見出し画像

年度最終日だから、次やることを考えた。

週末、テレビを見ていたら生産性の話が出てきました。(何のテレビだったかな…?忘れましたけど確かBS)

その際、ふと思いだしたのが、

「生産性向上」とか「生産性革命」というキャッチフレーズはあふれかえっているけど、その生産性は今一体いくらで、その数字をどうしていきたいの?という具体的な数字や目標が全く明示されていない、という状況のこと。

ずっと違和感を感じていました。

推察するに、業種ごとに生産性は違っていて、「一律にこう」という数字が出せないこともあるのでしょう。また業種によっては、既に極限まで生産性を高めて、高い生産性を維持しているところもあれば、そもそも利益率が高く、それに伴い生産性も実態と比較して高いという業種もあります。(インフラ系とか寡占が進んでいる業界とかはそんな感じがします。)

一括りに「こう!」と言えないので、あまり数字が出ていないというのが現状ではないでしょうか。

とはいえ、自分でも何となく数字を見てみたいと思ったので、『平均』を使って調べてみました。幸い(?)、鳥取県にはインフラ系とか、極限まで生産性を高めている企業は数えるほどしかない気がしますので、無視していきたいと思います。

結果は以下の通り。

鳥取県の生産性 ⇒ 3,562千円
東京都の生産性 ⇒ 7,454千円                  (出典:総務省・経済産業省「経済センサス-活動調査」)

東京都の約48%ですか。半分以下。結構な差をつけれらています。ちなみに、付加価値額については以下の通り。

鳥取県の付加価値額 ⇒ 640,463百万円(H27年度)
東京都の付加価値額 ⇒ 106,174,476百万円             ※従業者数は鳥取県230,700人、東京都9,005,511人。

この付加価値額の数字は実質的にその地域の経済規模と言い換えて差し支えありませんので、これが現状ですね。

今後、人口減少が進みます。
鳥取県の場合、現在の人口が約56万人で、そのうち働く人(従業者数)が23万人。人口が2040年には44万人に減少すると言われていますので、単純に計算して働く人は18万人となる計算です。
働く人が現在の約78%まで減る中で、経済規模を維持しよう(付加価値額を維持しよう)と考えれば、生産性は4,567千円と約1.28倍に増やさなければなりません。
年1%の低い経済成長を目標とした場合、約20年後には付加価値額は1.25倍になるため、生産性はさらに1.25倍の5,685千円(現在の1.6倍)が必要です。

年1%の低成長だとしてもなかなかチャレンジングな数字になりました。

「20年かけて1.6倍であればたいしたことはない」といわれるかもしれないですが、年1%の成長は低成長です。実感が湧かない成長です。それでも生産性は1.6倍にしないといけない。

なかなか行く先は困難です。もっと危機感を持たなくては…。

達成するための方法論

さて、危機感を持ったところで、このチャレンジングな数字を達成しようと思えば、これまでとは違ったアプローチが必要です。絶対。

その1・・・飴をぶら下げる

厳しいかもしれませんが、頑張った過程をほめる(取組への支援、補助)支援のやりかたはやめて、結果に対して奨励する、といったやり方をすべきと考えます。

ライ〇ップじゃありませんが、結果にコミットする。行政としては、わき目も降らず、この数値目標を達成するために全力を尽くすという意味で、企業に飴をぶら下げる。

生産性を高める手法はいろいろあると思います。設備投資、人材育成、革新的な新商品・サービスの開発…。なんでもいいのですが、とにかく生産性を高める。

個々の企業にとっての付加価値額はざっくり営業利益+人件費+減価償却費ですから、これを従業員数で割った数字を今の1.6倍以上にすれば飴(補助金とか)を、というやり方です。

その2・・・戦略的に高付加価値産業を呼び込む、宇宙ビジネスのような新興産業へのチャンレンジを促進する

高付加価値産業の最たるものは知識やノウハウを商品とする業態です。ICT関係、衛星データ・ビッグデータ等の活用あたりが有望でしょうか。ただし、県内に人はいません。呼び込むにはオールドインダストリーである、下請け構造にある製造業の再編が必要となってきます。労働集約型の産業を再編し、知的集約型の産業の集積を進める、これも一つの戦略です。

特に付加価値が低い数字で固定化されている中小の製造業については、資本集約(M&A等による)を進め、企業数を減らす。規模の経済を働かせ、設備投資効率や人材投資効率を高め、生産性を高めて行く必要があります。必要な人員を減らしていくことで、労働人口が少ない状況でも対応できるようにしていきます。

そういう状況を作りつつ、イノベーション領域に入りますが、宇宙ビジネスとか、空飛ぶクルマとか、そういったフロンティア分野への投資を増やしてくことで生産性を高めていく、という戦略です。当面は生産性向上にはマイナスに寄与するでしょうが、とある時期に一気に伸びる、そういった産業の種(シーズ)を見つけ、残していくような施策が必要です。

政策のパラダイムチェンジ(パラダイムシフト)を

これまでの支援策の多くが過程を評価するという性格のものが多くありました。労働系の施策は雇用したら○○万円、というような奨励金的なものが今でもありますが、産業政策にもこの視点を持ってくることも重要ではないでしょうか。

取り組む過程では、人的、知的支援、結果に対しては、称賛(賞金的な金銭的モチベーション)、企業の成長モチベーションを高める仕組み、チャレンジしやすい仕組みを提供する(環境を整備する)ことが必要だと思います。

財政的リスク軽減(補助金)ではなく、リスクを取ることが称賛される、失敗が経験として貴重な資源として認識される社会を作っていくことも行政としては重要な役割だと思います。

そんなことも考えながら新年度、また気持ち新たに仕事頑張ろうと思います。それでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?