数というものを考える

まず私は数学や算数や教育を専門に研究する学者ではない。IT業界に進むにあたり理系を専攻したが大学受験に必要な数学を学習したあたりで知識は停滞している。そんな私が今回は児童教育をテーマに記事を書いてみる。

さて本題、この記事を読んでいる皆さん、生まれて初めて数というものを理解したのは何歳くらいのことだっただろうか。いわゆる1,2,3,...とかイーチ、ニー、サーンと声に出しているあれのことである。

日本人のほとんどは、生まれて初めて理解した数は1だと思う。生まれた直後は0歳なのだから人生で最初に関わる数は0だろうという意見もあるかもしれないが、教育(家庭教育か学校教育)で学んで理解する最初の数は1だと思う。

ところがこの数というものは、生活で当たり前に使っているがよくよく考えると不思議なものなのである。

最近、こども向けの絵本で数をテーマにしたものを読む機会があった。下記の図は簡略化したものだが、おおよそ描かれていたのは以下のようなものだった。

絵本の表紙をめくると、まずは左側に大きく「1」と描かれて右側には「1」を示す絵があった。上図では緑色の丸にしたが絵本では動物が描かれていた。右側の絵がどうやら「1」というものを表すらしい。

絵本をめくると、今度は左側に大きく「2」と描かれて右側には「2」を示す絵があった。上手では黄色と赤のハートにしたが絵本では「1」を表す動物とは別の動物が描かれていた。右側の絵がどうやら「2」というものを表すらしい。

ではここで記事を読んでいる皆さんに質問。下図を示す数はなんだろうか。

補足すると、前述の「1」とは形と色が違い、「2」とは色や位置が違う。

では次に、下図を示す数はなんだろうか。

補足すると、前述の「1」や「2」とは形や色や位置が違う。

では解答を。記事を読んでいる皆さんが日常生活を問題なく送ることができているならば、青のハートは2つ、人間の顔らしきものが2つまたは「黄色の顔が1つと緑の顔が1つ」と答えるかと思う。

上記の解答通りであったならば、ではどのようにしてその解答を導き出したのか思考プロセスを振り返ってみてもらいたい。たとえば青のハートが2つだと答えたのならば、黄色と赤のハートが斜めに配置されているものが「2」なのに、青のハートが縦に配置されているものが「2」だと解釈できたのはなぜか。「2」だと解釈できたのであれば、ではあなたにとって「1」とはどのような定義なのか。

なぜこのような話題を出しているかというと、青いハートが2つある絵だから2でしょ、という「2つあるから2」という説明が、数というものを理解していない乳幼児に理解できるのか?という疑問を抱いたからである。そもそも1つとは何を指すのか、前述の絵本では緑色の丸が「1」なのに、青いハートでも「1」になるの?という疑問に乳幼児はぶつかるはずである。

この記事を読んでいる皆さん、乳幼児が納得するような説明ができるだろうか。そしてこの話題を真剣に考え始めると、日常生活で数が出てくるたびに頭がおかしくなって足し算引き算どころではなくなるのである。

同様の話題はコンピュータの世界でも起こりうることで、コンピュータに上述の画像を見せて「この画像が示す数はいくつ?」と質問して正しい数を答えさせるには、なかなか難しい仕掛けを施さなければならない。画像を解析して「1」が何を示すかを解釈し、「1」に該当するものが画像内に複数あれば「2」「3」...と個数を解釈することになるのだが、色や形が少しでも異なると個数の解釈が正常に行われないことがありうるのだ。

数というものは、生活で当たり前に使っているがよくよく考えると不思議なものなのである。

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