カリグラの弔鐘
幕が下りた舞台で
やっと見えた光
la, la, Arlecchina
靴を鳴らし
la, la, Arlecchina
影を踏んで
今夜見上げるほうき星は
黒玻璃にひとつ増えましょう
さあ 席について
幕は彼が月に愛された場面で
夜に空いた銃痕のような 鐘のひとつに足る虚を
いつかきみが星と呼べるように
浮かぶ月がひとりにならないように
もしこの世が一夜きりの悲劇というなら
溢れたきり 杯に戻せない目弾きは誰のため
もしこの世が一夜きりの喜劇というなら
頬に撥ねた一滴の海に桟敷のきみは映るだろうか
幕は紙の月が昇っていく場面で
誰のために また夜は空く
鉛ひと粒の弔鐘で
席を埋めるくらやみにお辞儀を
La campana di Caligola
幕を下ろす銃声が鳴って 弓は弦の席を立つ
いつかきみを月と呼べるなら
そばで星がお道化ていられるのに
天井画に満天の銃痕から
月光の滴れるつめたさに
緞帳が落ちていく舞台で
やっと上手に躍れるみたい
la, la, Arlecchina
幕が下りた舞台で
やっと見えた光