どこにもいないうちへ

誠実な人間が嫌いで。誠実な態度も腹が立ちます。こっちをまっすぐに見てくる曇りない瞳に腹が立つ。自分の欠点を克服できた誠実な視線は胸をかき乱します。卑屈。『卑屈』という便利な表現を知ってしまった私はもう元には戻れません。卑屈を否定してくる人間に敵意を抱く。たとえそれが自分自身であっても。そんなのは『自分』じゃない。自分の一部から切りはなして否定してやる。卑屈を認めない人格は俺の庭から出ていけ。ここは

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麻織真也は彼が距離を測る

その一

 アパートは同じ造りが向かい合って建っており、手前にはスーパーマーケットがあって路地から大通りを背にして左手に入ったところにタイル張りの小空間というか前庭スペースで向かい合っている。路地を背にして右側の棟の奥の二階、階段を見上げて右手側の部屋は厳密には1Rではなく七畳半の部屋にロフトというよりは九畳という屋根裏部屋が付いて部屋を選び始めたがらんどうの時点では、中々広い所だと感じる者もいた

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立て込む

麻織真也のアパートは同じ作りが向かい合って建っており、路地から大通り(その手前にまずスーパーマーケットがあるが)を背にして左手、に入ったところにタイル張りの小空間というか、前庭スペースがあって、そこで向かい合っている。麻織真也は路地を背にして右側の棟の奥の二階、階段を見上げて右手側の部屋へ住んだ。厳密には1Rではなく七畳半の部屋に、ロフトというよりは屋根裏部屋(これは九畳という)が付いている。部屋

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