見出し画像

現役カメラ御年85才

ツァイスの蛇腹カメラ

 このカメラは、ドイツのカメラ・レンズの名門メーカー「ツァイス」が作った、フォールディング(折畳み)カメラ(蛇腹カメラ)「ZEISS IKON Super Ikonta 532/16(ツァイス イコン スーパーイコンタ)」です。
 わたしが持っているこの個体は、レンズの製造番号から調べたら、1938年製のようです。今から85年前ですねぇ、昭和で言うと13年。ヨーロッパでは、ヒトラー率いるナチスドイツが、アジアでは大日本帝国が領土拡大の動きを強めていいるさなか。まさに第二次世界大戦前夜の時期ですねぇ
 このカメラは、日本陸軍が戦場の様子を撮影するのに使用していたという話を聞いたこともあります。
 そんな激動の世紀を乗り越えてきたこのカメラを平和な時代に使えることに感謝です。

ZEISS IKON Super Ikonta 532/16 Tessar 8cm f2,8

 このカメラのレンズはクラッシックカメラ界隈では有名な「テッサー Tessar 8cm f2,8」です。シャープな写りに定評があります。当然モノクロフィルムの使用を前提にレンズ設計がされていますし、レンズに今のようなコーティングなどもない時代です。しかし、蛇腹がその構造上カメラ内部の乱反射を抑える効果があるので、カラー撮影でもとてもきれいに写ります。
 このカメラはいわゆる「中判カメラ」というモノです。フィルムは120サイズのブローニーフィルムを使用し、撮影フォーマットは6cm×6cmで真四角写真がフィルム1本で12枚の写真が撮れます。
 ピント合わせは、構図決定用のファインダーの真ん中に見える、丸い二重像を合わせてピント合わせを行う、ドレーカイル式連動距離計が装備されています。当時のライカは、構図用のファインダーとピント合わせ用の測距窓が別々でしたので、スーパーイコンタのこの機構はかなり先進的だったと思います。
 このカメラは、先の書いたようにフォールディング(折畳み)カメラです。前に飛び出したレンズを蛇腹と一緒にボディーに畳んで仕舞う事が出来ます。すると、中判カメラとしてはかなりコンパクトに収納することが出来ます。旅や登山などに持ち出すには、とても便利なカメラです。

畳むとこんな感じになります

 この時代の多くのカメラがそうであるように、フィルムを入れてからシャッターを切るまでに、多くの手順があります。その一つ一つを味わい、楽しむのも楽しいのです。何でもスピードや効率が優先される現代では、贅沢なことなのかもしれません。

【手順】
 フィルムの装填→フィルムの巻き上げ→カメラ背面の赤窓でフィルム裏紙(遮光紙)に印刷されている「1」(枚目)のマークを確認→フィルムカウンターも「1」に合わせる→露出の計測→絞りを設定→シャッタースピードを設定→サッターチャージ→ピント合わせ→撮影

 そして、その一つ一つの手順を経て、身体体験として撮影を経験してシャッターを切った「刻」をフィルムに物質的に記録することで、「記憶」にもその思い出の「刻」が遺ると考えています。
 このカメラをわたしが買ったのは確か2010年頃でした。すでに70年以上の「刻」を越えてきたこのカメラは、一体どれほどの思い出を記録してきたのでしょうか?

カメラ背面 高級品らしい重厚感があります。
裏蓋の左、銀色の丸い部分が赤窓です。
カメラ上部と蛇腹部分

作例

池を見つめるゆうさん
メニュー
タイマグラキャンプ場から早秋の早池峰山を望む
マルカン大食堂
大沢温泉
夜の廊下
朝の廊下

 ちょっと青っぽく写るのは、フィルムのせいなのか?レンズのせいなのか?


120サイズのブローニーフィルムって、こんなヤツです。

↓優しい描写でポートレートなどにぴったりなフィルムです。

↓ビシッとクリアでしっかりとコントラストや彩度の高い写りの高性能カラーネガフィルム

↓モノクロフィルムです。

↓ナチュラルで高精細な写りのフィルムです。

↓決して褒められたフィルムではないです。画は粗いし、条件によってはフィルムの遮光紙の数字が映り込むし、、、。でも、粗い粒状感や高いコントラストがフィルムらしさを強調してくれます。


サポートありがとうございます❣️フィルムやカメラ購入に使わせていただきます。 新たなレビューや紹介記事にご期待ください。