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東北一周自転車旅(30)福島県福島市〜郡山市

東北一周自転車旅
第30ステージ
福島県福島市〜郡山市(47km)

東北の旅はラスト2日。今日は福島から郡山に向けて走る。

ホテルは素泊まりだったから、朝ごはん代わりに昨日鈴木さんからいただいたお菓子「いもくり佐太郎」を食べ、コーヒーを飲みながら日記を書いた。

鈴木さんはstand.fmでぼくと会ったことについて話してくださった。9分間の音声配信。とても良い内容だったのでシェアします。

10時に出発。福島駅からしばらく新幹線の高架線に沿って南下し、やがて国道4号線に合流。行きにも通ってきた国道4号線は、日本橋から青森まで続く日本最長の国道。東北の大動脈。郡山まではこの道をまっすぐ行くだけだった。ただし大型トラックが多いから、気をつけながら道の端を走る。

国道4号線。ようやく晴れて良かった

途中、「道の駅 安達」があり、その別名として「智恵子の里」と名付けられていた。その際、思わず「智恵子って誰だ〜」とTwiiterで投稿したら、数名の方が即座に「詩人・高村光太郎の妻の智恵子です」と教えてくれた。そうか、有名な方だったのか。

気になった「智恵子の里」

作家の千葉望さんからは、

〈ぜひ高村光太郎の『智恵子抄』も読んでください。きっと洋太さんはお好きだと思いますよ。「あれが阿多多羅山 あの光るのが阿武隈川」という智恵子の祈りのような言葉(『智恵子抄』の有名な「樹下の二人」より)、福島を通る時はいつも思い出します。東京で暮らして智恵子は心を病みました。〉

とコメントがあった。『智恵子抄』は高村光太郎が1941年に出版した詩集で、ぼくに智恵子の存在を教えてくれた方々はおそらく皆読んだのだろう。

「光太郎が智恵子を知ってから、智恵子が死ぬまでの30年間にわたる作品を集めた。『あどけない話』『樹下の二人』『レモン哀歌』などを含み、最も純粋な愛の詩集である」とのこと(Wikipediaより)。早速図書館で予約した。帰ったら読んでみよう。

それで、後からわかったのだけど、ぼくがこの周辺でふと右側(西の方角)を見て、「綺麗だな〜」と思わず写真に収めた景色があった。そこに写っていた山こそ「安達太良山」で、千葉さんのコメントにあった「阿多多羅山」と同じ山だとわかった。智恵子は「東京には空がなく、阿多多羅山の山の上に毎日出ている青い空がほんとの空」だと言ったそう。そう聞くと、なんだかありがたい山に思えてくる。安達太良山は日本百名山にも選ばれている。

あれが安達太良山

「智恵子って誰だ〜」から、思いがけず勉強になった。

福島から20kmほど走り、中間地点の二本松という町にやってきた。ちょうど12時だし、ここらでランチにしよう。ということで一旦国道4号線から外れ、二本松の市街地に向かった。駅前通りを走っていると、いかにも老舗そうな「玉嶋屋」という和菓子屋さんを発見して、調べてみると、NHK『美の壺』やテレ東『世界!ニッポン行きたい人応援団』でも取り上げられた和菓子屋さんだとわかった。

二本松の老舗和菓子店「玉嶋屋」

江戸後期からある200年以上の老舗。また、「玉羊羹」発祥の店でもあり、朝ドラ『エール』のなかでは福島銘菓として紹介されたそう。ぜひ食べてみたいと思って購入してみた。水風船のような形をしている。抹茶味や、福島らしい桃味もあった。さらに普通の羊羹も人気で、味と品質で日本一の評価を受けたものだとあとから知った。買えば良かった。

名物の羊羹

その後、二本松駅の近くにある「杉乃屋」というお店を訪ねたのだけど、ここの名物が「浪江焼きそば」と書いてあったから、「あれ?」と思った。「浪江って、行きに福島の海沿いで通ってきたあの浪江町のことか?」と思ったらまさにそうで、「そういえば浪江焼きそばってあったな」と思い出した。地図で調べると、二本松からまっすぐ東に伸びる道があり、それが浪江町につながっている。海岸までは距離があるけど、一応隣町なのだ。

旅の6日目に通ってきた浪江町は、震災被害のとくに大きかった町のひとつ。海沿いは丸ごと流され、ただの草原になってしまった一帯に、ポツンと「浪江町立請戸小学校」だけが震災遺構として残っていて、異様な光景だった。

この杉乃屋、もともとは浪江町にあり、有名なお店だったみたいだ。しかし震災の翌年に二本松に移転して、かれこれ10年以上ここでお店を続けているのだそう。今では二本松でもすっかり有名店のようで、たくさんのサインが飾ってある。小泉進次郎との記念写真もあった。進次郎、どこにでもやってくる。

浪江焼きそばと牡蠣丼のセット

ぼくは浪江町で焼きそばを食べられなかったから、ここで本場の味を楽しめて嬉しかった。浪江焼きそばと牡蠣フライのセットを注文。浪江焼きそばは、中太麺で、具はもやしと豚バラのみとシンプル。そして牡蠣フライも抜群においしかった。女将さんと少し話していたら、帰り際に「じゃあこれお土産に」と杉乃屋オリジナルの「一味ソースかりんとう」をプレゼントしてくれた。

いただいた一味ソースかりんとう

お腹を満たし、また出発。郡山までの残り20kmは、まさかのカメムシに苦しめられた。ここまでカメムシなんてほとんど現れなかったのに、今日から急にたくさん見かけるようになった。先日ニュースでカメムシが大量発生していると観たけど、それを実感する。危険なのは、下り坂で勢いよく走っているとき。飛んでいるカメムシはまるでピストルの球のように、顔の脇を「ヒュン」と通過する。そしてときどき頬などに当たり、痛い。当たって終わりならいいのだけど、服にぶつかると、なぜかそのままピトッとくっついている。

あるとき、ふと服を見ると、一度に6匹もくっついて悲鳴が出そうになった。お前たちいつの間に! 慌てて自転車を止め、カメムシを振り払う。すごいな、普通こんなスピードでぶつかったら、どんな虫だって跳ね飛ばされるだろう。なんでくっつけるんだ。カメムシのスキルはすごい。けど感心している場合じゃない。今日だけで計9匹が身体にひっついた。こんなのは人生初だ。辛い。。。それから先は、ろくに景色も楽しめず、カメムシに細心の注意を払いビクビクしながら進むようになってしまった。

ちょうど15時、郡山駅に到着。

JR郡山駅

郡山には、ほんの一瞬だけど、大学3年生のゴールデンウィークに来たことがある。友人のシンゴと自転車旅をしたときだ。

最初に郡山まで電車で輪行して、そこから旅がスタートした。猪苗代湖、裏磐梯を通って会津若松へと走り、阿賀野川を下って新潟へ。そこから佐渡へ渡り、また船で直江津まで出て、世界遺産の白川郷や金沢を訪れたという5泊6日の旅だった。

大学3年のGW

あの頃は、まだブログと出会う前だったから、今のように日記なんて書かなかった。だから忘れてしまったことも多い(どこで何を食べたかとか、どこの宿に泊まったかとか)けど、実に楽しかった。

シンゴとは計3回自転車旅をした

駅近くの「ホテルリブマックス」にチェックイン。シャワーを浴びて洗濯をしてから、郡山駅のスタバで原稿を書いた。

夕食は、どうしても「みたか食堂」で食べたかった。普通盛りなのに山盛りで出てくるカツカレーに胸を弾ませながら店へ向かった。

20時まで営業と書いてあったから、19時過ぎに行った。そしたら、「本日完売のため閉店」という看板が店に前に置かれていて、メチャクチャがっかりした。

行きたかった「みたか食堂」

でも仕方ない。代わりに「ジャスミンの花」という中華料理屋へ行き、「海の幸石焼あんかけチャーハン」を食べた。これはこれでおいしかったからよし。

海の幸石焼あんかけチャーハン

またスタバに戻り、23時の閉店時間まで日記の作業をした。いよいよ東北の旅は、明日で最後。白河まで、楽しんで走りたい。

<今日のお金>
補給ドリンク 165円
和菓子 2925円
ランチ 1100円
補給ドリンク 108円
夕食 1408円
スタバ 460円
ホテル 5054円

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