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紫煙が昇りきる迄に

紙の上、時間を割いて均一に整えてみる。
マッチに明かりを灯し、口元に近づけて、
後は、白い息をそっと吐くだけ。
一度燃えた物が灰になるその過程の中で、
後悔と満足を全ての想いを言葉に置き直そう。
その上で、上手くごちゃまぜに掻き混ぜたら、
喉のイガイガを治す薬ができるんじゃないかな。

温泉88湯を巡って、名人になると誓った僕。
50を超えたのに、スタンプ帳が消えちゃった。
自転車でバイト先に向かう先、車と衝突した僕。
お父さんの大事な宝物を大胆にぶっ壊した。
ノックもせずに玄関が開けられた後悔と対峙し、
「大丈夫だよ!」というエールが贈られていて、
所謂そういった、優しさと無責任の言葉がさ、
半信半疑な捻くれ者を生成すると思うんだ。
その結果、痛みや苦しい感情は消し去るけど、
消えない無数の青あざがポツンと残ってるよ。

1歳の赤ん坊と85歳の仙人と入浴する僕。
別府の熱さを心と心の中で通じ合っているよ。
50度の温泉に熱い顔をしてたら揶揄われる僕。
次は、浴槽の真ん中で仁王立ちを企んでみるよ。
自分の世界を広げた暁に、没頭しちゃってさ、
時間の感覚が早いんだか、遅いのかわからずに、
言葉にできない満ち足りた心地よさを感じたよ。
幸せを感じた湯上がり、案外赤くなった体をみて
「いい湯だったな」と振り返りをしてみるとね。
あわよくば、記憶を全て抹消してみたいなって。
もう一度、同じ経験を味わいたいんだってさ。
欲望に塗れた傲慢な願いとは裏腹にね、
火照った体は段々と体に馴染んでいくよ。

嗜好品が全ての思い出を呼び起こしているよ。
それを互いに、赤裸々に語り尽くしたいんだ。
勿論デリケートゾーンは違ったニュアンスで、
白いキャンパスに沢山の絵の具で描いていくよ。
個性と個性が混じりあったその作品にはさ、
後悔と満足のグラデーションで綺麗だよ。
+と−の感情が籠った副流煙が空を昇っていく
その限られた瞬間を物凄く強調したくてさ、
ねえねえ、一緒に作品を作ってみませんか?

なぜ人は煙草を吸うのかというテーマ
やっとできたよ「将」さん


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