方向音痴について

タイのパーイという村に来て二日目なのだけれど、ここの道がわからなさ過ぎる。何回やっても宿泊しているバンガローに一発では帰れない。このパーイという村の道、正確に言えばパーイ中心地からさらに離れた、「ど田舎の中の更にど田舎なエリア」にいるんだけど。

自分が方向音痴だと言われればそれまでなんだけど、方向音痴にも色々あって、例えば僕はチェンマイでは迷子にならなかった。むしろ感覚的に「こっちの道はこんな感じであそこに繋がっているんだろう」と予想することすら出来た。テナントビルでトイレを見つけるのも得意だし、上野→市川間を携帯ナビのない時代に徒歩で移動したことがある(その時はいろいろと事情があった)。

でもこのパーイではとても自分の地図感覚を信頼出来ない。そもそもGoogle mapでさえこの村の道を正確に表示しているとは思えない。ここでは「道」の感覚が違うのだ。一般道(片道1車線)も、田んぼ道も、オフロードばりの獣道も、なんだったらリゾートの敷地内道路までが、ぼんやりと、公道という事になっている。これらすべてを利用しないと、パーイ(の更に田舎エリア)内は移動出来ない。

まー農村っていうのはこうゆうものなのかもしれない。長い年月をかけて、なんとなーく、「ここからここはオレの畑」っていう意識が浸透して、それに合わせてなんとなーく道が出来ているって事だ。日本では歴史の中で何回も何回も計測が行われて、現在では他人の土地に一歩でも踏み入れようものなら下手すると怒られて、更に下手すると警察沙汰にもなりかねない。そのかわり道がしっかりしている。アスファルトのクオリティもそうだし、ある程度ちゃんと計画的に作られている感がある。いや、まだまだ日本も田舎の方に行けば、この「土地の所有感覚」がモヤっとしてくるとは思うのだけれど。とにかくパーイでは、なんとなーく、「みんながこの誰のものでもない山で暮らしている」っていう感覚が残っていて、それが道に現れていると思うんだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?