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鑑賞レビュー:山種美術館 癒しの日本美術ーほのぼの若冲・なごみの土牛ーゆるふわ日本美術と新年を過ごす。

2024年の初鑑賞には、恵比寿の山種美術館へと足を運びました。

山種美術館は開館50周年を迎える日本美術専門に取り扱う美術館。様々な時代の日本の美術作品の展覧会が開催されているという事ですが、私、明治以降の日本美術にはあまり関心がなく、カフェ椿でたのしめる展覧会に合わせて提供されるオリジナル和生菓子がお目当てで正月早々でかけたのでした。

今回の展覧会は、「ほのぼの」がテーマの展覧会で、かわいらしい動物の絵や冬から春への風景画が多く、冬の寒さを一時忘れるひとときになりました。

様々な製品の意匠に使われることのある「伏見人形図」も見られます。
こちらに向かい歩いてくるように見える穏やかな表情の人形たちの行列は来迎図のよう。

タイトルにあるように、展示されていた伊藤若冲作品は若冲の作風として知られる細密描写で描かれる装飾性の高い作品ではなく、なめらかな筆遣いで描かれた水墨画が中心で、布袋図やお福図のようなユーモラスな作品や、勢いのある筆遣いで一気に描かれた洒脱な鶏図が選んであり、華やかで絢爛な作風だけではない若冲の表現の多様性について知る機会となりました。

また、奥村土牛や小茂田青樹の描くふわもこ動物にも心癒されました。
日本画に使われる岩絵の具の持つ暖かな色味がふわふわ感を描くにはぴったりなのかも。うさぎもひよこもやわらかな手触りと体温が伝わってくるようでした。

ほかの展示作品も上村松園、川合玉堂、伊東信水、今村紫紅など明治以降の日本画コレクションも充実しており、見ごたえのあるものばかりでした。

また、今回見た作品の中で、冬の夜、月に照らされる椿の花が降り積もった雪の上に落ちている絵に心惹かれました。その絵を描いた林功という昭和の時代の画家について初めて知りました。
「月の音」という名前の絵でしたが、その絵から聞こえてくる音は冷たい空気の中に響く椿の花の散り落ちる音のようで、寂しく切ない気持ちになりました。和歌でうたわれるように、寂しさもや切なさも美しい感情なのだと改めて思いました。

長澤芦雪画≪菊花子犬図≫のみ撮影可能だったので、撮らせていただきました。

きゃんきゃんきゃん! 

表情豊かなころころかわいい子犬たちのじゃれあう姿にほっこり。

お目当ての”カフェ椿”では奥村土牛の「兎」をテーマにした生菓子と抹茶をいただきました。
うさぎちゃんは、どこから食べても悲しくなるようなかわいらしさでしたが、よく練られた餡でできていて、口に入れるとなめらかで、舌の上で甘さがとろけていくようでした~❤青山の老舗「菊屋」さんがつくられたという事。菊屋さんにも伺いたいものです。

食べられる運命の白うさぎちゃん😭

展覧会ごとに出品作をテーマにした和菓子を提供されているようです。
山種美術館にでかける楽しみの一つになりそうです。









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