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一言感想文

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400字以内で綴る読書感想文です。
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記事一覧

西尾維新「鬼怒楯岩大吊橋ツキヌの汲めども尽きぬ随筆という題名の小説」一言感想文

西尾維新(にしおいしん)版「吾輩は猫である」である。むろん、語り手は猫ではないのだが、そ…

雨穴「変な絵」一言感想文

「変な家」で知られる雨穴(うけつ)さんの2022年の作品。さまざまな「変な絵」を手掛かりに、…

宮嶋勲「最後はなぜかうまくいくイタリア人」一言感想文

本屋でふと見かけて、直観的に選んだ本である。 イタリアにもイタリア人にも、これといった縁…

朝井リョウ「正欲」一言感想文

何故ある種の「下ネタ」に嫌悪を感じるのか、わかったような気がする。その言動自体というより…

小此木啓吾・河合隼雄「フロイトとユング」一言感想文

フロイトの精神分析の第一人者である小此木啓吾(おこのぎけいご)と、ユング心理学の第一人者…

河合隼雄「河合隼雄自伝 未来への記憶」一言感想文

河合隼雄が『図書』(1998年7月~2000年11月)に連載した原稿がもとになった自伝的エッセイ集…

物江潤『デジタル教育という幻想 GIGAスクール構想の過ち』一言感想文

筆者は話題を変えながらも、同じことを何度も主張している。川上主導の教育改革が、川下の現場を圧迫していると。川上と川下の空気の違いは、現場では当然のこととしている。教員養成の課程や採用試験でこそ川上の動きや理念は語られるが、現場では川上の指示に振り回される教師たちの姿が散見される。自分もその一人である。もちろん、川上から大量に流される改革の波によってもたらされるものの中には価値のあるものもあるだろう。活用される現場もあるだろう。それでもなお現場の感覚とかけ離れた改革が川上で議論

野口聡一『どう生きるか つらかったときの話をしよう』一言感想文

この本では同じ主張が何度も繰り返されている。その一つが、「評価軸を自分に取り戻す」ことで…

米澤穂信『可燃物』一言感想文

この本は、表題作「可燃物」を含む五編の短編推理小説集だ。群馬県警捜査一課の葛(かつら)警…