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【年齢のうた】岡野昭仁×井口理●「MELODY」に込められた「16歳児」のときめき

らーめん能登美(能登美 別館)の冷やし潮そば。880円。絶品です!
水道橋駅(JR総武線だと東口)からわりとすぐにあるこのお店は、能登地方の料理を出す居酒屋なのですが、ランチタイムはラーメン専門店になるんですね~。そこで提供される潮そばが僕とカミさんはひっじょーに好きで、時々食べに行ってます。4年くらい前からかな。
そして先日、夏季の冷やしラーメンを初めて食べました。中に氷が入ってるのですが、これ、出汁を凍らせたものじゃないかな。食べごたえがサッパリスッキリで、塩(潮)味の加減もいい具合でした。
おいしく感じる店って、自分との相性がいいんでしょうね。作ってる人の感覚まで伝わるというか。

こんなふうに、自分が珍しく冷やしラーメンを食べるほど暑い日々が続いてます。ほんと、溶けそうなくらい。そんな中、こないだは取材仕事で江戸川区の船堀という街に、かなりひさしぶりに行きました。溶けなくて良かった……(溶けんわ)。前は中村一義のライヴを観に行った時で、今回も江戸川Q!な雰囲気を味わいました。

一度でも訪れて、それなりに思い出のある土地は、何かで目にした時に、つい気にしちゃいます。先週は、行ったばかりの瑞穂町がテレビのニュースに出てて、街中の定点カメラが映しているあたりが自分が歩いた道だったから、ビックリしたり。

その数日後には、6年前にGLAYのライヴ取材で訪れた金沢の街がレポートされていて、ちょっと懐かしく見ました。香林坊の界隈、近江町市場、21世紀美術館とか、ですね。
自分は全国各地にポツポツ行ってるんですが、基本的に仕事が多く、すぐ帰ってくるばかりだったんですね。海外に行ってもそんな出歩かなかったし(危険回避もあるけど)。
ツアー生活の多いミュージシャンは、気分転換で旅行に行くのもまた大変なのかな?と思ったりします。それでも、旅が好きな人はいますね。

では今回は、岡野昭仁×井口理のコラボ楽曲「MELODY」について書きます。

ポルノグラフィティへのリスペクトを示していた井口理との共演曲


ポルノグラフィティの岡野昭仁と、King Gnuの井口理。このふたりが共演したのが、昨年リリースされた曲「MELODY」である。

【年齢のうた】では、King Gnuは以前、「Teenager Forever」について取り上げている。

「MELODY」は人気バンドのヴォーカリストがふたりでコラボをしたことになるわけだ。ただ、それだけで終わっていないのがミソである。

その前に……これはポルノの岡野がソロでコラボを展開する「歌を抱えて、歩いていく」という名のプロジェクトの一環で、彼が関心を惹かれたアーティストたちと曲を作るものである。これ以前には、ヨルシカのn-buna、澤野弘之、辻村有記、スガシカオといった顔ぶれと制作した楽曲群が発表されていた。

「MELODY」はその第4弾。これが実現したのには、井口がかなり以前から自分がポルノグラフィティが好きであることを表明していて、ラジオ番組での岡野との共演を経て、こうして音楽でも両者が邂逅したという流れがある。井口の熱烈なポルノファンぶりについては僕も耳にしたことがあったが、そこからの交流によって曲が生まれたのだ。

そして、この曲にはもうひとつのバンドが関わっている。タイトルにプロデュースのクレジットがある通り、BREIMENである。

若手バンドのBREIMENはこの数年の音楽シーンの注目株。ソウル、ファンクを独自に解釈したサウンドはクオリティが高く、バンドの雰囲気はちょっとアダルト。僕もライヴを観たことがあるが、彼らの洗練された感覚とエンターテイメント性が融合するステージは見事なものだった。

「MELODY」は、このバンドの中心人物である高木祥太が作詞・作曲を手がけており、そのまま自身のバンドでプロデュース。㎹にも全員で出演している。

楽曲は、とてもムーディで、色っぽいソウル・サウンドになっている。歌も音も完成度が高い。そして、まさにこのメロディも、またサウンド……とくにホーンやストリングス系の音色など、大人の雰囲気だ。

しかし岡野や井口の唄い方は、もちろん高度な唄い方を聴かせてはいるものの、ファルセットも混じるそれは大人とか円熟というより、どうにもエモーショナルで、一途な熱情のようなものが感じられる。それは歌詞にも表れている。

「16歳児」という表現から匂ってくる、若き日の彼らのパッション


【年齢のうた】として注目したいのは、1コーラス目にある、16歳児のときめきが、という一節である。
僕はこの箇所、最初はよく聴き取れなくて、16歳時? と解釈した。
そうではなく、16歳児。6歳児ではない。16歳の子供、というわけである。

そう。子供、まだ無垢で、まっすぐな、若い子であることがポイントなのだ。

おわかりのように、岡野と、井口や高木は世代的にかなり離れている。このへんのことや、井口や高木によるポルノグラフィティへの思いを理解するのに最適な映像があった。レコーディングの現場に密着し、そこでの彼らの話までが映像となって公開されていたのである。

ちょっと驚いたのは、この曲が2021年の6月に作られていたこと。リリースが翌年5月なので、レコーディングから11ヵ月が経過していることになる。1曲だけのコラボだが、それだけ録音のあとのプロダクショニングでも時間をかけて詰めたのかもしれない(もしくは、それぞれのリリースのタイミングを見計らっただけなのかもしれないが)。

そして映像の中で、このコラボについて、若手のふたりはこんなふうに話している。

井口「中学1年の時に岡野さんの声に出会って、そこから続いてたものが、たぶんここまで来てるというか。あそこからつなげてくれたものというか、音楽の力というか。それがこの3人というかね、BREIMEN含めですけど、到達してる。ここにね」

高木「俺も中学の時にポルノ(グラフィティ)に出会ってるから、それがほんとに、こんな、音楽続けて良かったなって思えるエピソードに……って感じです。ほんとに。いや、そう言ったら軽い感じになっちゃいますけど、ほんとに、感動しつつ、楽しかったですね」

岡野の前で、とても素直に、ナチュラルに敬意を示しながら、自分たちのルーツを話すふたり。中学生の時にポルノグラフィティの歌を聴き、それが自分の音楽の中に生き続けて現在に至っていることを語っている。

16歳児という言い方は、このことに関係しているように思う。
16歳は、順当にいけば中学を卒業し、高校1年生で迎える年齢。先ほどの中学の時に、それこそポルノグラフィティや他の音楽から受け取った衝撃が井口や高木の中で大切なものとなり、のちに音楽の道へ向いていくきっかけだとか、そのパッションの源になっている……ということではないだろうか。

さらに、16という数字は歌詞の言葉のハマりから発想されたのではと思うが、これが言い得て妙だ。そもそも16歳児という言葉は、その前の16小節や、2コーラス目の16ページと連関して綴られていて、そこも絶妙である。

歌詞としては、出会いについての唄い出しから入り、その「16歳児」のときめきについて触れ、いま歌うことについて帰結していくという展開になっている。それはこのコラボの背景と重ねることができるし、聴き方によっては音楽を介しての愛情とも、また、広義のラブソングだとも解釈できる。
サウンドともども、本当にうまいところに着地させたもので、BREIMEN、素晴らしい仕事ぶりだ。そして岡野と井口も最高の歌唱を聴かせてくれている。ビデオやサウンドはアダルトめな仕上がりだが、ここでは誰もが16歳の時のパッションを……それこそ「16歳児」のような赤裸々さを抱えながら、この歌に臨んでいるように感じる。

機会があれば、ぜひ彼らの生での共演を聴き、生で観てみたい。そんなナンバーである。



らーめん能登美はランチタイムのみの出現で、
ラーメン以外にいろいろ付けてくれます。
ご飯はどの麺類にも付いてて、
その器にラーメン丼からスープを注いで
冷や汁のように食べることが可。
ほかにLINEからのクーポンで
海苔、チャーシュー、唐揚げ等もいただけます。
長く続いてほしいお店です

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