yoshikazespyn

自分用映画記憶メモ。自分用なので見た映画については全作書こう。

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最近の記事

グレート・スタントマン(1978)

ハル・ニーダム監督作品。 びっくりするような見事な画面はない。思わずうなるような上手い演出もない。けれど、それは決して瑕疵とならない。 真っ青な空。体を張ったアクション。たっぷり詰め込まれたギャグ。車。馬。酒場での大乱闘。 「映画はこれで大丈夫だよ」 ハル・ニーダムもバート・レイノルズも、屈託のない笑顔でそう言い切っているかのようだ。この爽やかさにはちょっと抗えない。 第一、キャラクターみんなまったく悩んでいないのが良い。時折悩んでいるような顔が披露される事もあるが

    • 酒と女と槍(1960)

      内田吐夢監督作品。 吐夢らしいゴージャスな色使いで魅せる、武士道大批判ムービー。ド真ん中のこしらえでド外れた内容をぶちかます、ある意味この上なく贅沢な一品。 クレーン、ドリー、ロケ、セット、適当に撮った場面など見当たらぬこの気合いはどうだ。この翌年から大作シリーズ『宮本武蔵』に挑んでゆくことになる内田吐夢の質実剛健にして絢爛豪華な筆捌きには、まさに脂が乗り切っている。ちゃらんぽらんでアーパーな東映時代劇も、吐夢が撮るだけですげえ時代考証がしっかりしているように見えてくるか

      • ヴァンパイア/最期の聖戦(1998)

        ジョン・カーペンター監督作品。 キリストの10倍クールなJC、ジョン・カーペンターによる西部劇風アクションホラー。たぶん最初に見たのは15年くらい前だが、マクシミリアン・シェルの物凄い肩の力の抜けた演技に爆笑した事は明確に覚えている。というかクレジットで「and MAXIMILIAN SCHELL」の文字列を確認した瞬間、見間違いかと思ったものである。 今見ると露骨に『ゴースト・オブ・マーズ』のプロトタイプ的な作品だが、『スポンティニアス・コンバッション』ばりに激しく燃え

        • 勝手に逃げろ/人生(1979)

          ジャン・リュック・ゴダール監督作品。 天下のゴダさんでも、商業性の意識はやはり大事だなと思える作品。全編に散りばめられたシュールな下ネタギャグも笑えるし、とても見やすい。「あんたは天国に行ける。悪いが次の水曜には行ってもらう」 ファーストカットが薄雲の広がった青空という時点で期待をそそられるのだが(カメラはフラフラさせてるけど)、単なるモブでしかないウェイトレスのおねえちゃん(美人!)の顔を唐突な切り返しのアップで映してくるところでゴダさんの好調を確信する。「あなたが肉体

        グレート・スタントマン(1978)

          ゴジラ×コング 新たなる帝国(2024)

          アダム・ウィンガード監督作品。 どうも前作から、異形の作品『キング・オブ・モンスターズ』をどう希釈するかに苦心している感のある当シリーズ。 今作は、手術跡があまりに明らかだった前作『ゴジラvsコング』に比べれば、ずっと手際良く口当たり良く希釈できていると思う。クモンガもどきが出てきたりマンダもどきが出てきたりで、「この監督は東宝怪獣映画をきちんと見ているんだな」と分かるのも好感度が高い。後述のとあるシーンなんかも『サンダ対ガイラ』からの引用じゃないの、と思ってあげたくなる

          ゴジラ×コング 新たなる帝国(2024)

          暴れん坊街道(1957)

          内田吐夢監督作品。 江戸が生んだ最強の悲劇製作マシーン、近松門左衛門の原作を、『血槍富士』の前科だけでも最大級の警戒に値する内田吐夢が映画化! 2年後の『浪花の恋の物語』(傑作!)とは違い、こちらは素直な映画化である。 誰も責められぬ程度の愚行しかしていないのに、みなが動けば動くほど、パズルがはまるように悲劇が進行してゆく後半がいかにも近松門左衛門。止まらない死の機械がじりじりとにじり寄るようなスリルに味がある。 しかし本作の場合、エピローグでみんながみんな涙涙になって

          暴れん坊街道(1957)

          野獣死すべし(1980)

          ルチオ・フルチ監督作品。 松田優作&村川透の有名作と同じタイトルとかややこしいなあ、と思いきや、何と製作年まで一緒である。つまり誰が監督かどの国の映画か書かないと、完全に判別不能という事だ。イタリア語だと原タイトルも英語ほど言いやすくもないし、勘弁していただきたい。 こちらはギャングものであり、「市民の生活を底支えする良いヤクザが、大悪(大抵麻薬絡み)を行う新進気鋭の悪いヤクザと激突する」という、何千回聞いたか分からんような筋立て。ここまでくるともはや神話みたいなものであ

          野獣死すべし(1980)

          世界の終わりから(2023)

          紀里谷和明監督作品。 祝ソフト発売という事で早々に購入、早々に再鑑賞。 まったく隙だらけな話だという事は分かった上で、それでも、監督個人の妄想を相当数の人間がここまで一致団結して叶えてしまう、その団結力というか統率力に、あるいはそのビジョンの実現度の高さに、ストレートに胸打たれてしまう。 視線や空間の捉え方も、ルックの統一その他によるみすぼらしくならない画面の造形も、誰相手でも立派に胸を張れるクオリティじゃないかと、再見でも素直に評価したくなる。 それにしても、本当に

          世界の終わりから(2023)

          シャブ極道(1996)

          細野辰興監督作品。 シャブと渡辺正行をスパイスにした、まったり夫婦映画。『仁義の墓場』のほのぼのコメディ翻案。 まるでデメリットのない魔法の粉のように画面に映されるシャブ。誰も彼も本当に優しい奴らばかりの登場人物。ヤクザ稼業の惨さ過激さを回避するストーリー。 題材の扱われ方そのものが、ここまでまったり優しくで終始するのには、ちょっと驚きである。映画の頭から終わりまで、ハードな表現は一切顔を出さず、すべてに微温的な取り扱いが貫かれている。びっくりするような画面や演出が一向

          シャブ極道(1996)

          エレファント・マン(1980)

          デビッド・リンチ監督作品。 前に見たのは20年近く前、ここ数年で見直そうとしていたが、毎回冒頭の象さんにレイプされている(ように撮られた)女性のシーンで「ナメとるのかお前は!!」と突っ込んでしまい、見直せなかった作品。『エレファント・マン』だから、女性が象に襲われるところから始まるって、そんなアホな話がありますかアナタ。 しかし今回は何とかこらえて続きを見た。結果、「普通に良く出来た映画やんけ」と感心してしまった。我ながらいい加減すぎる。 あと、冒頭シーンは興行師の口上

          エレファント・マン(1980)

          ブレーキ・ダウン(1997)

          ジョナサン・モストウ監督作品。 いま見直しても、十分な楽しさのある映画だとは認めたうえで、それでもやや失望する。「画面」ではなく「お話」に注力した映画に見えてしまう。「初見時こそ最も面白いタイプの映画」と言い換えても良い。 映画における荒野の撮り方として、強烈さにまったく欠けているのが大弱点だ。この荒野では、テレビで初めて本作を見た時の中高生の私はともかく、今の私をフックはしない。荒野における光線の捉え方が、こんな程度の代物で良いとは、今の私にはとても思えない。 言い換

          ブレーキ・ダウン(1997)

          グレムリン2/新種誕生(1990)

          ジョー・ダンテ監督作品。 まともな採点システムをぶっ壊す、100点満点中「ぬ」点とか「Q」点とかがバグって出た結果、内部演算的には200点として計算されて優勝、みたいな傑作。 疑う余地などミリもなく、ジョー・ダンテの最高作はコレである。ダンテがこれを上回る傑作を撮る事は、もはや絶対にありえない。 何たって本作は、なかなか進まない『グレムリン』続編企画に剛を煮やしたワーナーが、「内容は何でも良いからとにかくオリジネーターのアンタがやってくれ!」とジョー・ダンテに企画を白紙

          グレムリン2/新種誕生(1990)

          昆虫大戦争(1968)

          二本松嘉瑞監督作品。 ご存知松竹のご乱心作品。視線劇としては妙に律儀にきちんと撮ろうとしているが、それ以外のあらゆる部分がすべてぞんざい。見ていて頭がクラクラしてくる。 冒頭、よりによって飛行する爆撃機を寄り目の写真止め絵でお出ししてきた時点で「ぬうッ!」と警戒。その直後にはもう映画が壊れはじめるんだから呆れる(虫にビビった米兵が水爆の投下扉をオープン!)。 どいつもまったく応援する気になれないキャラクターたち(浮気かっぱらい逃走を行う川津祐介はともかく、セルフ人体実験

          昆虫大戦争(1968)

          ハウリング(1981)

          ジョー・ダンテ監督作品。 全作見てるわけではないが、たぶんそのフィルモグラフィーで最も真面目なジョー・ダンテ。同脚本家での『ピラニア』より真面目。 映画のあちこちに「WOLF」ってロゴの入った小道具をしのばせたり(チリの缶と酒瓶は確認できました)、映画の流れとはまったく無関係にテレビに映るカートゥーンをカットバックに混ぜ込んだり、ラストカットはジュージュー焼かれるハンバーグ肉だったりと、「ふざけたいよおおおふざけさせてくれよおおお」ともがくダンテの姿を感じ取れます。 私

          ハウリング(1981)

          オカルトの森へようこそ THE MOVIE(2022)

          白石晃士監督作品。 内容的には、作中で頻繁に引き合いに出される『オカルト』よりも、NEO(仮)様降臨編たる『カルト』の続編、いわばNEO(仮)様奮闘編である。だからどうしたという話ではあるが。役者も昔のNEO(仮)様の方が太々しくて良いしな。 映画冒頭、いかにも夏らしい真っ青な空をおさえた画面に「おっ今回はイケるか!?」と期待させるも、家の中でのドタバタの後、表に飛び出すともう適当に白飛びした空になっていてボルテージガン下がり。終盤の夕陽への光線の変化のみ良し。 『ノロ

          オカルトの森へようこそ THE MOVIE(2022)

          侠女(1970〜1971)

          キン・フー監督作品。 ここまでくるともはやセルジオ・レオーネ以上である。思い入れの質量が違いすぎる。エモーショナルエンジンフルドライブとしか言いようがない。 何しろ話がぜんぜん始まらねえんだから凄い。 巻頭、モチーフをあらわしていると思しき蜘蛛の巣を映すだけでえんえん9ショット積み重ね! 画面ではじめて流血沙汰が描かれるまでに40分! 最初のバトルが始まるまでに60分! その間に進行した話は、そこまでの主人公とヒロインが抱き合っただけ! それでいながら凝りに凝った見せ

          侠女(1970〜1971)