風は冷たく
突刺すような冷気を
振り払うようにペダルを漕ぐ

その店で何度か顔を合わす
寡黙なその人は
今日も伏し目がちだった

そしてその人はゆっくりと席を立ち
僕と軽く会釈を交わし店を後にした
今日も距離は縮まらなかった

他の人ともそんな感じだから
その人にとってはその距離が
居心地いいのだろう

後ろから女子高生が二人
僕と同じ方向に向かっていて
大声で喋っているのに
内容は全く分からない

みんな風に揺れているのだろう