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エピソード39 見上入道

39 見上入道

見上入道(みあげにゅうどう)とは、佐渡島に伝わる
妖怪。
夜中に細い坂道を登って行くと、小坊主のような姿で
前方に現れ、こちらが見上げると背が高くなり、見て
いる人は後ろに倒れてしまうという。
「見上入道、見越した」と唱え、前に打ち伏すと消え
るといわれている。

佐渡郡羽茂町では、辻堂坂という場所に現れる見上入
道が旅行者から食べ物や金を奪うともいわれた。
両津市歌見では木々が茂って昼でも暗い場所があり、
そこにある見上げ岩という大岩がこの入道に化けたと
いう。
あるときに旅の行者がこれに遭い
「見上入道、見越した」と唱えて杖を叩き付けたとこ
ろ、入道は消え去った。
その後、岩の上に地蔵を祀ったところ、入道が現れる
ことはなくなったという。


39 見上入道 オリジナルストーリー

すっかり日も沈み暗くなった山道を呉服屋の小僧さん
が急ぎ足で歩いていた。

小僧:
いや~すっかり遅くなってしまった~番頭さんに町は
ずれのお得意先の庄屋さんの家に、出来た着物を届け
て代金をいただいてこいと言われたのだけど庄屋さん
年のせいか話が長い、しかも同じ話を何度も何度もメ
ドレーしてくるそれだけならまだしも
「去年はうちの柿が豊作でな、この干し柿食べてけ」
とお茶うけに沢山出される気を悪くしてはいけないと
頑張って食べると
「そんなに好きならまだまだあるぞ」と出そうとする
「すいません、本当は干し柿とくいじゃないんです」
と言うと
「そうかスマン、早く言ってくれよ前も言ったけど
私も察しはいい方なんだから、じゃ婆さんが作った
柿のミルフィーユでどうだ」
とニコニコ出してくる
「え~かなり凝ってますね~ありがとうございます」
て食べたけど、そもそもぼくは軽い柿アレルギーなん
だよ~
そんなこんなで遅くなってしまった、急いで帰ろう。

小僧さんがあぜ道をしばらく歩いていくと後ろから何
かがついてくる、怖がりな小僧さん勇気を振り絞って
振り返ると...小犬

小僧さんお土産にともらった魚の干物を一ッ匹ポーン
と投げると小犬は消えていった。
「ぼく犬も苦手なんだよ~」

小僧さん町への坂道を登っていくと前にお坊さんのよ
うな人が立っていた。
ちょっと気味が悪いと思いつつ早く横を通り抜けよう
と少し小走りに近づくと、
なぜかそのお坊さん背が高くなっていく、
最初見た時は小僧さんと変わらないくらいだと思った
のに今は2倍いや、それ以上になっている!
さらに小僧さんが近づけばその背丈はさらに3倍、
4倍と伸びていく!
出ていた月も隠さんばかりの背の高さになっている!

小僧:
わ~ こ、これは昔おじいさんが言っていた見上入道
かもしれない。
あれ、なんて言えば消えるんだっけかな。

「見上入道、のこった」違う「見上入道、実った」
違う「見上入道、み、み、ミルフィーユ」違う
ダ、ダメだ~   あわわ~

小僧さん見上入道を見ていて後ろにひっくり返ってし
まった。そして倒れた拍子に頭を打って気絶してしま
った。
見上入道はニヤニヤと笑っている。

するとそこにさっきの小犬が走ってやってきた。
小犬は見上入道の足元に吠えかかった。

見上入道:
わ!やめろ、やめろこの犬め! 
こら土台が動くなよ倒れちまうだろう! 
おいおい頭が暴れるなよ支えきれなくなるだろう! 

さらに小犬は見上入道を吠えたてた。

見上入道:
ああ、もうだめだオイラ犬苦手なんだよ~!

見上入道はバタンと後ろに倒れた。
見上入道が倒れたところには12匹のタヌキが転がっ
ていた。

さらに小犬はタヌキ達を吠えたてた。
それにびっくりしてタヌキ達は散り散りに逃げて行っ
た。
見上入道の正体はタヌキが肩車して化けていたものだ
った。

小犬は小僧さんをなめて起こした。

小僧:
ん、ん~...わ犬だ! あれ妖怪は? 
もしかしてお前が追っ払ってくれたのかい?
ありがとう。 ……お前一人ぼっちか?
一緒に来るかい? ぼくの用心棒になってくれよ。

小僧さんは小犬を連れて町に向かって帰っていった。
この犬、しっぺい太郎と名付けられ大きくなって
妖怪退治の名犬となるのは  また別の話。

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