よしもとよしとも

漫画家。1985年デビュー。長編『レッツゴー武芸帖』『東京防衛軍』発表以降、『青い車』などの短編を多数発表。『青い車』は2005年に映画化された。2010年、長嶋有の小説『噛みながら』を漫画化(『長嶋有漫画化計画』収録)。現在、新作を執筆中。

イケメン漁師|第3話 「みゅるるで検索」

「高齢化社会のニーズに合わせた新しいサービス、ってとこかな。」
スマホで店の外観を撮りながら片山が言った。適正な価格であるならば、と続きそうなところを、片山は大きなあくびをしただけだった。

 会社からの帰宅ラッシュの電車はいつもさほど混雑していない。乗っているだけで疲弊するような状態になることがないのは、今の仕事の大きな利点だった。ターミナル駅からはそれなりに混み合い始めるが、それまではたいてい

もっとみる

イケメン漁師|第2話 「介護スナックさゆり」

ワイドショーでは大学時代の『新堂美羽さん(23)』が学費や生活費のために性風俗でバイトしていたことを取り上げていたが、片山はそれ以上興味がない様子だった。タイミング良くラーメンが出され、片山は食べることに集中していた。
 女子大生が学費や生活費を稼ぐため風俗で働くこと自体は大して珍しいことではなかったが、3・11の津波で両親を亡くした過去、殺人事件の被害者とセットになることで、どこか悲劇性のバイア

もっとみる

イケメン漁師|第1話 「さっき警察来た」

下村亮太が住んでいるマンションで殺人事件が起きたと知ったのは警察が訪ねて来たからだった。ドアの外には刑事が二人と警官が一人。
 年配の刑事が見せた警察手帳が本革(たぶん)に桜の代紋金箔型押し(おそらく)というムダに立派な作りで、こんなもん作るのに一体いくらかかるのか、西友のお墨付きラーメンがいくつ買えるのか、とパスポートや生徒手帳をイメージしていた亮太は一瞬考えていたのだが、
「お仕事は何を?」

もっとみる