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お祭りの風物詩-札幌市電の行先変更

札幌では現在、北海道神宮の例大祭(札幌まつり)が行われている。
私は昨年9月に北海道に引っ越したから、もちろん初めての体験だ。

お祭りとなると地域が盛り上がるのはもちろんだが、今まで街中で見たことのない若者が多数出没するのが面白い。

それでも…基本的に穏やかな環境が好きな私は、お祭りが苦手である。
騒音と言うより、地域や人が浮き足立っている感じがどうもダメなのだ。
それに、一緒にお祭りを楽しめるような友達がいない。
寂しい話だが、こればかりはどうしようもないのだ。

内心「あーあ…」と思いながら散歩していると、市電が目に入った。
よく見ると、LEDの行き先表示器に「内回り すすきの」という文字が踊っている。

「あ、そうか…」と気づいた。

北海道神宮のお祭りでは神輿が出て、すすきのや狸小路などの中心街を練り歩く。
これに伴い、札幌市電はすすきの〜西4丁目間が運休となり、2つの停留場で折り返し運転を行うのだ。

久しぶりに市電を撮ってみようと思い立ち、帰宅後にカメラを準備。
撮影場所はなんとなく決めていたので、歩いて向かった。

1.札幌の歴史に関わる場所で撮影

外回り電車が上り坂にさしかかる

路面電車撮影の達人である写真家の諸河久氏は、著書で「路面電車は坂が見せ場」と語っている(これ、実は私も関わっている本である。気になる方は『路面電車がみつめた50年 写真で振り返る東京風情』で検索してみてほしい)。
まずはその言に倣い、札幌市電では数少ない勾配区間で撮影してみることにした。

市電の外回り電車は東本願寺前停留場を出るとまもなくカーブし、上り勾配を越えて山鼻9条停留場に到着する。
さあ撮影へ…と行きたいところだが、ここで少しだけ余談に付き合ってもらいたい。

この区間で市電を含む道路がカーブしている理由は、屯田兵が開拓した山鼻9条側の道路と北海道開拓使が作ったすすきの側の道路を上手くつなげることができず、この場所で強引にくっつけたとする説が有力だ。
NHKで放送されたタモリさんの番組『ブラタモリ』の札幌編(2015年11月7日放送)でも、このエリアが紹介されていた。
ちなみに…札幌の回で2人目の案内人を務められた和田哲氏は大学の先輩で、北海道への移住以来、大変お世話になっている。

さて、話を戻す。

金曜日の昼下がりながら、いつもより車の交通量が多い気がする。
横断歩道付近で車の流れが止む瞬間をねらい、シャッターを切った。

東本願寺前停留場付近で、内回り電車(写真左)と外回り電車(同右)がすれ違う

すぐやってきた車両は、行き先表示が幕式だった。
「すすきの」というひらがな表記は、なんとなく可愛らしさを感じる。

続いて、外回り線に新型の低床車両が見えてきた。
シャッターを切って画像を確認すると、初歩的なミスに気づく。

いわゆる「撮り鉄」の方ならご存知かと思うが、LED式の行き先表示器はシャッタースピードが速すぎると、文字が切れてしまうのだ。
設定していたシャッタースピードは、500分の1秒。
市電の表示器は60分の1秒くらいまで落とさないと、きちんと撮影できない。
ましてや今回は文字が主役のようなものだから、設定は必須である。
仕事なら、絶対にこんなミスはしないのだが…つい気が緩んでいたのだろう。

市電撮影の良いところは、本数が十分あることだ。
ラッピング車両などを狙うなら話は別だが、今回はそこまでこだわって撮影するわけではない。
ただ、今回は行き先表示をくっきりと写すことに重点を置いた設定のため、走行している車両の撮影はブレが発生しやすいのが難点である。
それでもめげずに、超望遠レンズをつけたカメラで何枚か撮影した。

「白いブラックサンダー」ラッピング車両
停留場に停車中の低床車両。すすきの方面に向かう車の列が目立つ

最後に、資生館小学校前停留場へ移動。
ここでは、縦構図の撮影を試みる。

2.中心街付近へ〜ミュージックホーンを聞きながら〜

信号待ちで停車する内回りすすきの行き

ネット媒体では、縦構図の写真を使用することは少ない。
はっきりとした理由はわからないが、PV数などに影響することもあるのだろう。
ただ、今回はこのnoteのための撮影。
自分のページなのだから、やりたい放題である。

内回りすすきの行き。次が終点である
外回り西4丁目行き。普段なら内回りに乗ればすぐだが、かなりの遠回りになる

撮影していると、改めて札幌市電のバリエーションの多さに驚かされる。
車種はもちろん、塗装や企業広告などが豊富だ。
車齢が60年前後の車両も多く、大切に使用していることもうかがえる。

すすきの到着後の折り返しも確認したかったが、暑さがそれを妨げた。
時計を見ると、16時が近づいていることに気づく。
そろそろ帰宅しようと機材をリュックにしまっていると、お囃子の賑やかな音と共にお神輿が通るのが見えた。

市電からも、7音のミュージックホーンが流れる。
この音に勝手に歌詞をつけるのが、私の日課の一つだ。

ベタに「市電が通る〜♪」や「お前はアホか〜♪」でも良いが、今日はもうちょっとひねりたい。
最後に頭に浮かんだのは、「マライア・キャリー♪」だった。

読者の皆さんなら、7音のメロディーにどんな歌詞をつけるだろうか。

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