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2024年の生き方【フォトギャラリー短編】

「2024年」
それが、彼の名前だった。

「2023年」でもなく、
「2025年」でもなく
「1024年」でもなく、
「3024年」でもない。

彼は「2024年」だった。

そんな彼は、今年富士山の登頂に挑んでいた。
一歩ずつ山を踏みしめ、進んでいく。
額にうっすらと汗がにじむ。
あと少しで頂上だ。

とうとう、そのときはやって来た。
最後の一歩を踏みしめ、頂上にたどり着いた。
「2024年」は、富士山の登頂に成功したのだ。

しかし、誰からの喝さいも祝福もなかった。
お祝いのメールも喜びのインタビューもなかった。
ただ冷たい大気とやさしい日の光がそこにあるだけだった。

なぜなら、彼は透明なのだ。
誰も彼の存在を知らない、気づかない。
見えない「2024年」。

それでも彼は満足した表情を浮かべている。

(お礼)work_minimum14さん、素敵な画像をありがとうございました。富士山に登りたくなりますね。


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