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PolkadotのParachain、HydraDXについて知ろう

こんにちは、you425です。

今回はParachain紹介シリーズ第八回、Hydra DXについて書きたいと思います。

Polkadotって何?という方はこちらをどうぞ。

※個人の解釈や感想が強めに出ますのでお気をつけください。


1.HydraDXとはどんなプロジェクトか?

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まず基本情報です。

Polkadotでの名称:HydraDX($HDX)
Kusamaでの名称:Basilisk($BSX)

KusamaはPolkadotのカナリアチェーンとして作られているため、Polkadotに実装前の機能を先行して実装していきます。
その為、各Parachainもそれに対応したり自分たちも実験的な機能を実装するためにKusama用にParachainを用意することが多いです。

これからPolakdotのPLOに参加するという方は、Kusama用のチェーンがどのようになっているかをチェックするといいでしょう。

HydraDXはクロスチェーン流動性プロトコルです。
Polkadotエコシステム内にLBP(Liquidity Bootstrap Pool、Ethereum上のBalancerが有名)や、マルチアセットプールを提供します。

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出資は中堅以上のVCが名を連ね、KR1やDFG等Polkadot関連への投資に力を入れているVCも入っています。

資金調達は他のParachainプロジェクトに比べて控えめですが、意図的に少なくしているようです。
分散性を重視しているようなので、その一環だと思われます。

開発はW3Fから1度Grantを受け取っている(但しHydraDXとは無関係)Galactic Concilという企業が務め、Zee prime capitalのメンバーでもあるようです。
Zee prime capitalはAcalaやMantaにも出資を行っているので、ある程度の結びつきはありそうです。

パートナーシップはAcalaやComposableが発表されており、MoonbeamやSnowfork、Zeitgeistが候補に入っている模様です。


2.LBP(Liquidity Bootstrap Pool)とは

おそらくLBPに馴染みのない方も多いと思いますので解説していきます。

通常のAMMのプールは2つのペアの価値は同量にして組みます。
例えば、ETHとUSDCであれば価値が50:50になるようにします。

LBPの場合、最大で95:5まで重みづけを偏らせられ、任意の時間ごとに比率を変えることが出来ます。

プロジェクトがトークンリリースに使うケースが基本で、セールの形式をとらずになるべく公平にトークンを販売するために行われることが多いです。

多分これだけだと何を言っているかよくわからないと思うので、実際にHydraDXが$xHDX(ERC-20版の$HDX)をLBPで販売した時の例を見てみましょう。

今回の例ではxHDX:DAI=92.5:7.5の重みづけでスタートし、最終的に17.5:82.5になるように設定されていました。

この場合、最初は$xHDXの価格が一番高く(0.0296ドル)、最後の段階では一番安く(0.0005ドル)なります。

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但し、これは誰も購入せずに最後まで行った場合の動きです。
実際には誰かしら購入するため、このようには動きません。

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小さい圧力で買い続けられた例、ゆっくり価格が下がっていきます。

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一度にクジラが大量に買った例、急激に価格が上昇するため買い占めが起きづらくなります。

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クジラが最後まで待った場合、入れた資金が重みに対して比重が大きくなるため急激に価格上昇が起きます。

このようにして各自が適切だと思う価格で購入ができ、更に誰でも参加できるために公平性が高いとされているのがLBPです。

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HydraDXでは上の価格の動きが理想的と考えたようです。

ちなみに実際どうなったかというとこんな感じです。

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理想と現実は違ったよ…。
スタートは0.0296ドルで、最終的には0.0806ドルになったので3倍近くまで行ってしまいました。

僕は過去に2度LBPに参加したことがありますが、ここまでのことにはなりませんでしたね…普通に開始価格より下で終わりました。

という感じでこのLBPをPolkadot上で出来るようにするのがHydraDXのプロダクトの一つです。

EthereumではBalancerでLBPをやった後にそのままUniswapに流動性を移すことが多いですが、HydraDX上で同じようにLBP→HYK(AMM)へと移すことが出来ます。

Moonbeam上にBalancerが来ることは決定しているので強力な競合がいる状態ですが、あちらはERC-20だけなのに対してHydraDXではPolkadotのトークンでも可能なのは有利な点です。

それから、HydraDXのLBPではブロックごとに細かく重みづけが変更できるようです。


3.Omnipool(マルチアセットプール)

HydraDXの意欲的なプロダクトは、このOmnipoolです。

通常のAMMでは2つのペアのプールがたくさんある状態ですが、Omnipoolでは全てをひとまとめにしてしまいます。

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このことにより流動性が細分化されることはなく、スリッページが少なくなり様々なペアとトレードすることが容易になります。

AMMを使っているとルーティングされるのを見ると思いますが、それが無い分手数料も安くなりますね。

ではどのようにやるのか?というと、プール内には半分が$HDX、残りは他のアセットになるようにプロトコルが調整するようです。

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流動性提供者は$ETHや$DOTのみをデポジットし、自動で同価値のHDXがプロトコルから提供されます。
流動性撤回時には逆にHDXはバーンされます。

かなりの力技ですが
・トークンアロケーションがどうなるのか
・価格はどこから持ってくるのか
等、細かい部分がまだわかっていません。

面白い試みだとは思うので、この先どのように稼働していくかが楽しみです。

【2022/01/02 追記】
HDXの代わりに、プール用のLHDXというものが作成されることになりました。
HDXはガバナンス用、LHDXはオムニプール用となります。
上記の説明のHDXは、LHDXに置き換わります。

【2022/02/15 追記】
LHDXはLRNAに変更になりました。


4.クラウドローンの情報

HydraDXはPolkadotのPLO参加は第2バッチですることを表明しています。

BasiliskがKusamaPLOの第2バッチで勝利したばかりだったこと、HydraDXは他のチェーンが動いて無いと意味がないことを考えると妥当なところだと思います。

参考までにBasiliskのクラウドローンの情報を載せておきます。

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総供給は1000億枚で、そのうち15%をクラウドローンの報酬に分配式で回しました。
それに加え$HDXもロックした$KSMに対してAPY(13.75%くらい)で配布されます。

配布はBasiliskでもLBPが行われるので、終了2週間後から配布、スロットのリース期間1週間前までに全ロック解除です。

HydraDXは既にLBPやっていることを考えると、流石に同じようなスケジュールにはならないと予想されます。

トークンアロケーションはチームやインベスターが15%、LBP分が15%、残りはエコシステムとブログには書いてあったので、その中からクラウドローン分が捻出されるはずです。


5.まとめ

というわけで今回はHydraDXについてでした。

なんだかHydraDXに対しての内容が少ないような気がしますが、ドキュメントが少ないんですよね…。

ブログもドキュメントも読みましたが、知りたい核心部分が少ない印象。
Githubでソースコードでも読めと言わんばかりでした。

そんな感じなので、Basiliskがクラウドローンで上限の222,222KSM集めたことにはびっくりしました。

$BSXと$HDX両方貰えるというのが大きかったのかな…?

不明点が多いですが、個人的にはOmnipoolがどのように動いていくかは興味があるプロジェクトです。
うまくいくと革新的ですね。

それでは最後までお付き合い頂きありがとうございました。次回はCentrifugeについて記事にする予定です。

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