見出し画像

映画音楽が好きだったのを思い出した

日曜日には趣味の話はどうかな、と先日観た映画のことから、徒然なるままに。

モリコーネ 映画が恋した音楽家

原題は『Ennio』。偉大なる映画音楽家エンニオ・モリコーネは、母国イタリアはもとより世界中の映画界で、ファーストネームで愛されていたのでしょう。

500作以上の映画音楽を手掛け、2020年7月に91歳にして現役のまま、生涯を終えています。

日本では彼の名前より、映画『ニュー・シネマ・パラダイス』(1988年/監督:ジュゼッペ・トルナトーレ)の音楽ならだれでも知ってるはず。

ほかにも、日本でもよく知られる代表作がわんさかあります。これなんて、大画面で観たらぞわぞわっとしました。

『続・夕陽のガンマン』(1966年/監督:セルジオ・レオーネ)の西部劇を強く印象づける音楽は、当時としても画期的だったようです。マカロニ・ウェスタンをよく知らなくても、どこかで聞いたことがあるでしょう。

映画人に愛され続けた天才

モリコーネ自身、クラシック音楽を志していたから、映画音楽なんて最初は恥ずかしいことだと思っていたけれど、評価されるにつれ、自身がのめりこんでいくことに。

音楽家としての才能のみならず、彼の人柄や仕事ぶりは、監督をはじめとする映画人との共同作業であり、多くの支持を得ていくのです。一方で、挑戦的で革新的な映画音楽づくりに、ときに冷たい視線を浴びせられたことも。

アカデミーでは5度もノミネートされていながら、ずっと最優秀賞が取れず。でもやっと、2016年にクエンティン・タランティーノ監督の『ヘイトフル・エイト』で初めて最優秀作曲賞を手にした姿は、涙を誘うものでした。

なんて贅沢な音楽映画

この映画、最初のほうはぜんぜん音楽がなく、モリコーネ氏自身のインタビューからの振り返り。生い立ちから振り返るから、ちょっと眠くなる……。

なんて不安はすぐに消えて、エンニオという偉大な作曲家の輪郭が見えてくるとともに、素晴らしい映画音楽がじわじわと積み重なっていきます。誰かの語りがあったと思えば、突然映画の名シーンが!という具合に、続いていくわけです。ドキュメンタリーとは思えない躍動感で、後半はもう名曲と名シーンのオンパレード。まったく寝かせてくれない! 

映画は総合芸術だ、と思い知らされるとともに、そうした映画の楽しみ方を長いこと忘れていた自分を恥じることにもなりました。

映画音楽が好きだった

予告編を見て、見に行きたくなったののは、単純に「映画音楽が好きだった」から。とはいえ、モリコーネの知識はたいしてありません。映画をいつもあまり下調べしないで行くのは、現場での発見や驚きが新鮮でライブ感が楽しめるからです。

案の定、この映画は、それこそ名作映画の断片で構成されていて、モリコーネを語る著名な映画人たちも、それぞれがわたしの映画体験を刺激してくれました。忘れていた記憶、自分の過去ともオーバーラップして、より一層脳が活性化したような気分です。

そういえば、女子大時代にゆる〜い映画鑑賞サークルに入って、映画好きの先輩から勧められた映画を見たりしていたら、すこしずつ映画の見方が変わっていきました。映画のサントラも好んで聴くようになっていて。

レンタルCDとか輸入CDとか、いかに安く良い音楽を仕入れるかに注力してた時代が懐かしいですね。苦労して手に入れたものは、大切に思えるものです。いまはなんでも聴けちゃうから、聴かなくなってしまい……贅沢な悩み。

もっともよく聴いた映画音楽といえば『ゴッドファーザー』。そして同時代で『ピアノ・レッスン』(1993年/監督:ジェーン・カンピオン)の音楽にえらく感銘を受けた大学生のわたしは、その音楽を手がけたマイケル・ナイマンに直筆サインをもらっていました。来日イベントに駆けつけ、退場間際に声をかけ、サントラCDとペンを差し出して。快く書いてくださったけど、いま思えば相当迷惑なお客でしたね…。

渋谷から映画館が消えていく

先日、渋谷の東急デパート閉店のニュースが流れました。その奥のBunkamuraは3月いっぱいで営業を終了し、2027年度中まで休館扱いだそうです。今回行ったル・シネマはどうなってしまうのか。

大学時代フランス映画にかぶれてたわたしには、ル・シネマはちょっと特別な映画館でした。ル・シネマに限らず、ミニシアターといえば渋谷だったのが、閉館が相次ぎ、映画の街とは言えない感じになってしまいました。

調べてみると、なんと昨年11月に閉館となってしまった「渋谷TOEI」の跡地に「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」として初夏には営業再開するそうです。場所的にはぜんぜんBunkamuraっぽくないけど、継続するのは朗報。がんばってほしいです。

映画の歴史をたどるような映画だっただけに、映画を取り囲む街や文化の変化にも思いをはせてしまいました。自分の映画の思い出も、掘れば掘るほどでてきそうです。

とはいえ、もう長いこと映画館から足が遠のいていたので、やはり映画は映画館で観なければ、映画に恩返しできない気もして反省。月に1度は映画館へ行こう!と宣言してみます。
Netflixの映画もね、最近すごいらしいけどね。どちらともうまく付き合っていきたいものです。


この記事が参加している募集

映画感想文

最期まで読んでいただけただけでも嬉しいです。スキをいただいたり、サポートいただけたら、すこしでもお役に立てたり、いいこと書けたんだな、と思って、もっと書くモチベーションにつながります。 いつかお仕事であなた様や社会にご恩返しできるように、日々精進いたします。