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【テンペラ画制作過程4】金箔を貼った画面に着彩していく。

体調もそこそこ回復してきたので、コロナ禍で指導する人を失ってしまって制作途中で放置していた作品を続けて作ることにしました。

このモチーフはボッティチェリの「マニフィカトの聖母」の一部をリメイクしたものですが、美しいプロフィールが気に入ったので使わせていただきました。
実物はちょっと首のデッサンに不明瞭な点があって気になるので修正していますが、あくまでリメイク作品(二次創作)であり、模写とは違うので実物と似せて描いてはいません。イメージのみを利用させていただいています。


顔のトーンは暗めに、髪のトーンは明るめから描いています。
髪を少し描き込み、顔のトーンを明るくしていっています。表情も少し豊かになってきました。

この段階は金箔を貼り終えてメインのモチーフに色彩を施しているプロセスです。

暗い色から塗り始めて、少しトーンを明るくしていっているところと、明るい色から塗り始めてコントラストの強いトーンで塗り重ねて行っている部分を分けています。

10㎝×15㎝くらいの小品です。まだまだ描きこむところはたくさんあり完成までには程遠いのですが、先日まで描いていた下処理のみを施した下描き作品とはかなり異なってきていると思います。

この制作工程を知ってから、ボッティチェリの大きな作品を実際に見た時にはそのタスクの量を💭してちょっと震えました。

そして、450年余りの年月を経てその色彩や輝きを損なっていないことにも。同じ技法でもミケランジェロの「最後の晩餐(1945~1998)」の劣化の激しさを考えると下地の制作過程がどんなに重要なのかが分かります。

テンペラ画の制作を始めてからは、まだ、まもないのでこれから学んでいくことはたくさんありますが、備忘録としてアーカイブしておきます。

テンペラ画は絵の具の顔料に卵の黄身をメディウムとして使う技法です。
シンプルだけれど適切な支持体の上に乗せればとても強い画面ができるようです。
作品の制作技法を知り、そのうえで鑑賞するという事もさまざまなことを考えるきっかけになります。
絵画においては、材料である絵の具の顔料は鉱物由来のものが多数あります。その顔料に膠、油、卵、アラビアガムなど何をくわえるかによって絵の具の性質が変わり表現方法が異なっていくことを知り、技法の点からも絵を見ることが楽しくなってきました。






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