アラムと僕は突然猫になった訳だが
二人には大きな違いがある。

アラムは命を失い、人間時代の身体は
火葬され骨になり埋葬されているが
僕は、ある日、突然、人間の身体が消えて
しまい気がつくと猫になっていた事。

アラムはもう二度と
元の人間には戻れそうになさそうだ。

もちろん僕も人間に戻れる保証はないが
なんとなく戻れるかも知れないという
希望を持ってる。

猫になりたいと言った自分が言うのも
おかしいがなんとなくそう思った。

二人がつい最近まで人間だった事は同じ
だが僕と決定的に違うところは、
彼は人間時代に起きて
しまった事をずいぶん後悔している。
それは、命を失った事ではなく、人間がする
悪行を止められなかった事に。

自分と同じような失敗をして欲しくない為に
猫になった今も毎日活動している
というのだ。

まずは、人間時代のアラムに何が起きたのか
彼は僕に話してくれた。

彼の人並み外れた正義感が彼の命を奪って
しまったようだ。

それは、猫になりたいと思って
突然猫になった僕には刺激的な話だった。