【活動紹介】「食を通じて、愛を届けたい。」~特定非営利活動法人ジャパンハーベスト~

 様々な社会のニーズ・課題に取り組むNPO法人や、コミュニティ活動に積極的に関わっている団体の活動をご紹介します。今回は、食品ロスの削減・有効活用に向けて、フードシェアリングなど、国内外で様々な活動を展開している「特定非営利活動法人ジャパンハーベスト」さんについてお届けします。お話は理事長の成田さんにお聴きしました。

「どのような団体ですか?」

 私たち「ジャパンハーベスト」は、倉庫を持たないフードバンク活動や、世界の食品ロス削減活動を日本国内で広めていくことを通じて、地域に「笑顔」と「栄養」をお届けする団体です。

団体メンバーと。風のように爽やかに活動しています。

「法人を立ち上げようと思ったきっかけは何ですか?」

 転機は2011年、ドイツに渡航し、買い物支援事業を営む会社で移動販売を学んだことにあります。ドイツでの移動販売を通じて出会った人々とのふれあいなど様々なきっかけから、帰国後、吉備中央町やその周辺で移動スーパーを開始しました。主に中山間地域を対象に巡回していましたが、農家一軒一軒を巡回する度、作りすぎて余った農産物をくださるので、いただいたお野菜や果物を移動スーパーに陳列し、必要としている方々に無料で提供することにしたのです。
 この経験から、「誰かにとって必要ない食品は、誰かにとって大切な食品になる」ということを強く実感し、「食品ロスの削減とその有効活用」を実践し、社会に貢献したいと思うようになりました。
 その後、食品ロス削減団体「フード・シェアリング・ジャパン」を設立。ドイツで行われている倉庫を持たないフードバンク活動を参考に、スーパーマーケット等に提供いただいた食品を必要としている福祉施設や団体に寄付する活動を「フードシェアリング」と名づけ、毎日の活動を開始しました。当初のメンバーは1人でしたが、午前6時前後に提携しているスーパーマーケットに食品の受け取りに行き、それを必要としている福祉施設や団体に寄付する日々が続きました。西日本豪雨の際には、甚大な被害を受けた倉敷市内の仮設住宅団地で、無料スーパーを実施し、4トンを超える食品を被災者の方々へ寄付しました。
 コロナ禍により、仕事や日常生活とフードバンク活動が両立できる「フードシェアリング」は賛同者が増え、その活動範囲は広がっていきました。活動を進める中で、「日本には人口1億2千万人で、フードバンク団体は約150団体。一方、英国は人口6,000万人に対して、フードバンクは2,000。ドイツは8,000万人に対して、フードバンクは3,000。なぜ、日本は他の先進国と比較しても、フードバンクの数が少ないのか。その原因を知るためにも、世界に出て学ぶしかない。世界には様々な市民活動があり、それらを学ぶことで持続可能な活動を展開できるのではないか!」と思い、2020年1月から2月にかけて、英国・ドイツ・デンマーク・オーストラリアの食品ロス削減団体11カ所を訪問して回りました。そのうちの一つであるOzHarvest(オーストラリア)と、食品ロス削減を通じた社会貢献活動を柱とした事業協定書を締結し、その実現に向けて、2021年4月に法人化することとしました。

お客様と笑顔溢れるひとときです。

「現在、どのような活動をしていますか?」

 私たちは365日毎日活動をしています。フードバンク提携しているスーパーマーケット等から、まだ食べられるけれど廃棄予定であった販売不可食品を引き取り、それを必要としている方々に無料でお届けする活動をしています。現在までに、約16万食を、児童養護施設・DV(ドメスティック・バイオレンス)シェルター・生活困窮者支援団体・障がい者自立支援団体・ホームレス支援団体・子ども食堂・社会福祉協議会・地方公共団体の子育て担当課・放課後児童クラブなど、岡山県内外77団体に届けてきました。また、岡山県内では、食品による支援が必要な約60世帯以上にも、定期的に食品を寄付しています。昨年は1年間で約23,000人(1日当たり約63人)に食品をお渡ししました。

ご提供いただいた食品は、責任を持って各団体へお届けしています。

 また、世界の食品ロス削減とその有効活用の取り組みの広報を行い、そのノウハウを提供することで、日本各地に食品ロス削減とその有効活用を根付かせていく活動も行なっています。2020年に英国の公共冷蔵庫(コミュニティフリッジ)総括団体を訪問し、ノウハウの提供を受け、北長瀬コミュニティフリッジの実現に寄与しました。また、英国プロサッカー・プレミアリーグのリバプールFC公認団体OLSCと協働して、日本国内のリバプールFCサポーターが集めた食品を福祉団体や個人世帯に寄付しました。この活動に対して、英国リバプールFC財団主催の社会貢献活動大会にて、「決して一人じゃない。共に歩もう」をモットーに、支えあいの活動を評価するためのYNWA賞を受賞することができました。
 このように、私たちは食品ロス削減活動の広報とノウハウ提供により、世界の先進的な活動を日本で実現することを目指しています。

〈※公共冷蔵庫とは〉
街の中に設置された冷蔵庫のこと。仕事の事情や生活に困難を抱える人に、食料品や日用品を無償提供する仕組み。

毎日食品を提供してくださる株式会社ハローズ様と。食の受け取りは心のふれあいです。

「コロナ禍での苦労や発見などはありますか?」

 コロナ禍で、皆で集まって食事をすることが困難になった子ども食堂の代表者や、イベントなどで農産物の販売を行う機会が減少した農家、仕事量の減少により収入が減少した際に食糧支援を受けた方など、私たちの活動に賛同する方々が増えていきました。それにより、フードバンク提携先等を拡充することで、支援の輪を広げていくことができました。
 それぞれがコロナ禍による「ピンチ」を、社会貢献への「チャンス」と捉え、「フードシェアリング」という新しい社会活動に足を踏み入れています。私たちにとっては、コロナ禍は社会貢献へ心を広げる「大きなチャンス」となりました。

「今後の抱負はなんですか?」

 今後は、「フードシェアリング」の普及と共に、公共冷蔵庫(コミュニティフリッジやコミュニティパントリー)の広報や啓発の活動も積極的に行なってまいります。
 一昨年は東京都の大学生を中心にした団体「フード・シェアリング・トーキョー」を結成し、コロナ禍の大学生へ食糧支援を行いました。本年3月には、倉敷市の民間企業と連携して「コミュニティパントリー倉敷」を設置し、地域の要支援世帯40世帯に定期的に食糧支援を行う拠点を作りました。4月には、兵庫県の子ども食堂代表者を中心とした「フード・シェアリング・兵庫」が活動を開始し、兵庫県内で要生活支援世帯を支えています。他にも、全国から「フードシェアリング」についての問い合わせが来ていますので、国内の様々な地域で活動が実現していくよう、引き続き普及に努めます。
 2020年に岡山市にてコミュニティフリッジが開始されて以来、冷蔵庫を中心とした食糧支援の活動は、株式会社ハローズ様との連携を通じて、コミュニティパントリーという名称のモデルも成立し、広島県、愛媛県、香川県、兵庫県など、1府9県(全国21カ所)に広がっています。今後も、既存の活動の社会的有用性を行政等に伝え、市民への広報にも努めます。
 私たちはそのノウハウを社会に広め、食品ロス削減の活動に関わる団体や個人を増やすことを大切にしています。そのためにも、今後も世界の取組を日本に取り入れながら、国中に「笑顔」が溢れる活動を展開してまいります。

公共冷蔵庫の普及活動にも力を入れています!

「自由にアピールをどうぞ!」

 私たちは食品を寄付してくださる企業様とフードバンク契約書を交わし、責任の所在を明確にした上で、食品の引き取りを行なっています。食品がどのように活用されたのかを企業様に報告することで、企業様との信頼関係の構築にも努めています。倉庫を持たないフードバンク活動「フードシェアリング」は、倉庫を準備する必要がないので個々の活動であると感じがちですが、信頼関係の構築とその責任の所在を大切にしているので、食品を寄付してくださる事業者様も増えています。
 私たちの活動にご興味を持ってくださった食品取扱事業者の皆様、お気軽にお問合せくださいませ。また、私たちと一緒に活動をしてみたい個人や団体の皆様も、お気軽にお問合せくださいませ。皆で社会貢献の輪を広げていけたら、と強く願っております。

特定非営利活動法人ジャパンハーベスト
岡山県加賀郡吉備中央町上野2440番地52
電話:0866-56-7187・080-5755-1995
メール:nariken77@hotmail.com
Homepage:www.japanharvest.or.jp
    2022年12月16日現在、OzHarvest(オーストラリア団体)と構築中
FACEBOOK:ジャパンハーベスト JapanHarvest
      https://m.facebook.com/JapanHarvest2022/


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