見出し画像

そうだ、ヒッチハイク、しよう⑱ 北海道編 後編


うかつにも素直になれないさ

左翼の集会に単騎突撃してくる右翼カー

ヒッチハイク旅27日目。
昨晩はパウダールームで少々飲み過ぎたせいもあって、かなりの寝坊をかましてしまった。想定よりだいぶ遅れた昼前から移動開始。
今日は旭川に向かってヒッチハイクする予定だ。
駅に向かう道中で大通公園を通り抜けようとしたら、改憲反対を声高に叫ぶ左翼の集会の現場に遭遇。結構な人数が集まってるなあ、なんて呑気に眺めてたらその現場に今度は右翼の街宣車が突撃してきて、拡声器で左の人のスピーチしてた内容に対してイチャモンをつけ始めた。
一触即発のピリピリした雰囲気になり、こんな真昼間から大乱闘でもかますんだろうかとドキドキしながら見守っていたのだが、特に何事もなく左の人たちは集会を終えて解散して行った。
それを見て私も自分の目的を思い出し、移動再開。

今回は熊本を出発した時と同様にインターそばのコンビニでヒッチハイクにトライしてみるも、思ったほど車が通らない為に早めに見切りを付けてバスで移動。
向かったのは野幌PA。これは歩いて入れるパーキングエリアとなっているので、ここから高速に入って旭川まで行く車を拾う作戦である。

余談だが、この歩いて高速のPAやSAに入る為のゲートのことを西日本エリアではウェルカムゲートと呼ぶのだが、東日本エリアではウォークインゲートと呼び、中日本エリアではぷらっとパークと呼ぶ。高速を管理するネクスコのエリアによって呼び方が変わるのである。
これを知るまで、私はgoogleマップでウェルカムゲートを検索しても西日本にしか存在しないことがずっと疑問だった。
つまりヒッチハイク中は今自分がいる日本のエリアによって検索ワードを変えなければ、適切なヒッチハイクポイントを探すことが出来ないと言うことだ。

そんな話をしているうちに野幌PAに到着。喫煙所で一服しながらホワイトボードに旭川という文字を書いていたら、掃除をしに来た職員のおばちゃんが「旭川は結構遠いから、もっと近くの砂川とかにした方が拾ってもらい易いんじゃない」とアドバイスをくれた。
有難い助言に従ってホワイトボードの表記を旭川から砂川に変更したところ、10分ほどで青森から来ているというご夫婦に拾って貰えた。これが記念すべき10台目のヒッチハイク。
しかもご夫婦の目的地は旭川だということで、乗り継ぎをすることなく一気に移動。大型連休ということで青森から実家の旭川に帰る道中のこちらのご夫婦も、旭川で待つ家族との待ち合わせ場所であるイオンまで私を乗せてくれるという約束だったが、なんだかんだ旭川駅まで送ってくださった。

おかげで想定より早く旭川に到着。
買物公園と呼ばれる駅前のストリートをブラブラと散策しながら早めに快活へ入って仕事に備えたのだが、ここ旭川では見つけられずにこの日は終了。

旭川は北海道の真ん中あたり


nagisanite

女装子ですもの ずっと綺麗にしていたい

28日目。せっかく旭川まで来たのだから何か一つくらい観光せねばなるまい、と向かったのは旭山動物園。紛らわしいのだが、旭川にある旭山動物園だ。
という訳で朝からバスに乗り込んで動物園に向かうも、私は一つ重大なことを見落としていた。そう、今はゴールデンウィーク真っ只中。動物園には当然、休暇を少しでも充実したものにしようという人たちが大勢押し寄せてくる。

まさに地獄

お分かり頂けただろうか
これは動物園まで続く真っ直ぐな長い一本道で巻き起こっている、とんでもない渋滞である。
本来動物園の入り口付近まで行くバスに乗っているのだが、この渋滞を察知した何名かの賢い乗客たちは、まだ動物園から三つ四つ手前のバス停だというのにバスを降りてしまった。
まだ外の状況を知らない愚鈍な私たちは、ちょっと混んでるけどまあ大丈夫だろう、少しくらい到着が遅れても歩き疲れるよりはマシだ、と楽観視しながらバスに残る選択をしたのだが、これが大きな間違い。
そこから30分が経過してもまだ次の停留所にすら辿り着けない。しまった、さっきのバス停で降りておくんだった、と後悔しても遅い。
さらに15分が経過し、とうとう運転手すらも「これはもうここで降りた方がいいかもしれませんね…」とサジを投げ、停留所でもないのにバスのドアを開けて乗客を降ろし始める始末。
そして降りてみれば、この地獄のような光景である。並んでいる乗用車からは、親が子供を連れて車を降りてコンビニに歩いて行く姿がチラホラ。トイレや買い物を済ませて戻っても、車が全く進んでいないと言う状況。

道中でくまのぬいぐるみがやってる屋台を発見して少し癒される

強制的に降ろされたバスからまあまあの距離を歩いて辿り着いた動物園も案の定混んでいて、すっかり観て回る気力も失ってしまったので足早に駆け抜ける。
エゾタヌキは可愛かったし、この動物園の名物として有名なメロンパンも気にはなっていたのだが、パン屋に並ぶ長蛇の列を見て即諦めた。
わざわざここまで来たと言うのに、動物園での滞在は1時間にも満たなかった。それでも3時間分くらい疲れたのだ。

皆旭山にはコイツを観に来ているのだ

とにかく疲れた。もうここから最北端を目指す気力なんて微塵も残っていない。
今日の朝の段階では、動物園を観た後は科学館にも行ってみようかな、なんて考えたりもしていたのだが、この動物園の有様を見た後ではとても行きたいという気持ちにはなれず、今日中に旭川を発つ決意をして移動開始。


ゴキゲンイカガ

向かったのはJR旭川駅から程近い「道の駅 あさひかわ」。
近くにウォークインゲートのあるSAは無かったのでこの旅で初めての道の駅でのヒッチハイクを敢行。道の駅といえば、まあ私のような引きこもりにはこれまで縁のない場所ではあったが、土地の名産品やお土産を購入できる場所であるというその程度の知識はあったのでここで待てばお土産を買って札幌に向かうか札幌に帰る車がきっと見つかるだろうという算段だ。

道の駅の駐車場で札幌と書かれたホワイトボードを掲げ始めて40分が経過したところで、ようやく若い男女の二人組に声を掛けられ乗せてもらうことに。
まだカップルなのかもうご夫婦なのかは窺い知れなかったが、そんな無粋な事は聞かないし、乗せてもらう事には関係ないのだからこちらからは踏み込まない。
なんでも私が行ってみたかった最北端の稚内に行ってきた帰りだというこちらのお二人は、これから高速に乗って千歳まで帰るところなので途中の砂川SAまで乗せて貰うことに。
札幌から旭川まで乗せて貰ったご夫婦とは対照的に、こちらは女性の方が喋るタイプで道中は方言の話などで盛り上がる。

北海道はやはりヒッチハイク向きの土地である。
まず北海道が車社会なので道民は大体車を持っている。不思議なもんで人間は旅に出るとなると北か南を目指したがるので、ヒッチハイクで北を目指す人間は大体北海道に行きたがる。てな訳で北海道でヒッチハイクをしている人間は他県に比べれば比較的多く、道民はヒッチハイカーに接する機会も割と多い、という訳だ。
でも今の時期だけだよ、冬の北海道でヒッチハイクなんかしてたら、乗せて貰うどころか北海道舐めんな!って怒られるよ、と言って女性は笑っていた。確かに。

砂川SAでお二人に別れを告げ、名物のあんバターパンを食べながら次なる車を探す。道の駅でのヒッチハイクにはちょっと時間がかかったが、高速のSAならすぐ見つかるだろうと思っていたら案外苦戦。
大型連休のこの時期に移動している車は家族連れが多く、夫婦二人ならまだしも小さい子供を連れている車なんかは、まあ乗せてくれないだろうなというのが想像つく。

30分ほど経過したところで、乗って行っていいよと声を掛けてくれたのは社用車で実家への帰省を済ませてこれから札幌に戻るところだったというおじさん。
内気な感じで、疲れてるからあんまり喋れないかもだけどそれでもいいなら、と最初に断りを入れてきたので、こちらも少し気を遣って喋り過ぎないようにしようかと考えていたのだが、いざ出発すればなんだかんだよく話してくれた。
クロス貼りという仕事を40年近く続け、出会った奥さんとずっと添い遂げ、若い頃に好きだったハードロックを今でも聴き続けているという、とにかく継続継続のおじさんで飽きっぽい私とは対照的ですごいなあと彼の話を感心しながら聴き続けた。

おじさんの家は札幌中心部からは少し離れているので、高速を降りるところまで乗せてあげる、という話だったのだがおじさんも音楽の話ができて嬉しかったから、と結局すすきのまで送ってくれた。
車を降りておじさんにお礼を言っていると、最後に写真を撮りたいと言われた。
ヒッチハイクする側がそれをブログやSNSに投稿する為に写真を撮りませんか、と提案するのはなんとなく分かるのだが、乗せた側が提案するのも珍しいなと面食らいつつも、奥さんに自慢したいからという可愛らしいおじさんの動機に写真を快諾。「札幌」と書かれたホワイトボードを抱えて満面の笑みの私を撮影すると、おじさんは満足気に去って行った。ツーショットでもないんかい。

そんなこんなで日が暮れ始めた札幌に戻って来た私は、翌日の出発に備えて早めに快活に入る。北海道最後の晩餐はセイコマのカツ丼
明日は北海道最後の念願である青函トンネルを通って本州へ戻るのである。
次回、青森再訪編。



今回の移動まとめと各県雑感

  • 札幌-野幌PA バス

  • 野幌PA-旭川 ヒッチハイク(10台目)

  • 旭川-砂川SA ヒッチハイク(11台目)

  • 砂川SA-札幌 ヒッチハイク(12台目)

北海道 (県庁所在地 札幌市)
ついにここまで来た北海道。食の王様、地元の百貨店が北海道物産展を開催しまくるのも納得のクオリティ。何食べても美味しいし、新しい食を生み出して発信する地域でもある。素直に住みたいと思ったけど、在住者に言わせれば住むより遊びに来る方がいい、とのこと。
堪能した名物 ラッキーピエロ、セイコーマート、五稜郭、神威岬、ラムしゃぶ、サッポロクラシック、時計台、北海道神宮、円山動物園、スープカレー、締めパフェ、旭山動物園、あんバターパン

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?