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平沢進ライブ「ZCON」を全通して

平沢進のインタラクティブライブ「ZCON」へ参加してきた。FC会員でありながら初インタラ参加だったのだが大変楽しめた。まだ日が経っていないうちにいろいろと書いていこうと思う。


1.はじめに

数年前から平沢進の音楽に惹かれ続けている。2017年ごろ、Youtubeにオススメされた庭師kingを聴いたのがきっかけだったはすだ。ちょうど第九曼荼羅が終わったころだったと思う。

そこから過去のライブ映像をさかのぼるようになり、気づいたらファンクラブに入っていた。Green Nerveはいいぞ。


初ライブは2019年の1月14日、回=回豊洲公演。出囃子~1曲目の回収船へ繋がってヒラサワが舞台に上がった時「この爺さん実在したんだ…!」と感動したのを覚えている。

その後は2019年フジロック、戦法STS名古屋、会然02初日、会然03両日と立て続けに参加した。毎回選曲やステージのコンセプトが違うから何度参加しても飽きなかった。個人的には最前で見れた会然03の2日目とキャパ約500人の名古屋クアトロで見れた戦法STSが記憶に残っている。


そんなファンだから、ライブが開催されると知ったときはもちろん参加するつもりだった。しかし、平沢の最近の発言へ接しているうちに少し悩むようになった。

特にコロナ禍以降、「真実を知っている自分」と「ホログラムに惑わされているオマエタチ」という図式のうえで真実をこちら側に語り掛けてくることが多くなってきた。そういう思想を持っていることは知っていたが、直接的に呟いたり、語り掛けてくることは少なかったはずだ。正直、キツい。


しかしそれでもチケットを買ってしまうのがファンというもの。とりあえず観に行こう。そのうえで幻滅したらその時はその時だ。


2.いざ現地へ

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会場着いたら一面のヒラサワで笑ってしまった。隣接しているショッピングモールのBGMで新譜が流されているのも、もはやギャグだった。最高。

平沢進のライブに来ると「こんなに人気のアーティストだったのか!」と毎回驚く。特に今回は有明ガーデンシアターというキャパ8000人(!)の会場だったからなおさらだ。チケット譲渡の呟きが散見されたから空席が目立つかもと思っていたが、そんなことはなかった。


今回のライブは「インタラクティブライブ」というストーリー仕立てのライブで、ライブ途中に提示されるルート分岐を観客が選ぶことでストーリーが変化していく。全3回の公演の中でなんとかグッドエンドまでたどり着きたいところだ。なお、今回の公演では左右どちらのルートを選ぶかは観客が拍手で意思表示し、音量ボリュームが大きな方が選ばれていった。

とはいえ最初の公演では全くルート分岐の規則性が分からないため、観客各々が「こっちじゃね?」という方で拍手をした。ルートは全て右側が選択され、結果は初日から大BAD ENDとなった。


2公演目では1公演目と逆を選ぶが、またしてもGOOD ENDへはたどり着けない。「逆を選んだのになんでだ?」と誰しも思ったようで、終演後のツイッターは喧々諤々の議論が巻き起こっていた。

「逆に拍手をせず、無音でいるのが正解なのでは?」「いや、LRで拍手の音量が50:50になるべきだ」等々…。2公演目と3公演目は同日の昼夜に行われたため、2公演目の終演から3公演目のスタートまでは2時間ほどしかない。誰もがGOOD ENDにたどり着きたいが時間がないのだ。

そんな中、「ひ組」さんというアカウントが2公演分のルートから正解ルートはこうじゃないか、と考察をアップした。

私が考えていたルートとも一致していたから、最終公演はL→R→Rで行くことにした。


他の観客たちもL→R→Rで拍手した人が多く、狙い通りにルートを進んでいく。結果は大成功。見事最終公演でGOOD ENDへたどり着いた。ただ音楽を聴くだけではない、こんなに頭を使うライブは初めてだった(笑)


3.選曲、パフォーマンスについて

セトリは以下の通り。

基本は新譜BEACONから全曲+TRAVELATOR+ASHURA CLOCK(還弦ver.)+ルート違い楽曲。1公演目はクオリア塔、2公演目はアート・ブラインド(還弦ver.)、3公演目はLEAK(還弦ver.)だった。

特に良かったのがASHURA CLOCK。重々しい雰囲気の還弦アレンジにナカムラルビイのサックスが加わったことで破壊力が増していた。

燃える花の隊列と記憶のBEACONのギターソロも良かった。ハイポジからローポジへの移動やハンマリング・プリングの多様が平沢節全開で心地いい。絶対弾きづらいよねアレ。


歌は思っていたよりリップシンクは少なく、生歌を聞かせてくれた。LANDINGサビ前の「恐怖はとうに消えて キミの目覚め待つLANDING」のファルセットには驚かされたし、転倒する男の落ちサビでほぼアカペラで歌うところもちゃんと響く歌声が出ていて安心した。

Youtubeのコメ欄で持ち上げられているような歌唱力はもうないが、無理のない範囲で歌声を聞かせてほしい。


4.これから

正直、これでライブは見納めにしようと思っていた。アーティストの思想と音楽性は切り離して考えるべきだとかなんだとか思いながらも、純粋に「キッッッツぅ…」となることが多かったので…。

ただいざライブを生で浴びるとそんな思いはどこかへ行ってしまった。やっぱり音楽制作・ステージングの面で圧倒的な魅力を持っている人なのだ。これからもこの人の曲を聴きたいし、進化していくライブを見続けたい。

今日で御年68歳、いつまでその姿を見ていられるかはわからないが、少なくとも私より先に隣接次元へ漏れていくだろう。どうかそのときまで、創作活動をやめないでほしい。陰謀論に呑まれて思想を垂れ流すだけの人にはなってほしくない。

彼の思想を拒み、音楽だけを享受しようとするのは図々しいことだと思うけど、しばらくはこういうスタンスで付き合っていくことになりそうです。

お誕生日おめでとうございます。素敵なライブをありがとうございました。





…。で、回=回のライブDVDはいつ発売ですか?

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