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エピソード81 ダキ

81ダキ

ダキは佐賀県の東唐津にある加唐島(かからしま)に
出現するといわれている妖怪。
この島に船をつける際は「碇を下ろすだけで船をつな
ぎとめる艫綱(ともづな)はつけてはならない」
と戒められており、その理由は次の様ないわれがある
為である。

ある時、漁師の親子の三人連れが海岸に上がって火を
焚いていると、何処からともなく現れた見知らぬ女が
「魚をくれ」といって近づいて来た。
女の様子にただならぬものを感じた父親は船にはない
魚を子供たちに取りに行かすと、
子供が「ない」といって戻って来た、
「そんなはずはない」といって自分も子供たちと一緒
に探す振りをして船に乗り込むが早いか、艫綱も碇綱
も切って沖に逃げ去ると、女は
「ええい、命を取り損ねた」と悔しがったという。


81ダキ オリジナルストーリー

佐賀の夕闇の迫る海岸。漁師の親子が今日も仕事を終
え港に帰ってきた。

父親:
おい、一平いつものように船の縄は桟橋に縛り付ける
なよ。

一平:
親父に聞こう聞こうと思っていたんだけど、なんで縛
り付けちゃダメなんだい?
船を波に持っていかれる心配無くなるのに。

親父:
俺の爺さんの頃からの言い伝えなんだ、こんな満月な
のに霧が出てよく前が見えない晩にはダキと言う化け
物が
...で、出る...って...。

一平と親父は船着き場の奥の方に目が釘付けになった
明らかにただならぬ雰囲気をまとった7尺はあろうか
と思われる髪の毛を斬バラにした女が近づいてくる。

親父:
一平!まずいぞ、爺さんが言ってた奴が現れたのかも
しれねえ!
一平、逃げる準備しろ!!

こう言い終わるのが早いかどうかのうちに、その髪を
振乱した大女は二人のすぐ目の前まで来ていた。

ダキ:
おい、お前たち。魚を取って来たのか?
だったらオレに魚をくれ!
デカい魚をくれ!早く持ってこい!

親父:
ま、待ってくれ。いまここにはねえんだ。
息子に取って来させるから。
一平、今日捕った大きな鯛を持ってこい。
ほら、さっさと行け!

親父は一平に目配せした。
一平の記憶では今日は鯛は一匹も捕れていないはずだ
これは合図なのだと。

一平:
お、親父。すまない今日捕れた鯛見当たらないんだ。
一緒に探してくれよ。

親父:
な、なんだと。見つからないのか、な、情けないな~
ど、どれ俺も探してやるよ、待ってろ。

ダキ:
お前たち、早くしろ、オレは腹がペコペコなんだ、
早く持って来ないと...代わりにお前たちを
...いやいや、早く持ってこい!

親父は一平の所に走って行き、ダキがまだ離れている
のを確認すると、二人は桟橋につながれていない船に
乗り込み、大慌てで船を漕ぎ出した。

それを見たダキは騙されたことに気づき、
まわりを見回すと同じ桟橋に古い船が縄でつながれて
いた。
ダキは船の縄を手で引きちぎり追いかけてきた。

ダキの乗った船は櫂が無かったが、さすが化け物両手
で海面をかいて二人を追いかけてきた。
ダキが乗る船はどんどん二人の船には追いついてきた

しかし、二人の乗る船まであとわずかとなった時、
ダキの乗る船は船底がミシミシっと音をたてると船板
が折れて水が入ってきた。

父親:
は~助かった。実はあの古い船は爺さんの頃からダキ
から逃げるため、沈むように細工してあるボロ船なん
だ。爺さんたちに感謝だ!

安心したのもつかの間、船が沈んでもダキは泳いで追
いかけてきた。
船にも負けないほどの速さである。
またダキに二人の船は追いつかれそうになった!

親父:
一平、こうなったら今日捕った魚を全部ダキに投げつ
けろ!魚より俺たちの命の方が大切だ!

慌てて二人は船の中の魚をダキに投げつけた、飛んで
きた魚を見てダキは目の色を変えた。
そして、ダキは投げた魚を捕まえると生のまま
ムシャムシャ食べ始めた。

二人は船中の全ての魚をダキの方に投げつけ、船の中
は空っぽになってしまった。
ダキはそのすべての魚を食べ終え、血に染まった口で
二人の方を見てニヤリと笑った。

その時だった!大きく波が立ち海面から何かが飛び出
した!
そしてソレは大きな口を開けてダキに噛みついた!
そしてそのまま海の中に沈んで行った。

親父:
今度こそ助かった。
ダキが食べた魚の血がこの近海の主の大ザメを呼んだ
んだ。
いや本当生きた心地しなかったな。ハハハハハ。

二人はやっと港に戻ってきた。
満月はもう真上まで上がっていた。
今度は船を桟橋に縄でくくりつけた。

??:おい、魚をくれよ。

闇の中かから大きな影が二人に声をかけてきた...

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