君たちが雨に困るのを僕は知る由もない。

雨降りの朝。傘を刺さないでという程僕は悲劇のヒロインではない。ただ足元を見つめ水たまりを避けるだけである。何かを考えることも何かに思い馳せることもままならぬまま。家に着いたころには今日もただ水溜りを避けるゲームをしていただけと気を落とす。僕にとって歩いている時間は本来幾多の物事に対して想いを馳せ考えを巡らせる貴重で有意義な時間だ。しかし雨の降る日は湿気、頭痛、様々な弊害を乗り越えるだけの試練となってしまう。

もやもやとする7月の朝の雨は今日という1日が不甲斐ないものになることを予期させる。他人のことなど考えている余裕はない。不確かな未来と不安定な気圧。

それでもそんな雨の日でもそんな憂鬱な時でも花を添えられる君が好きだ。雨の楽しみ方を知っていてその楽しみ方を少しずつ教えてくれる君が。傘なんかいらないなんて言わない。言えない。傘が一つだけ、たった一つだけあれば甘い気持ちにさせてくれるそんな雨だってある。君はそう教えてくれた。でもまだ一人で雨を楽しむ余裕はないみたい。今度一人で雨が楽しめるようになった時、また二人での雨の楽しみ方を君の雨の楽しみ方を教えてよ。


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