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インパール作戦は今も

(僕が個人的に体験した、職場レベルで起こった「抗命」の話もあります。)

何がきっかけだったか。

インパール作戦という第二次世界大戦時の日本軍の作戦についてずっと、ネット記事を見たり、動画を見たり。

初めは、作戦トップの牟田口中将が間違ってると思った。後で、そうでもないと思った。

(彼は「絶対引けない」という変えられない指示を遂行する者として(負けるって考えたらダメだったのですよね。当時)、どうすれば少しでも勝つ可能性があるかを考え、実践したわけです。たとえ後世から見れば愚かに見えてもです。)

次は、牟田口中将と激しく対立していた佐藤師団長が、インパールという攻撃対象への補給路、コヒマを抑えるという最重要任務を、命令違反という当時の軍法で死刑必至の反抗をしてまで放棄して撤退したのを、間違っていると思った。

実際、敵軍は、佐藤は生かしておくほうがこちらに利するくらいの「愚将」だと判断していたらしい。

ところが、次に、NHKドキュメンタリーで見たのは、佐藤師団長の軍が初めから補給も物資も圧倒的に足りない状況で2000メートル級の山越えを果たして、結構相手もびびるくらい良い感じにコヒマを攻めていた、という後知恵の大局観とは真逆の現場の惨状でした。

実際は絶望的に酷い状況にあって行軍し、兵力の圧倒的差(1発撃ったら何百と打ち返して来られるから銃は撃つなと命令された・・とか)の中で救援要請を無視され続け(っていうかそもそも作戦開始時点で必要な物資が圧倒的に足りなかった上、それに備えて牟田口中将が講じていた策も全てうまく行かず、仕方がない面もあった)、最後はブチ切れて、軍事法廷で全部ぶちまけてやるといって撤退したこと、そんな酷い状況にあっても部下の信頼は厚く、奇跡的に統制を保ち続けていたことでした。

え・・と思った。

遂行不能に思える作戦を現場の頑張りだけで成功し続けて、最後の最後で無理が表面化しただけやんと思ってしまった。こんな目に現代日本で生きてる自分も何度か遭遇したことのある記憶が・・。

現場叩き上げの上司でないと、本当に現状に合わない不合理な指示がどんどん上から降ってくるので、だんだん指示は一週間で誰も守らなくなって、上は本当に、何で偉いかよく分からない人が人事異動で数年置きにやってきて、手を変え品を変えKYな指示で業務を引っ掻き回して、発言力と人事権はあるのにその指示で実際業務全般がどうなっているかを評価して責任を問う仕組みがないから、給料だけ高くて発言力と人事権だけがある困った人が入れ替わり立ち替わりイベントのようにやってくるという流れが出来上がってしまう。

結果に対して決して責任を問われない「偉い」人を置く、というシステムを本当になんとかしないと、日本終わるんちゃうかと思った。未曽有の原発災害は既に起こって、次は何が来るんだろう。

現状でも、本当のところどうなのかが分かるような情報発信が知らない間に全く表に出なくなって、どうでも良いように思える些細な不祥事で、色んな人が表から消えてゆく。分かりやすく事実を表に出すだけで損する人がいっぱいいるんだろうなあと思う。僕も恨まれていつか消されるようになるんだろうか。

ちなみに死刑になる気で帰ってきた佐藤師団長は精神疾患ということで法廷で証言する機会すら与えられず解任され、彼の証言で責任が明らかになって首が飛ぶ者はいなかった。

佐藤の抗命のせいでインパール作戦の基盤が根本から崩れたのは明らかだったし、そのために命を落とした兵士も多かった。しかし、彼一人非難して一体何になるのだろう。結局、事件の起こった根本の構造は何も変わっていない。

まるで数十日前に起こった現代の話に思える。本当に酷い。

日本すごいとか言ってる場合じゃないわ。これってほんまどうにかならないものかなと思う。

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