熊に打ち勝つストレートリード

昔、歌舞伎町でスーツを着た熊の様な大男に絡まれた時、多少腕に覚えがあった私は、酔いの力も借りて、毅然と、果敢に、全力で逃げた。
あれは無理。

私の様な小兵が、ああいった大男に勝つ術はあるのだろうか。それを追求したのがブルース・リーであり、截拳道なのだと理解している。今日はブルース・リー研究一ヶ月の私が、截拳道で熊(の様な大男)に勝つ方法を考え、そこに至るための鍛錬法を検討してみたい。

瞬速の一撃必殺

一発もらったら終わる、掴まれたら終わる、ガードは無意味。そんな相手とやる場合、相手に攻撃させたら負けるのだから、相手の攻撃の前に終わらせるしかない。つまり話はシンプルで、最強の一撃を、最速で叩き込んで相手が本気を出す前に戦意を、あわよくば意識を断てばいい。一撃必殺。武の極み。
そんな発想から生み出されたのが截拳道のストレートリード。最強の打撃を打てる利き手を、相手との最短距離になるように前手に構え、そこから体の構造を利用して強打を放つ。他の全てのテクニックは、ストレートリードを確実に当てるための布石。

これが経験一ヶ月の私が勝手に解釈した截拳道。先生も映像の中のブルース・リーも、そんなことは一言も言ってない、そうだったらいいな的解釈。けれど、やはり最強の一撃はロマン。龍造寺徹心が不破に放った正拳突きも空手道部員としては憧れたが、ストレートリードもそれに匹敵するロマンがある。
この歳になって今更、ストリートファイトや格闘技で強くなりたい欲求があるわけでもなく、なぜ截拳道なのかと問われればロマンという他ない。言ってしまえば、熊に勝つことはあまり重要ではなく、ロマンを追って自己鍛錬すること自体に価値を感じている。

截拳道の魅力はまた改めて書くとして話を戻すと、截拳道を習得する=ストレートリードを極める、と位置づけることにしたので、もう少し深掘りしていきたい。

筋肉は全てを解決する

ストレートリードが一撃必殺になるためにはどんな要素が必要だろうか。
打撃力は単純に考えれば「質量」✕「速度」÷「作用時間」だ。
重く、速く、硬い突きを、相手の急所に当てることができれば、きっと一撃必殺になるはず。
質量は体重を増やせば良い。速度は突きの速さは三角筋と大胸筋、そしてスピードにブレーキをかけてしまわないような肩の柔軟性。カタパルトとしての下半身の安定とバネ。体の動きを拳の先まで伝える連動性。そして作用時間は拳の強化。硬い拳を作って完全弾性に近づける。
ブルース・リーといえば、異常発達した広背筋だが、広背筋は引く筋肉なので、あまりパンチ力には作用しないと言われている。とはいえ、打った後の引手が早くなることで、次の攻撃に備えられる、手をとられない、等のメリットがあるので副次的には鍛えていきたい。

筋トレの是非については、マイク・タイソンはヘビー級としては小柄な178cmながら、100kgを超えているというし、速度が下がるので筋肥大はさせない、というのは間違いだろう。むしろしっかりと筋肉をつけてウェイトアップすべきと考える。
最も重要で最も難しい部分である、体の動きを拳の先まで伝える連動性は、ひたすら反復して体で覚えていくしかないが、効率的な連動には体幹の強さが必要不可欠。

なにより、筋肉は現代科学の力で効率よく鍛えられるというのが最高。本来は感謝のストレートリード1日1万回の中で筋力もつけるのが良いのだろうけれども、それには時間がかかってしまうし、筋肉の左右差ができてしまのも怖い。
筋肉は全てを解決する。筋トレしない理由はなくなった。さぁ始めよう。

目的を持って部位を鍛えるということをしたことがないので、どんな効果が出るか今から楽しみ。この先必要なことは、技術的・筋力的な基礎を身に着ければ見えてくるはず。


書籍:ストレートリード

ストレートリードを学ぶにあたり、そのものズバリなタイトルのこの本。流し読みしただけだが、レッスンで学べる以上のことはあまりなかった様に思う。逆に言えば、この本をしっかりと理解すれば、レッスンに参加できない人でもストレートリード習得の助けにはなるのかもしれない。
まぁでも、自己学習するくらいなら、近くの空手道場やキックボクシングジムに行った方が良い。最強の格闘技はなく、強い人が強い。とは言うが、上達するための練習方法やトレーニング内容の違いはあって、截拳道には体系だった上達方法が確立されてないように見受けられる。それだけに、熟練者に直接指導してもらうことの重要性がとても高い。あと多分、他の格闘技の経験を下地にしてないと、書いてあることを理解するの自体難しい。一時間もレッスン受ければ、この本を熟読・実践するより理解できると思いますよ。

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