”ドラマのFF”の原点。ATBを搭載して更に進化した「ファイナルファンタジーⅣ」クリアしました。

 クリアしてきました「ファイナルファンタジーⅣ」。

 91年のゲームなので86年生まれの私にとっては5歳の頃のFFだ。
 子どもの頃、いや、もう、だから未就学児の頃なんじゃあないかな。
 とにかくセシルは私のヒーローだった気がする。どっちかと言うと兄とか母が率先して遊んでたイメージ。この辺は前作の「FFⅢ」とかもそうかな。暗黒騎士! とか聖騎士パラディン! とか竜騎士! とか、とにかく未就学児の吉雅少年にとっては憧れであったり、親しみであったり、そういう……原風景に在った尊い何かが色々と詰まった存在だった訳だ、セシル・ハーヴィ……いや当時は姓なんて設定されてなかったから、セシルは。

 というわけで楽しく遊べてしまった。
 未就学児の頃に触れていたゲームを37歳になってから遊ぶというのは、なんというか童心を揺り起こされる素敵体験だったりもするので楽しい。
 購入したのは「Ⅲ」と同じく、スマホに移植されたピクセルリマスター版で。
 SwitchとかSteam版ではエフェクトとかもアプデされてるらしいけどスマホ版はそういう訳でもないのか、バイオのSEはあのSEキュウウィー↑↑↑だったけどホーリーのエフェクトはピクリマ版共通の使いまわしだったり、そういう演出面では結構惜しい部分も多かったんだけれど、概ね「FFⅣ」してたと思う。

 以下、ざーっと雑感。書いていこう。


・ストーリーの展開が早い。

 これは凄く思った。
 こんな早いもんだったのかって。

 良くいえばテンポがムチャクチャ良いし、悪くいえば落ち着きがないって感じかな。次はここ! 次はこっち! かと思ったらこんな事件が起こった! じゃあ次はここでこれをこうしよう! ……みたいなのがガンガン続く。といっても、コレは私の遊び方がそういう風にストーリーを追う事に軸足を置きすぎていて、じっくりレベル上げとか傍流の要素を拾わなかった、ってのも絶対あるんだろうけれど。
 だってオーディンとか取得しないままクリアしちゃったし。
 というか、オーディンっていつ取得しに行くのが正道なんだろう?

 でもスーファミ初期のゲームなんだし、容量制限の中で苦心して物語を一本書きおおせるってこういう事だったのかな~とも思う。
 クリア時のデータは22:29。
 因みにもっとじっくりやり込んだつもりだったⅢのクリアデータは19:42で今ちょっとビックリした。書いていて駆け足なゲームだったな~とかって勝手に思ってたんだけれど、そう考えるとボリュームは確かに前作より確実にアップしていたんだなと。
 
 今までスマホで遊んだゲームの最終データの時間を今試しに拾ってみたけれど、聖剣伝説が11:54で……FFⅣより後発ではあるもののロマサガ2は1週目が30:27、2周目が23:50……いや、まぁ、ロマサガ2は子どもの頃から超好きなゲームだから良いかな……。



・やっぱり人間ドラマ、それを描くキャラクター像が軒並み良い。


 キャラクターがみんなまず凄く魅力的。
 バロン王に拾われた孤児で王に恩返しすべく強力な暗黒剣を修めたけれど、繊細な心を持っていて、最近は乱命を発する王の豹変ぶりに忠義と正義の狭間で板挟みになる主人公、とか。
 召喚士の村で幼年期を過ごし、その村を焼き払ったバロン王国の尖兵である暗黒騎士に保護された後は紆余曲折を経て幻獣の世界に漂着し、そこで召喚魔法と黒魔法を修めて後に聖騎士パラディンになった彼のピンチに颯爽と駆けつける女の子!
 ……なんてのは、Ⅰ~ⅢまでのFFにはまず存在しなかったキャラクター背景だよね。

 よくドラクエと比較されていた当時のFFだけれど、この「ドラマ性」を強みに出してきたのはなんだかんだ「Ⅳ」が初めてだったんじゃあないかな。

 元々、戦闘画面はサイドビュー横から眺める方式で「武器をブンブン振り回すキャラクターアニメ」とか「影までつけて高速で移動する飛空艇」とか、ビジュアル面では他のゲームより頭一つ抜きん出ていたであろうFFが”ドラマ性”という強力な武器を追加して、まるで映画みたいな物語と世界を構築し始めたのはこの「Ⅳ」からだったのかな~と思う。

 ミシディアの双子の魔法使いパロムとポロムも好きだし、実直マッチョなのに奥さんには敵わない一面があるモンク僧のヤンも、オラオラした勢いがあって危なっかしいものの少年漫画の主人公さながらにカッコいいエッジとか、ちょっとシリアス目なストーリーを明るく楽しく盛り上げてくれる面白おじちゃんな面と、頼れる飛空艇技師! の二面性があるシドも大好き。

 いや本当に一番好きなキャラクターって決められないかも知れない。

 セシルは前述の通り本当に好きだし、竜騎士カインは見た目であったりキザったらしいところも含めて好きだし、数奇な運命を辿りながらもまっすぐに成長してパーティの心強い味方になってくれるリディアも凄い好きだし、この辺りは本当に悩ましい。

 いや本当に良い奴なんだよリディア。
 人の死に敏感な部分だったり、幻獣界で過ごした経験から色んなものに偏見がない部分であったり。この子がゴルベーザと黒竜に追い詰められて絶体絶命のピンチを迎えたセシルたちを助ける時の一発目の召喚魔法が、母と同じミストドラゴンだったりする点とか最高にエモい。
 リディアの召喚魔法エモ過ぎるだろ! ってなったもん私。

 とにかくどのキャラクターをとっても「コイツはこういうところが好きだな」って言えるキャラクターたちって、凄い事だと思う。


 ストーリー面に関してもやっぱり凄く衝撃的というか、感情移入できる良いストーリーしてたなぁというのが再確認できた。
 心優しい繊細な暗黒騎士が王の不興を買って、半ば流刑のように辺境の任務を任されるものの、その旅には幼馴染にしてライバル格の竜騎士が同行してくれて、王の豹変の理由を探ったり、途中で聖騎士パラディンにクラスチェンジしてからはピンチの仲間を「かばう」行動が取れるようになったり。
 ここはドラマ面とゲーム性が綺麗に合致した点でもあるね。
 事実、セシルが聖騎士パラディンにクラスチェンジした時のパーティはセシル+魔法使い3名って編成だからこの「かばう」が映える映える。これは間違いなく制作側も狙ったでしょ! セシルのかばうカッコ良過ぎだろ! って個人的には思ってるくらいに好き。


 この主人公のセシルとライバルのカイン、それとバロン王国の白魔道士ローザとの三角関係だったり、セシル解任後にバロン王国の飛空艇団を牛耳る黒い甲冑のゴルベーザとの長い因縁だったり、色々、色々あるんだ本当に。

 どこを切り取ってもドラマチックで、脇を固めるギルバートやテラ、ヤン、パロムにポロムにシドに……ってサブキャラクターたちもそれぞれ良いドラマや動きがあって、FFⅣは結構ストーリーを追う際に頻繁にメンバーチェンジがあるゲームなんだけれど、それぞれの時期のパーティとしての個性を把握して、そこから戦術を組み立てるのなんかも楽しい。
 ヤンとシドがアタッカーでセシルがタンクでテラが魔法役! とかね。


ATBアクティブタイムバトルの導入、それに伴うバトルの変化


 これはもう別に失点とか欠点とかとも思わないけれど、結構、荒削りな部分ではあるかな? とも思ったりする。
 一定の行動に対して敵がノータイムでカウンター行動を取る場合があったりして、例えば「物理攻撃に対して特殊技でカウンターしてくる相手」が居るなら、その相手に対しては魔法攻撃で戦うようにしないと相手の行動回数がガンガン増えて行っちゃったり。
 武器攻撃一辺倒ではなくって搦手を交えて戦わないと難易度が一変する点とかね。
 ピクセルリマスター版は一定の行動を繰り返し続けてくれるオートバトルモードが用意されているんだけれど、このカウンター行動のお陰で敵の編成に合わせて戦術を切り替えていくのが面倒である反面、楽しかったりもした。

 ATBアクティブタイムバトルというのは、アレです。
 ザックリ書くとスクウェアがスーファミ時代から導入した、敵味方入り乱れてバーが貯まったヤツから行動できるという、あのバトルシステムね。当時としては画期的というか、ターン制のバトルに慣れた……というか親しんでいた人たちにとってはなかなか新鮮なゲーム体験だったんじゃあないかな、と思う。

 いや、私は1986年生まれなので新鮮も何も「そういうものだろう?」みたいな目で見てしまうんだよな。
 確かにターン制バトルのゲームもたくさんあったけれど、「スクウェアのゲームってこうだよね」みたいな目で自動的に順応してしまうというか。「クロノ・トリガー」とかもそうだったし、なんならクロノ・トリガーは位置取りや技の範囲とかも含めたバトルシステムだったし。

 でも良くも悪くも緊張感は増したよな!
 ほっとくと敵がガンガン攻撃してきて一方的にボコボコになる訳だから!
 
 ……といっても、私は魔法や道具を選んでいる時は時が一旦止まるウェイト方式で遊ばせて貰ったんだけれど。バトルスピードを最速にしてアクティブ方式で遊んだ人はそれはもう気の抜けないゲーム体験になったんだろうなぁと思う。
 この前伊東ライフ先生がやってたもんなバトルスピード最速FFⅣ。

 でも恐らくこのATBアクティブタイムバトルに関しては制作側も上手くプレーヤーが馴染めるように色んな配慮をしてくれてたんだろうなって思える仕掛けが随所にあって、それこそ最初のボスのミストドラゴンからして、通常形態と霧になる形態の2種類が用意されていて、後者の形態に攻撃すると反撃の霧攻撃が飛んでくるので通常形態になるまで攻撃せずに待機するように! というメッセージが出たりする。
 この辺りは遊んでいく上で実によく出来た配慮というか、今でいうチュートリアルみたいな役割を担うバトルだったのかなと思うし、それは後々の四天王戦とかでも応用編が出題されるようになってたりもする。
 ここは素直に「楽しく遊べる仕組み」として上手に作ってくれてるよな~って、でもこれは大人になったから分かった部分でもあるのかも知んない。


 何にせよ、37歳になってから遊ぶFFⅣって懐かしさと新発見がある、素敵なゲーム体験となってしまったよ。



・総じて「荒削りながらFFの面白さがグッと前に出た良作」だった。


 
 というのが私の結論。
 (当時としては)斬新なバトルシステムであったり、魅力的なキャラクターの良さを活かした先が気になるストーリー展開であったり。

 次は何を遊ぼう。
 順当に行くなら「Ⅴ」だけれど、地味に初代ドラクエも遊びたかったりするんだよナ。それに「Ⅱ」も捨て難い。
 

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