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【年齢のうた】Hana Hope●「16 -sixteen-」に表現された不安な思いと前へ進もうとする意志と

仕事をしている毎日です。そりゃそうだ。ほかに、家のことも。おつかいに行ったり。時々ご飯作ったり。お米炊くとかお風呂掃除は毎日。
もともとスーパーにはかなり行く人間でしてな。いつもと違う土地に行くと、スーパーに必ず寄ろうとしますね。コロナ禍で思うように行けない時は悲しかった。

僕、『ヒロシのぼっちキャンプ』をよく観てるんですが。あの序盤でキャンプ前に食材を購入するシーンが好きなのは、その地域のスーパーの雰囲気が見たいからなんです。まあ、あれは昔ながらの雰囲気のある、その町のお店を選んで立ち寄ってると思いますけど。

『ぼっちキャンプ』はかなりハマって、2022年夏ぐらいまでの1年間はよく観てたんです。で、今もまあ観てはいますが、去年の秋、Season6から、1回のキャンプ泊で4本撮り(2週分OA)になってからは、番組の構成に疑問を感じてですね……。あれだと前半の週がまるっと街歩き~ふれあい番組的になり、それがお決まりになったことに、どうにも違和感があって。きっと忙しくて、ロケ日が取りにくくなったんでしょうけど。その土地で出会う人々から毎回何とかネタを引き出そうと頑張るヒロシを見るのがツラいのよ(←大げさ)。
ただ、ホストをしていた人だけに、話術に長けてますよね。この事実はそこまで目立ってないけど、実はすごいと思う。『徹子の部屋』の出演時(今年ではなく、前々回)に黒柳徹子のことを「徹子さん」と呼んでたのは、やるなぁ、とんでもないなぁと思った。
そういえばヒロシ、バンドをやってるので、インタビューで会える可能性がなくはないな!


スーパーといえば、先日さいたまスーパーアリーナに行った際に、近くのコクーンシティにあるLIFEでインスタントコーヒー(ちょっと安かった)や、おはぎを買って帰りました。コクーンシティにはだいたい寄ります。ライヴ前に。
で、たまアリにはMAN WITH A MISSIONを観に行ったのです。すごく良かった! そこには進化するオオカミたちも、しかし変わらぬオオカミたちもいて、それが胸アツだった。終演後に、まさかの関係者向けのあいさつもしてくれて、お疲れさまです。そうだ、この日の原稿も書かなくては。
彼らはほんとに世界を廻った1年だったんだな。

マンウィズのライヴではmiletとの共演もあって、非常に見ごたえあった。彼女はすでに人気シンガーだけど、そのうちもっと大化けするのではと僕は思っています。

ほかには『ザ・ビートルズ:Get Back』をようやく観ました。これは計8時間もの長尺にしたからこその感動がある作品。それもビートルズだからできたのだろうな、と。自分的な感動ポイントは、スタジオでポールが制作途中の新曲を唄っていくシーン。そこで4人は何気なーい感じで曲を覚えようとしたり、アレンジを考えたりしてるけど。そ、その曲! このあと何年経っても、名曲として世界中に残っていくんだよ!と何度か教えてあげたくなりましたね。この未来の日本から。

しかし、ディズニープラス! テレビだと前日までの続きから観るのも、そこにたどり着くための早送りも巻き戻しもしづらい仕様で、すごく不便! おかげでこの大作を全部観るまでに2時間くらいは余分に浪費した。直してくだされ。

そして今回の【年齢のうた】で取り上げるのは、こちらも先週ライヴを観た女性シンガーのHana Hope。まだ17歳のアーティストです。
14日(木)に、渋谷DUO MUSIC EXCHANGEで行われたワンマンに行ってきました。
彼女のこと、そして歌について。書きます。

「けもののなまえ」で衝撃を受けた、透明で無垢な歌声


【年齢のうた】では、これまでに書かれた年齢にまつわる歌を探っているので、対象が古い作品になることが多い。しかしそうした曲はつねに新たに書かれ、唄われていて、最近リリースされた作品だって存在する。そういう歌も、調べてはいる。
今回のHana Hopeというアーティストの歌は、昨2022年に発表されたものである。

その前に、Hana Hopeとはいったい何者なのか。
以下は公式プロフィールより(主にその前半を)。

2006年 東京都生まれの17歳。

2019年 YMO結成40周年を記念したトリビュートコンサート〈Yellow Magic Children〉に
13歳で参加した事をきっかけにシンガーとしての活動を本格的にスタート。

高橋幸宏、TOWA TEI、ROTH BART BARONなど多くのミュージシャンとの共演を果たす。
2020年 レコーディングスタジオ・音響ハウスの映画「Melody-Go-Round」に出演、テーマソングのボーカルを担当。

2021年には細田守監督の映画『竜とそばかすの姫』で声優としてもデビュー。
(以下略)

こうした経歴のため、イベントである〈Yellow Magic Children〉で見たという方が音楽業界にはけっこういるのだが、僕が彼女を知ったのはそれからしばらく後の2019年の秋。上で名前が挙がっているロットバルトバロン(ROTH BART BARON)というバンドの「けもののなまえ」という曲で、この人の声を初めて耳にしたのである。HANAの名義で、ヴォーカルとして参加していたのだ。
ロットバルトバロン(以下ロット)は世界のインディーロックから影響を受けながら、それを独自の日本語詞とサウンドアプローチで展開する、稀有なアーティストだ。先ほどバンドと書いたが、現在では三船雅也というアーティストのソロプロジェクトと言っていい状態である。

この「けもののなまえ」の発表時、HANAはまだ13歳だった。

汚れのない声と、ロットの三船のハイトーンヴォイスが本当に美しく重なっていて、ものすごく心をつかまれた。2019年の、自分にとってのベストソングである。

声は透明で、13歳にしてはちょっと大人びて見えるHANA。この年の11月にロットのライヴに客演してくれて、そこで彼女が唄う姿を初めて生で見たのだが、歌声はやはり美しく、無垢な響きをしていた。それが何よりもこの歌の魅力を引き出していると思う。

この翌々年の2021年の4月、自分がロットについて書いた記事でも「けもののなまえ」のことに触れている。

その後も含め、おそらくロットのステージに入って唄う彼女を、僕は4回ほど観ただろうか。HANAはいつも落ち着いていて、すっとしていて、やはり美しい声で唄っていた。

そうこうしているうちに一昨年の後半、彼女がソロアーティストとしてデビューするという話を聞いた。名前はHana Hopeと改められていて、やがてデビュー曲がリリースされた。これが2022年2月のこと。その「Sentiment」は、Black Boboiというユニットが書き下ろしていた。

繊細でピュアなあの声は健在だった。そしてHana Hopeは、電子音……テクノからエレクトロニカの流れを受けたサウンドをまとっていた。

16歳の時の内面を唄った「16 -sixteen-」


さらにしばらくの時が経過した頃、彼女がライヴを行うという情報を知る。招かれた僕は、表参道の会場に足を運んだ。2022年11月。今から1年と1ヵ月前だ。

16歳になっていたHana Hopeは、ここでも落ち着いて、にこやかに、しっかりと歌を唄っていた。動画でカバーしていたYMOの「CUE」は涼風のようだった。坂本龍一の「Ballet Mechanique」は元の曲のロマンチシズムをきれいにすくい上げていた。


こうしたカバー曲もあったが、ライヴの基本線はオリジナルの曲たちだった。彼女とスタッフはもうこの時点でかなりの楽曲を作り溜めているようだった。

言わばHana Hopeのキャリアとしては、やがては初期の作品と呼ばれるようになるはずの曲たち。その中に、たとえば2作目のシングルとなる「もうきみはひとりじゃない」もあった。この歌は、作詞を加藤登紀子、作曲を江崎文武(WONK、millennium parade)が手がけていた。

そして、同じくこの日に唄われた曲に、「16 -sixteen-」があった。
Hana Hopeの心の内がストレートに描かれている曲だった。

これはロットがプロデュースした曲でもあった。作詞と作曲はHana Hope自身で、英語詞である。インターナショナルスクールに通うほど英語も堪能な彼女だけに、ライヴのMCでも英語がよく出てくるし、歌にもこうして英語詞があったりする。

この歌では、16歳時点でのHana Hopeの心の揺らぎが隠すことなく吐露されている。
未来に対する不安、どうしようもないことへの恐れ。憎しみや恐怖から逃げ出したくなる気持ち。それでも飛び立ちたいと、また笑うのだと唄う彼女。
抽象的な言葉が、漠然とした恐ろしさに包まれた心情をより強く表現している。そこからなんとか前へ進もうとする思いも感じられる。
ここには彼女個人の未来や行く末のこともあるだろうし、また、今の世界、この世の中を見つめながら感じている点もあるのではと思う。


――2曲目の「16 - sixteen-」はHanaさんが作詞・作曲をしていて、揺れ動く心情が素直に綴られています。このアルバムの中でも象徴的な一曲ですよね。

Hana:そうですね。その時思っていたことを素直に書きました。元々は45秒ぐらいしかなかったんですけど、三船雅也(ROTH BART BARON)さんと一緒に、曲を広げていって。以前から「けもののなまえ feat. HANA」とかでコラボして、お互いに信頼感があるので、言いたいことは素直に伝えられたかなと思います。

――何か心に残るアドバイスはありましたか?

Hana:歌詞を書く時は「いかにも詞らしい詞を書こう」とか、あまり深く考え込まずに、今思ったことを書くことが大切だって言われました。特に「16 - sixteen-」は自分で書いた曲で、ティーンエイジャーならではのエモーションが詰まっている曲なので、もう少し大人になったら書けなかったと思います。

――〈I wanna runaway/With no hatred, no fear〉という思いを正直に歌っていますが、Hanaさんが感じる「恐れ=fear」とはどのようなものですか?

Hana:私と同年代の人はすごく共感すると思うんですけど、やっぱり未来が「恐怖」です。今、環境のことやポリティカルなことを思うと、自分の未来はどうなるかなって考えさせられることがいっぱいあるので、そこから不安が湧いてくるのかなと思います。ティーンエイジャーは大人への第一歩なので、大学に行けるかとか、大人として社会にどう向き合うべきなのかとか。そういうことも考えるようになりました。

――それを歌にすることによって、同年代の人にもっと考えてほしいという気持ちでしょうか。それとも、自分の中で感じているものを紛らわせたいのでしょうか。

Hana:どっちもかな。自分にとっては曲を書くことがセラピーになっているんです。自分の気持ちを素直に言えるので、それで少し内面が軽くなる感じ。あとは、私と同じように色々不安に感じている人もいると思うけど、その恐怖にとらわれないでって他の人に伝えたい思いもありますね。


曲の元は何年か前からあった様子。なんと12歳の頃、初めて自分で作った曲なのだという。それで歌詞で、4年の間、自分のことが心配だったと唄っているのだ。


Hana Hope:『16 - sixteen』は自分で作詞・作曲をしたのですが、ROTH BART BARONにお手伝いいただき、プロデュースと演奏をしていただきました。アコースティックで自然な感情を表現した曲です。

この曲は3年前くらいにできたのですが、暇なときに思いついたメロディと歌詞を思うがままに書き留めました。ティーンエイジャーの揺れ動く感情と不安を表してみました。

初期の頃は60秒程度しか曲ができていなくて、そこからROTH BART BARONとコードを考えながら曲を長くし、一緒にメロディも紡いでいきました。ROTH BART BARONの助けで世界観が強くなり、よりいいものになったと思います。

この曲では揺れ動く感情が表現できていると思っていて、自信の無さだったり、あるいは自信があるとき。勇気が無い、そしてあるときだったり、いつも完璧ではない自分を表せたのがいいところだと思います。

私にとって大事なのはありのままの感情をそのまま出すところ。曲を書いたときに思ったことがちゃんと伝わるように。そういうものを心がけているので、今の自分をちゃんとみなさんに聴いてもらえたらうれしいです。

この『16 - sixteen』という曲は、始めの頃は自信がなかったんですけど、みなさんの助けによって思った以上にいい仕上がりになり、とてもうれしいです。世界中の人に伝わればいいなと思います。

この経験でわかったのはとにかく実行してみるのが大切だということ。思ったことはとりあえず紙に書いてみて、そんな歌詞をいつか素敵な曲にしたいと思います。まずは『16 - sixteen』がみなさんの心の支えになればうれしいです。

上の動画で、ロットの三船はこう言っている。

「自分が納得して、自分の心から出た魂が聴きたいじゃないですか。Hana Hopeの」

まったく、僕もそう感じた。そしてこの曲には、彼女のそんな魂が、にじみ出ている。
昨年、16歳時点での彼女の歌声で、この曲を聴くことができて、良かったと思う。

今年2023年に入り、Hana Hopeは最初のアルバム『HUES』をリリース。この中には今までにリリースした曲や、ロンドンのエレポップユニットのHONNEがプロデュースした曲、シンガーソングライターの柴田聡子が歌詞を書いた曲もあったりと、さまざまなバリエーションを広げながら、自分の歌を少しずつ積み上げている姿が感じられた。

このあと彼女は活動の場をメジャーへと移し、ソニーからのリリースをしていく。そこで、タイアップが付いた曲が大きな役割を果たした。「flowers」、そして「消えるまで」の世界観に見られるダイナミズムは、ゲームやアニメという別メディアの作品性もあるからこそ踏み切れた表現ではないかと思う。


ここで話はようやく先週のライヴに戻る。

この夜、Hana Hopeはこうした曲たちを次々にパフォーマンスしていった。中盤に唄った上の2曲「flowers」と「消えるまで」は本当に素晴らしく、どちらも現在の彼女の代名詞のような歌になっていることを感じた。ヴォーカルのほうもここまでステージの回数を徐々に連ねてきた成果が出ていて、より強い表現ができるようになっていた。ステージで、いつもにこやかにしているのもいいと思う。

今回は1stアルバムからの曲はもちろん、YMO、高橋幸宏、それにビリー・アイリッシュやボーイジーニアスのカバーも披露した。そんな中でアバの「ダンシング・クイーン」をウクレレの音色とともに唄う場面もあったのだが、その際にこの選曲の理由について「(歌詞の)Only 17! 17歳だから今唄うしかないって」と話していたのだ。これを聞いて、そうか、じゃあ今日は「16 -sixteen-」は唄わないのかな?と思ったのだが。
Hana Hopeは唄ってくれたのだ、「16 -sixteen-」を。それもアンコールの最後、これで今夜のステージはおしまい、というところで。

その歌唱には感情がにじみ出ていた。先ほど書いたとおり、これは不安がよぎる内面を書いた歌だけに、とても微細な表現が必要なのだが、それでも彼女は堂々としたたたずまいで、誠実な歌を聴かせてくれたのである。短い曲だが、この「16 -sixteen-」を大切にしていることも伝わってきた。
この歌ができてから、1年以上は優に……制作期間を含めると、もう何年も経っている。それでもこの揺らぐ思いを忘れることなく、しっかり表現しようとするHana Hopeは、シンガーとして、アーティストとして、着実に歩みを進めていると感じた。

そのうちにまた書こうと思っているが、16歳は、歌のテーマに取り上げられることが多い年齢だ。それは青春時代の中でもより熱を帯びていく段階だからだし、それゆえにすごく楽しい、うれしいことも、反対にひどくキズついたり、また悲しんだりすることもあるだろう。若いだけに、心の中へのインパクトは大きいのだ。それに、何かと微妙な年頃でもあると思う。

ただ、Hana Hopeの「16 -sixteen-」は、青春や若さという言葉ではくくれないものが漂っている。センシティヴで、そこに悲しみも、せつなさも感じるこの心象風景は独特だ。
まだこれからの才能ではあるが、ほかのアーティストにはない何かを抱え持っている気配も感じる。

Hana Hope。これから、どんどんいい歌を作り、唄い、いいアーティストになっていってくれることを期待している。


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