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エピソード87 天井なめ

87天井なめ

天井嘗(てんじょうなめ)は、鳥山石燕の妖怪画集
「百器徒然袋」にある日本の妖怪である。

長い舌をつかってほこりの集った天井をなめる妖怪
であり、天井の板などに発生する「しみ」はこのな
めた跡であると解説されている。

天井以外にも柱や壁もなめるとも、天井なめによって
つけられたしみは、ときには化け物や恐ろしい表情の
人間の顔に見えるため、寝床でそれを見上げている人
は恐怖に駆られ、ついには発狂して死んだ者もいたと
述べられていることもある。

しかし中には、館林藩(現・群馬県館林市)の武士が
天井なめを捕まえ、館林城の天井のクモの巣や汚れを
なめとらせ大掃除をさせたという話が記されている。


87天井なめ オリジナルストーリー

ここは群馬の旧家、曾祖父の代からの大きな屋敷を受
け継いだ浩は、使いにくいからと30畳の大広間を畳
からフローリングにリフォームし満足していた。

浩:
親父に、この家は150年の歴史があるんだから大き
な改築工事はしちゃダメだって言われたけど、何とか
フローリングは説得して正解だな。満足、満足。

その晩、浩は自分の部屋ではなくこの大広間に布団を
敷き寝ることにした。

浩:
やっぱりピカピカの床の上で寝るのは気持ちいいな。
そうだ、この際だからルンバも買おう。
いいぞ、いいぞ、どんどんリフォームしてやれ!
ん、こうやって寝て天井見上げて気づいたけど、
よく見ると天井やたらとシミだらけで汚いな。
よし、まずこの天井をリフォームしよう。

そう言って浩は大広間の電気を消して寝ることにした
すると夜中に浩の頭の上、上の方からペチャペチャ何
かを舐めるような音が聞こえてきた。

浩:
ん、なんだ?何かいるのか?

浩が目を覚まし天井を見上げると、2mはある細ーい
体の獅子頭のような顔のモノが長~い舌で天井を
ペチャペチャなめていた。

浩:
だ、誰だお前!どこから入ったんだ!

化物:
ワシの名前は天井なめ、お前らが言う妖怪さ。
どこから入ったも何も、ワシはもう100年以上この
家に住んでるんだ。そしてこうして天井を舐めてきた

浩:
そうか、お前がこの天井をシミだらけにしていたのか
覚悟しろ、この天井全部取り替えて抗菌クロスにして
やるからな。

化物:
それはやめてくれ!わかったこの天井のシミ全部きれ
いに戻すから、抗菌クロスはやめてくれ。
あの舌ざわりは苦手なんじゃ。

浩:
わかった。
じゃあ一週間やろうその間にきれいにしろよ。

化物:
一週間?ワシはナメクジ並みに動くのが遅いんじゃ。
一週間ではとてもとても無理じゃ。

朝、浩は大広間で目を覚ました。

浩:
あれ、昨日の晩のは夢だったのか?

その日の晩、浩はルンバの1.5倍ほどの大きさの
ジェネリックロボット掃除機タンゴを買ってきた。

浩:
電気屋の説明ではこのロボット掃除機なら、よりパワ
フルに床を掃除してくれるって言ってた。
どれ、早速使ってみよう。

浩は箱からタンゴを出し、早速掃除させてみた。
タンゴはその名の通りパワフルな動きで掃除を始めた
そこに、その動きにつられて飼い猫のタマがタンゴに
飛び乗った。

浩:
ハハハ。噂には聞いていたが、本当に猫戦車だな。
こりゃ~面白い。
でもタマ楽しいからって飛び乗り過ぎて怪我したり壊
したりするなよ。

その晩も浩は布団を置きっぱなしにしていたので大広
間で寝た。
寝る前にうるさいからとタンゴは止めてたはずなのに
夜中に動き出していた。

浩が目を覚ますと確かにタンゴは動いていた、そして
その上にはタマではない何かが乗っていた。
乗っていたのは天井なめだった。

猫がタンゴに乗っているのを見て、早く動く方法を見
つけた天井なめは、タンゴに乗って舌の先に雑巾を付
け、天井を拭いていた。
天井板がどんどんきれいになってゆく。 

浩:
あいつけっこうやるな、天井はそのままにしてやるか

浩はニコリと笑って目をつぶった。
そこに激しい動きのタンゴが浩の体に乗り上げてきた
そして一緒に天井なめが浩の顔を舐め上げた。

浩:
さっきの取消!!

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