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”思いつき”定義集㊸「る」

【ルサンチマン】いわゆる弱者による強者に対する恨みと妬みを言う(ニーチェにおいては欠かせないキーワード)。このネガティヴな感情には落とし穴がある。
 第一に、無意識のうちに自身を弱者にはめ込み強者を措定する(内在化する)ことで弱者であり続けてしまうこと。もちろん「弱者」それ自体も相対的概念ではあるが、いわば自己充足的予言(self-fulfillment prophecy)の罠に足をすくわれかねない。
 第二に、恨みと妬みの対象を「悪」と設定することで「合目的に」自己を正当化してしまうこと。頑ななまでの信仰に見られるように、その絶対化を当為としてしまうこと。それは世界を単純化して把握することになる。世界はそれほど単純ではないにもかかわらず。
◆注:自己充足的予言とは、周囲から押し付けられた自身の思い込みが実現してしまうこと。やや卑俗な例だが、親や教師から「お前はバカだ」と言われ続けた子どもは「自分はバカなんだ」と思い込み本当に「バカ」になる。
◆推し文献:ニーチェのルサンチマンを理解することはできないが、関連する入門書として『超訳 ニーチェの言葉』(ディスカバー、2010年)がある。

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