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私が考える「マーケター山の登り方」と、来年の抱負。

今年のことを振り返ろうかと思ったんですけど、とくに振り返っておもしろいこともなかったので、ここ8年とかくらいの社会人経験を振り返って思ったことを書いてみました。


※あくまで個人的に思ったことです。もちろん個人差が大きいので、単なる読み物として楽しんでいただければ幸いです。

この記事上の「マーケティング」の定義

マーケティングの定義には種々ありますが、私が好きなのはこれです。

マーケティングとは、顧客満足を軸に『売れる仕組み』を考える活動。

(引用)
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-12001.html


この記事でマーケティングはこれを指し、マーケターというのはこのマーケティングをプレイヤーとしてメインの業務にしている人を指します。
広告やSNSの運用担当者といった実務メインの方、マネージャーなど管理レイヤーの方は今回の話には考慮しないこととします。求められるスキルが違ってくるので。

「マーケター山」の登山道

山頂は「マーケターとして一通り仕事できる人になった状態」とします。

私が裾野からこの山を登ってる人たちを見てる感じ、登山道の入口はこんな感じ。

●ツール・データ側の入口
世の中にはGoogleAnalyticsをはじめとしたアクセス解析ツール、MarketoなどMAツール、SalesforceなどのCRMツール、tableauなどのBIツールといった、マーケティングに必要なツールのプロがいます。
あと広告・SNSといった個別の手法から入って、マーケティング全体に領域を広げる人もいます(手法を広義のツールとして捉えて、ここに入れることにします)。

単純にツールが使えるだけでなく、これらを使う上で手に入れた活用方法や事例を持っているため、そのままマーケティングの領域まで手を広げることができます。
一方で、そのツールのプロとしてリセラーや導入支援や運用支援などのコンサルへの道や、インハウスでここに特化する道もあります。


個別具体のツールではなく、統計や機械学習といったデータサイエンス的な入口もあります。
理系の大学・大学院とか情報工学とかなんかそういう人たちが多いイメージです。知らんけど。

単純な「理論や手法を知ってる」だけでは通用しないので、「それを自社のデータで具体的に使える形にする」や「ビジネスに落とし込んで話せる(活用方法の知見やビジネス側の考え方)」といったスキルも現場では求められます。
どんなに精度の高い機械学習モデルを組めても、ランニングコストが莫大だったり教師データを揃えるのに手間がかかりすぎるモデルだったら、誰も欲しがらないからです。

個人的には「ビジネスが分かっててコミュニケーションが取れるエキスパートやデータサイエンティスト」というのはだいぶ市場価値が高いと思ってます。


この道の人たちは何となく難しいことをやろうとする方に行きがちな思考回路を持ってる気がしてます。
知識をいっぱい持ってるので、その分複雑なこと・高度なことも考えられてしまう。まずはスモールスタート、簡単に始める。というのを意識しないといけない(と私は私に言ってやりたい)と思います。

あと専門用語が通じない人に専門用語でしゃべったらだめよ。



●アカデミック・ビジネス寄りの入口
行動経済学、消費者心理学、人間中心設計、といった学問的アプローチで消費者を理解したり行動を促そうとする人たちです。
これもデータサイエンスと同じく、単純な学問的知識だけでなく、それを実務に落とし込むスキルが求められます。
(この辺の人は私の周りにあんまりいないので偏見も多分に含まれます←)

「マーケティングでよく使われる●●という表現は☆☆効果といいます」みたいな解説記事をたまに見ますが、アレ書いてるだけの人だと価値なくて、ちゃんと仕掛けとしてマーケティング活動に組み込めることが大事です。カリギュラ効果が絶対うまく行くならみんなコピーの語尾「絶対に見ないでください」にするわ。
いかに生活者に受け入れられる「いやらしくない」感じで仕掛けを作るかが求められる時代な気がしてます。炎上とか怖いし。

それから、店舗勤務→マーケ部門、営業→マーケ部門、CS→マーケ部門といったジョブローテーションの一環としてマーケ部門に配属され、マーケターになっていくケースも想定されます。
この人たちは自社の商品を知り尽くしていたり、顧客の声を直接聞いていたり、といった業務経験から「どうすれば買ってもらえるか」を考えていけるバックボーンを持っています。

一方でそれを「現場の勘、経験、過去の成功体験」として持ってるので、たしかに効果が出るはずだという裏付けをどういうデータで出せばいいのか思いつくのが苦手な方も結構います。自分の前にいるお客様1人で試すのと、会社としてマーケティング施策にするのは、トライにかかるコストが結構違います。


こっち側の人たちは、ツールやデータを入口とする人たちよりも「人を見に行く」傾向がより強いように思えます。
ただし、消費者は自分の欲しいものを説明できないっていうのは有名な話ですが、人を見に行くなら、「その人がどんな行動をしたか」ではなく「なぜその行動をしたか」に注目する必要があります。インサイトとかいうやつです。
これできるようになるのめっちゃ難しいです。特に自分が想像できないことの裏にある意識は読めません。固定観念に縛られないことが大事だなと思います。がんばれ私にはむりだ。

どっちの入口から入るかは考えた方が良い

もちろん「データが見れる」「人を見れる」の両方ができる人は最強のマーケターです。が、ほんのひと握りです。
だいたい、大卒で「マーケやりたいです!」とか言ってどちらかの入口に入ると、その付近の仕事ばっかり集まってくることになります。


同じ入口の中での移動はしやすいですが、別の入口への移動は結構しんどいです。ぜんぜん違うスキルなので。

なので、まず「自分がどっちから入ると、その後のキャリアが楽しそうか」は漠然とでも持ってた方が良い気がしてます。

ちょっと余談:「マーケ部門の人」と「マーケター」は違う


私が常々言ってるのが「マーケターになることとマーケ部門に配属されることは違う」ということです。

たとえば営業からマーケ部門に配属された人。
私は、マーケティングについて会話してて「消費者、生活者、市場」といった単語が出てくるかというのを、ひとつの目安にしてこの人たちを判断しています。

営業や販売は基本的に顕在化した「自社のお客様」に如何に買ってもらうかを考える仕事なので、潜在層である「生活者」を意識して仕事しません。
マーケターは潜在層・顕在層・既存顧客と全体を見る仕事ですが、特に潜在層を顕在化するところをメインに担当することが多いです。
見てる方向が違うので、今までやってきたことやその結果作られたマインドが違ってきます。どちらが正しいとかではなく、そういう役割分担なので、結果として違ってくるだけです。

もちろん営業から入った方でもマーケティングを正しく理解して、両方の視点を持って活躍されてる方もいるはずです。
でも簡単に名乗れてしまうからこそ、「自称マーケター」はなるべく避けて生きたいなと思う今日この頃です。

そんな人たちに囲まれて思うこと

私はツールから入って、今は統計や機械学習に関する案件を担当することが多いので、データ寄りの人間と思われてることが多いです。
データ寄りと認識される→データ周りの仕事が集まってくる→データ寄りと認識される、の無限ループです。


そんで、このループを断ち切りたいと思っています2021。

別にデータが悪いわけでも、もう極めたぜってわけでもないんですが、データだけでは説明つかないことの方が圧倒的に多いのが、人を相手にする仕事です。
説明がつかない数字がいっぱいあります。でもそれは技術的な理由の場合もありますが、「生活者が理想のシナリオ通り動くはずだという思い込み」のせいであることも、多くあります。
どう考えても右の道に進んだ方が正解でも、左の道に進むこともあります。

そんで自分の興味関心に立ち戻ったときに、私はやっぱりデータじゃなくて人を見る方に興味があるんだよな〜〜と思った次第です。
あと単純に、私ド文系だから数字こねくり回すの嫌いっていうのもものすごーーーーーーーくあります。付随してjsとかGASとかpythonとかSQLとか書くのも嫌いです。嫌いです!!!

来年からどんな働き方をしたいか

戦略立てる、STPを考える、そこから施策に落としてPDCAを回すという作業をやりきりたいと思ってます。


今までは戦略立てて終わり、施策回して終わり、のどっちかで「立てた戦略を施策まで落としてやり切る」というサイクルをやりきったことが実はありません(というかそこを求められるポジションにいなかった)。
その結果利益換算(という名の数字のマジック)で言えば何千万とか何億とかの結果をやってるんですが、「やりました!」と自信持って言えないのは、それが部分最適にしかなってないことに気づいているからです。


というわけなので、来年か再来年には事業会社に転職したいなと思ってます。
それまでに今の会社(代理店)でやれることはやっておくつもりです。代理店でもできる領域はいっぱいあります。

大きい企業は死ぬほど面倒くさいのはもういい加減学んだので、ベンチャー〜中小くらいで目が届く範囲でぜんぶやりたいです。
(もちろんちゃんと本腰入れてやってる大企業がいるのも分かってます)



つまりこの記事の結論は、「誰か雇ってください」ってことなのでした。


あと、もう10キロくらい痩せたらもう一回登山やりたいです。痩せる予定はとくにありません。