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そうだ、ヒッチハイク、しよう㉓ 宮城編


Hyper Music

ちょっと熊本が懐かしくなるようなアーケード街

仕事中にも関わらず矢巾から乗せてくれたナイスガイなサラリーマンと別れ、このま仙台へ向かうべく前沢SAでのヒッチハイクを開始した夕方由美子。
今回は運良く10分ほどで、またもスーツ姿の男女二人組に拾って貰えた。もしかして意外と仕事中でもみんな乗せてくれるんだろうか?

それはともかく、これからお世話になるのは出先で一仕事終えて仙台に帰るところだというおふたり。親子かと思うくらい年齢が離れているが、どうやら普通にただの上司と部下のようだ。
こちらのふたりも地元愛が強く、仙台の観光スポットや食べ物の話をしているうちにあっという間に仙台に到着してしまった。
毎度毎度新しい県に来る度に観光地をネットで調べていたけど、こんな風にヒッチハイク中に地元の人に聞く方が情報が確かだし、何より楽しい。

矢巾では少し手こずったものの、前沢からの移動は思いの外スムーズに行けたので、日の暮れる前に到着する事が出来た。このまま快活に直行するのは少し勿体ない気がしたので、仙台駅で降ろしてくださった二人にお礼を言って、早速歩いて東照宮へ向かう。

仙台東照宮まで続く真っ直ぐで大きな道をのんびり歩きながら実家に一度電話を入れる。盛岡の家族があたたか過ぎたせいか、若干ホームシックになっていたのかもしれない。でも実家と盛岡、どちらに帰りたいかと言われたら、知らない女性が住み始めたらしい実家よりも盛岡の家だと答えるだろう。

春と言えども東北はやはり肌寒いので、マフラーをしてあげたくなる気持ちも分かる
こう言う場所はやはり雰囲気が大事

そして到着した仙台東照宮。
訪れた当初は、東照宮と言えばまあ徳川家康を祀ってるんだなくらいの知識しかない私だったが、この旅の中で数々の歴史漫画を読み漁ったおかげで、今となってはここ仙台を統べていた伊達政宗の子である忠宗が家康を祀る東照宮を作ったという事の味わい深さがなんとなく分かるようになった。

さて、お腹も空いて来た頃だし、次なる目的は晩御飯。
仙台と言えばやはり伊達政宗と牛タン!
と言う訳で私を仙台まで乗せてくれたおふたりからオススメだと教えてもらった、牛タン発祥のお店だという太助へ。

定食は牛タンの枚数だけ指定すると言うシンプルさ

タンは勿論、テールスープも美味しい!
この仙台牛タンの産みの親が太助の初代店主、故・佐野啓四郎氏であると言うことは疑いようの無い事実であるのだが、その後継者を巡っては御家騒動があったりと結構複雑らしい。
まあそんなことがどうでも良くなるくらい美味しかったので問題無し。
仙台飯を十分に堪能したところで、夜のお仕事を探し始める。

岩手では仕事をしなかったので(マンションにお世話になってたので当然)、秋田以来の四日ぶりの仕事となる。
して今回のお相手がとても優しい人だったので、私がヒッチハイクで旅をしていると言う話を聞いてラブホを宿泊で取ってくれた。さらに幸運なことにこのホテル、なんとチェックイン時間から最大で24時間まで滞在できる
通常のホテルは何時にチェックインしようとも、チェックアウトする時間は大体朝の10時や11時くらいに決まっているものだが、このホテルはつまり翌日の夜まで部屋が使えるのだ。
これの何が良いかと言うと、明日の夜までこの部屋に大きな荷物を置いたまま観光に出かけることが出来る点である。明日は仙台から少し足を伸ばして松島を見に行こうと思っていたので、私にとってめちゃくちゃ都合が良い。
ああ、こう言うシステムのホテルがもっと増えれば良いのに

当然外出も出来る


Supermassive Black Hole 

ヒッチハイク生活37日目。
今日は松島観光に行く為に朝から仙台駅へ。と、その前に駅ビルに少し寄り道。
昨日の男性から教えて貰った、仙台でしか食べられない名物を買う為だ。

定番のあんこがやはり一番美味しい

それがこちら、「さいちのおはぎ」である。
これの何が特別なのかと言うと、実はこれ、仙台でも田舎の温泉街である秋保町にある地元スーパー、「主婦の店 さいち」でしか手に入らないにも関わらず、その人気ぶりから一日に2万個を売り上げた事もある伝説のおはぎなのである。
その消費期限の短さから通販は不可能で、仙台を訪れた者しか手に入れる事の出来ないこれはまさに真の地元の名物。このおはぎにありつくには、実際にさいちを訪れるか、仙台駅で数量限定で販売される物を買うしか無いのだ。

流石伝説のおはぎだけあって、朝一から売り場には長蛇の列。時間に余裕を持って駅へ来たにも関わらず、本当に買えるのか不安になるくらいの人だかりだ。
ドキドキしながら列に並ぶ事数十分。なんとか無事におはぎを手に入れることが出来た。
駅じゃ朝しか買えないだろうから今買ったけれど、移動の電車の中で食べるのも憚られたので、実は松島観光の間ずっと持ち歩いていてホテルに戻ってからようやく食べることが出来た。
味は、うーーん、確かに美味しいけれど、そこまでか?
調べてみれば、さいちのおはぎを評価する声はどれも、「甘さ控えめで美味しい」「甘さと塩気のバランス」と言った感じ。
ちゃうねん。私が求めているのはゲロ甘
甘過ぎなくて美味しいなどと言うのは甘味を罪なこととしか認識できない凡人の寝言に過ぎない。食べ物は甘ければ甘いだけ美味しいし、そこにリミッターなど存在しない。すべきでない。甘いイコール美味いなのだ!

それはそうと松島へ到着。
これにて日本三景のうち、宮島と松島とを制覇したことになる。残すは京都にある天橋立のみ。ここまで来たら是非コンプリートを目指さなければ。

先ずはチケットを購入して遊覧船に乗る。
ぼーっとしていたら乗船後の席取り合戦に負けてしまい、景色の見にくい真ん中の席に座る羽目に。
伊達政宗の愛した松島の景色、そんな風な紹介を聞きながら道中の色んな島を眺めつつぐるりと一周。
うーん、まあこんなもんかという感想。

船を降りてからは徒歩でゆっくり散策。
何でも松島は橋を渡ることでご利益のあるパワースポットなんだとか。
雄島へと続くこちらの渡月橋は、かつて僧たちがこの橋を渡って俗世を断ち切ったことから、悪縁を断ち切る効果があるとされている。

カップルばかり

入り口の売店で入場料200円を払って渡るのは、福浦島へと続く福浦橋。
こちらは良い出会いに恵まれる「出会い橋」と呼ばれているらしく、悪縁を断ち切った後は良縁を願ってスタスタと渡るのだが、周囲にカップルが異常に多いのは多分気のせいではない。

帰り際の駅からの景色 さようなら松島

そんなこんなで松島観光が終了。荷物を預けることが出来ていたから島々を歩き回ることが出来たけれど、もしリュックを抱えたまま来ていたら、多分フェリーだけ乗って帰っただろうな、と思った。

電車で仙台駅まで戻り、日の暮れる前に荷物を置いてあるホテルに戻った。時間ギリギリに戻ってバタバタしたくなかったし、結構な時間歩き回ったのでお風呂に入ってゆっくり休む。
少しでも快活に入る時間を節約したくて、結局チェックアウト時間の23時ギリギリまで粘ってからホテルを出て夜の街を歩いていたら、繁華街で信号待ちをしている間に若い男の子に話しかけられた。
お姉さん何してるの?
左からぬっと現れて距離を詰めて来たので思わず右にずれようとしたら、どうやら右からも仲間と思しき若者が登場して脇を固めてくる。
しまった、挟み撃ちだ
しかし何と返答するのが正解か分からず、困ったような笑顔で誤魔化していたところ、どうやら若者の方も異変に気付いたらしい。
「お姉、、、お姉さん男なの!?
「男ですぅ」
「ええ〜??女かと思ったッスよぉ〜」
若者の片方はすっかりシラけてしまって、私が男だと分かるや否やすぐに立ち去って行ったのだが、取り残されたもう片方の若者はこの女みたいな変な男に少し興味が湧いたらしく色々話しかけて来たので、私がヒッチハイクで日本を回っていること、その為に長い髪をしているのだと言うことを簡単に教えてあげた。
「何すかそれ!!めっちゃおもろいッスね!!絶対TikTokとかでやった方がいいッスよ!」
これがYoutubeでなくTikTokなのが実に若者らしい。
「仙台は如何ッスか?女がブスばっかでしょ。仙台は日本一のブスの産地なんすよ」
「九州から来てるんスか?すげぇ。自分九州行ったことないッス」
「この先も頑張ってくださいね!応援してるッス!!」
やたら高いテンションで好き勝手喋り、最後に固い握手をして爽やかに去って行ったので好感は持ったのだが、私が本当に女だったら今頃どうなってたんだと言う疑問は残る仙台の夜だった。


Stockholm Syndrome

ヒッチハイク生活38日目。
朝から早めに快活を出て、伊達政宗の眠る瑞鳳殿まで歩く。空気も景色も良くて気持ちがいい。昨日と違って背中に重みはあるものの、一時間ほどの道のりをルンルンで歩いた。

足を踏み入れると確かに空気が一変する

目的地に到着し、これが瑞鳳殿へ到る道なのだが、想像してたより険しい。
そして坂道になると急に背中の荷物が重く感じる。
うっ、、、どこかに荷物を置いてくるべきだったか
しかし今更過ぎるので、覚悟を決めて坂道を登り始める。まだ五月の朝。ひんやりした空気の中で、ゼエゼエと滝のような汗を流しながら瑞鳳殿を目指す。

伊達政宗が眠る瑞鳳殿
伊達忠宗が眠る感仙殿

重い荷物と共に頑張って歩いて辿り着いた瑞鳳殿はやはり感慨深い。豪華絢爛、その一言に尽きる見事な造りは、荷物背負ってでも来た甲斐があったなあと溜息。
瑞鳳殿境内をぐるりと回りきって、元々の予定ではこの後は仙台城跡に行って政宗の銅像を拝んで来るつもりだったのだが、心とは裏腹に足は悲鳴を上げており、それでは、と向かったバス停にはその瑞鳳殿と仙台城跡を結ぶ観光バスを待つ人たちの長蛇の列が出来ているのを見て、諦めることにした。

ずんだじゃなくて、づんだ

仙台城跡をスキップして向かったのはづんだ餅の名店、村上屋
仙台と言えばやはりコレ。このお店はさいちのおはぎを教えてくれた彼がまた同様にお勧めしてくれた店で、人気店だけあってこちらも結構な列が既に出来ている。
政宗の銅像を見る為に並ぶのは我慢できない私でも、甘いモノの為に列に並ぶことは吝かでない私だから、迷わず列に加わる。
店内で食べる為の列と、持ち帰り用の列がそれぞれ出来ており、当然持ち帰りの方が早く列が進むのでそちらに並んで購入。お腹も空いてもう我慢できそうになかったので近くの公園で食べることに。

これが村上屋のづんだ餅。美味い!!!初めて食べたがもう虜。さいちも牛タンも凌駕して仙台で食べたモノの中で一等美味しい。

一組のお父さんと子供が遊んでるだけの寂しい公園でづんだに舌鼓を打っていたらお仕事のメールが舞い込んで来たので時間や待ち合わせ場所を決めてしばらく公園で時間を潰していたのだが、結局キャンセル。
そんな冷やかしを受けて仙台への気持ちもちょっと冷めてきた。そろそろ潮時かな。次の街へ移ろう。

と言うわけで次なる目的地、山形へ向かう為のルートを検索。さて、どこでヒッチハイクするのが良いだろうか。
ところが検索している内にとんでもないことに気付く。
え?仙台から山形までバスで千円で行けるの?
待ちぼうけを食らったせいもあって時刻はもう夕方だった。
・・・・。

気が付けば私は山形へ向かうバスへと乗り込んでいた。
だって千円で行けちゃうんだもん。
今からヒッチハイクする場所を探して、向かって、拾ってもらう労力を考えたら、千円出して山形に100パーセント到着出来る方がいい。
旅の根幹を揺るがしかねない決断だったが、私が思うのはこうだ。
千円ならセーフ!!!交通費千円までならセーフ!!!
こうして夕暮の高速の闇に溶けてゆくバスの中で私は仙台に別れを告げた。



今回の移動まとめと各県雑感

  • 前沢SA-仙台 ヒッチハイク(16台目)

  • 仙台-山形 高速バス

宮城県(県庁所在地 仙台市)
言わずと知れた東北の大都市。せっかく宮城に来たなら、仙台もいいけど海沿いの方も行ってみて欲しいね、美味しいものとか全然違うから。そう教えてくれたヒッチハイクの二人の言葉を思い出す。次に東北に行く時は絶対寄りたい。
ブスの名産地だと若者が言っていたけど、松島からの帰りの電車で見かけた女子高生3人組のうちの一人が橋本環奈と見紛うほどの美人だった。あれは間違いなく仙台のハシカン。だから仙台にブスのイメージは全然ないです。
ずんだ餅は最強なのだ。
堪能した名物 牛タン、仙台東照宮、松島、さいちのおはぎ、瑞鳳殿、ずんだ餅



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