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不思議なコーヒーハウス

ライブ:コーヒーハウス・モナレコーズ 小西康陽・花田裕之・高橋元希、【DJ】YOU (下北沢・Mona Records、2023年5月24日)

今回の催しは、小西康陽さんのイベント・シリーズとお見受けしたのだが、1週間のど真ん中、ど平日の水曜日にもかかわらず、モナレコーズは早々にぎっしりの満席状態。DJ YOUさんによる、どこか懐かしく、心地よいSEに耳を傾けていると、やがて小西・花田・高橋の三氏がステージに現れ、挨拶。そして、三者三様のアコースティックギター・ナイトとなったのであった。

まずトップを飾ったのは高橋さん。元希ゲンキという名の通り、元気なお人柄。曲中に店の名前「モナレコーズ」を織り込んで歌うなど、なかなか洒落っ気あり。テンポよく明るい曲の数々は、むしろバンドセットで聴きたいかも。まさに「バンドをやろうぜ」の歌詞フレーズがぴったりくる感じ。細身で色白、短髪でベースボール・キャップのせいか、初々しい青年のように映ったが、意外にもご本人曰く「39歳」。人は見かけによらず。

続いて小西さん。貫禄たっぷりにギターを爪弾き、歌いかけては「・・・今日はやめときます」と言って、トークが始まるのはネタなのか、何なのか(笑)。実は筆者、恥ずかしながら小西さんについては、著書やインタビューを読んだことがあるぐらい。そこから博覧強記の人、というイメージを勝手に抱いていたのだが、本物を目の当たりにして、あながちそれは間違っていなかったように思った。普通の人の5倍速ぐらいで頭が回転しているのでは。と同時に、チャーミングなおじさま、という印象も。

トリは花田さん。「スーツケースブルース」から始まり、全部で8曲程度か。花田さん自身の自己申告通り、前のお二人に比べ、喋らない芸風。「お天道さま」「おさらば」「Hey Girl」等々、「流れ」ではおなじみのナンバーが直球勝負で並んだ。「なまずの唄」では、長尺にさらに輪をかけたバージョンを堂々弾き切った。お見事。ラストは「ロックンロール・ジプシーのバラッド」。小西さんがプロデュースした、花田さんのアルバムから納得のチョイス。作詞・作曲も小西さんで、優しく、愛らしい佳曲。アウトロのギター3連符3連発、格好よかった。

さて、最後に再びステージに登場したお三方と、DJ ブースのYOUさんに、観客席から熱い拍手が送られ、コーヒーハウスは大団円。開場/開演が午後7時。ライブがはねて店を出ると、時刻は11時になろうとしていた。なんと4時間近くの長丁場。でも、時間の流れ方がそこだけ不思議に違っていたような、ちょっとおかしな感覚だった。

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