にとらわれない働き方ができるようになったことで、ワーケーションという新しい働き方ができるんじゃないかと本気で思うようになりました。
また、実際にワーケーションをした中で、こうも思うようになったのです。
「普段仕事をしている場所、オフィス、自宅から離れ、地方で弾丸的に働く。そして行った先の地域に住むエンジニア、私と同じように都心からワーケーションでたまたま会ったエンジニアとの繋がることができたらなと」

そんな想いを持ちもしこれがサービスとして作れたら絶対に楽しいなと。そう、それを目指すサービス。それが「タビトシゴト」なのです。

引用: https://note.com/tabitoshigoto/n/n3ed780c68e7f

次に、稼働調整です。
全員が100%の稼働を使えない中でいかに無理をさせずにS-inを目指せるのかを常に考え、タスクを作成していました。なので当時、ビジネスモデルを考え、協業先を見つけ、深夜ずっとタスクを切る時、この機能って本当にいるっけ、今必要なのか、どうすれば実装とデザインが楽になるのか、を考え考え、ずっと考えていました。

これが崩壊すると、チームメンバーは常にタスクに追われ辛い状況のまま開発、作業をすることを余儀なくされます。

そうはなってほしくないですし、なので、ここはずっと考えていたなと当時を思います。

最後に収益化です。
これは何を言っているのかというと、単発ですぐにお金にならないですが、じゃあどうすればこの新規サービスで儲けられるのかを考えることに時間をたくさん使いました。

何を実際にやったかというと、具体的にはいろんな業界の人に自分の作りたいものを伝え意見を聞き回ることをしていました。

開発しているものもワーケーション検索サービスです。なので、地方へワーケーションしながら、そこで会った人たちに自分がやっていることを伝えディスカッションすることは意識していました。

それもあってか、旅行会社2社の方々と繋がり、そこからビジネスになる可能性をつくり、どんな形で協業するかまで話を持っていけたことは、すごく楽しかったなと思っています。

第4章: 社内スタートアップの立ち上げはスクラムでやることは難しい

ここで伝えたいことは、この新規サービスを開発している中で思ったことを言語化したいと思っています。

それは一言、立ち上がり当初のスタートアップは、考えること開発すべきものが膨大にあります。
ビジネスモデル、協業先、営業先を見つけ営業、タスク化するまでに考える時間に割きたいですし、1日がこんなにも短いのかと悲観したこともあります。

ある程度成熟したチーム、会社、であればそんなことはないのですが、僕の知っているシードのスタートアップはみんな命を削ってサービスを作っていました。

彼らと同等のものを作ろうと思えば、とにかく時間がないのです。社内スタートアップの立ち上げは全てスクラムでやることは難しいと感じた瞬間でもありました。

第5章: サービスを潰す勇気

サービスを潰す勇気。最後私が後悔したことは、この新規サービスがサービス継続判断がおりた後に、会社がそれでも継続の投資ができないと分かった時点で潰す判断を下せなかったことです。

そのせいでズルズルとサービスは生き続け、ただ追加の開発も保守もできないそんな状況が続きました。

今思えば、もう無理だと分かったときに潰すためにすべきことができればこうはならなかったと反省していることでもあります。

最終章:本当にやりたかったこと

最後に伝えたいこと、それはもし熱量を持って本気でやりたいサービスがあればぶつけてみるべきです。戦ってみてください。このタビトシゴトを開発し、進めた時間はチームにとっても会社にとってもプラスにしかなってないと思ってます。

何より多くのことを学びました。POの辛さ、新規事業化の難しさ。スタートアップの人たちがいかに死ぬ気で戦っているのかを感じました。

ただ、これを読んでいる人はきっと新規サービスを作りたいという気持ちが少なからずあるはずです。面白いアイデアがあればぶつけてください。上司でも、同僚でも私でも大丈夫です。

応援しています。最後まで読んでいただきありがとうございました。

また、最後までタビトシゴトにご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。
タビトシゴトは本日をもってサービスを一時休止いたします。

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