揣摩憶測

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『みだれ髪』 与謝野晶子

「髪五尺ときなば水にやはらかき少女ごころは秘めて放さじ」  浅い湯の中で仰向けになり長い髪を浸す若い女の姿が頭の中で映し出された。髪は時間をかけてじんわりと水の中で広がる。身に纏う布が一枚一枚めくられていくように。妄想を創り出す私の身体から余計な力が抜け、すぅっと脱力する感覚を確認した。実に官能的だ。  そんな魅力的な黒髪でさえも超越する少女ごころ。この世のどんなものよりも純粋無垢で愛らしく奥ゆかしいそれは、壊れやすく繊細だからこそ大切にすべきものである。  髪のように

    • 13歳からのアート思考 末永幸歩 著

      美術館の楽しみ方って人それぞれですよね。僕は美術館に行くまでの過程というか、「美術館行こうかな?」っていう思いつきから始まるワクワク。いまこの瞬間から始まるであろう充実した時間。そんなものに期待を寄せて過ごすのが好きなんです。クラシックを聴きながら美術館仕様のコーディネート組んでみたり、道中でコーヒー買ってみたりね。美術館に着くまでの過程や目的地の雰囲気に魅力を感じていました。 しかしこの本を読んだいま、新しい楽しみ方を習得しました。アート作品を嗜むという行為。「美術館に行

    『みだれ髪』 与謝野晶子