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最近の記事

自由エネルギー原理と変分オートエンコーダ(VAE)の親和性について

以前あげた記事の続きになります。 例えば、窓ガラスが割れた原因がなんなのか考えるとします。これはベイズの定理に沿って考えると、事後分布となります。しかし、分母の周辺確率分布を考慮すると、人はもっと効率的(もしくはヒューリスティックに)考えているのではないでしょうか。 手法としてはマルコフ連鎖モンテカルロ法や、変分ベイズ法などがあります。 ここまでが前回の流れでした。ここで一旦、自由エネルギー原理について考えていきます。 下にわかりやすく書かれた記事があります。そちらを参

    • 人間の偏った選択行動をモデル化する量子的認知アプローチ

      文献「A quantum-like cognitive approach to modeling human biased selection behavior」では、人間の意思決定過程に大きな影響を及ぼす認知バイアスについて研究されています。この研究は、従来の意思決定モデルの限界を越え、量子システムを模倣することで人間のバイアス選択行動をモデル化する新しいアプローチを提案しています 研究では、従来のベイジアンネットワークと量子確率を融合させた新しいモデル、Biased E

      • 認識論のあれこれ

        以下について https://www.researchgate.net/publication/252446763_Why_Epistemology_Can't_be_Operationalized はじめに 認識論、すなわち知識の理論は、何が真実か、または私たちがどのようにして真実を知るかについての研究です。しかし、「認識論が操作化できない理由」というタイトルのティモシー・ウィリアムソンの論文は、この深遠な領域を操作的、つまり実用的な規則や手順に変換することの困難さを説

        • 心理の発展と認知科学

          はじめに 心理学と認知科学は、人間の心と行動の理解を深めるために多くの進歩を遂げてきました。発達心理学は、人間が生涯にわたってどのように成長し、学習し、適応していくかを探求する分野であり、認知科学は、知覚、記憶、言語、推論などの心的プロセスを研究します。これら二つの分野は歴史的には別々の道を歩んできましたが、それぞれがもたらす洞察は互いに深く関連しています。 歴史的背景 発達心理学の起源は、19世紀末に遡ります。初期の研究者たちは、子供の心理的発達を記述しようとしました

        自由エネルギー原理と変分オートエンコーダ(VAE)の親和性について

          佐々木正人『アフォーダンス』が意味分からん件について

          💩 『こんにちは〜。生粋の唯物論者で自然主義者の脱糞丸です。環境心理学をかじった程度の人間が語ります。』 プロローグまずはプロローグです。 ここではアフォーダンスの簡単な紹介をしていますね。 アフォーダンスは1980年代にAIの設計において注目されだしたらしいです。(現在ではアートやものづくりでは必ず使われる概念です。例えばヒューマンインタフェースの分野とか。) 人工知能におけるフレーム問題はデカルトから始まった従来の認知、知覚モデルをベースにしているため起こってしまうと

          佐々木正人『アフォーダンス』が意味分からん件について

          『認知的閉じ』について

          この記事では谷口 忠大先生の著書について紹介しています。 我々はなぜ階段を登れるのか、なぜ自転車に乗れるのか、なぜ犬と猫を区別できるのか。 もちろん、犬や猫を区別できるように、頭をパカっと開けて、犬と猫を認識できるように脳みそのニューロンをいじるなんてことはしないはずです。 成長と共に気づいたら学習しているはずです。 脳みそをいじらずとも、形や毛感触などを通して犬や猫がどういうものなのかを学習し、認識していくのです。 これらは感覚運動系(感覚器官、運動器官)を通してい

          『認知的閉じ』について

          自由エネルギー原理による認知モデル検討(準備)

          近年、生成AIモデルとヒトの認知を統合的に考えるコネクショニズムの研究が多く語られてきています。 その際、自由エネルギー原理の考えを導入していくことは、認知モデリングの大きな橋渡しになるのではないでしょうか。 今回は自由エネルギー原理を用いてヒトの認知(今回は推論と予測における視知覚)のモデルを考えていきたいと思います。 事前準備知覚と推論の研究の流れとしては、カントの認識論からはじまり、先天的な構造による認識の可能性を探求しました。これに影響を受けた新カント派、特にヘ

          自由エネルギー原理による認知モデル検討(準備)

          自然主義入門について

          💩 脱糞丸(38) :基本中立な司会ポジション。たまに辛口。ヒトではなさそう。 🤓 ナード君(21) :卑屈、毒舌、陰湿の3条件で検索すれば彼がヒットする。アジア人。 🐵 サル(5) :好奇心旺盛な猿。サルでも分かる事は誰でも分かる筈。ただ、彼のIQは108。 🌚 変態月(50) :思想強め。会話に割り込む癖がある。 💩 : 今回は「自然主義入門」という本をもとに自然主義の特徴についてみていきましょう。 🐵: 自然主義ってなんだ?? 💩: うーん、この質問がまた難

          自然主義入門について

          哲学者パースから考える仮説推論と人工知能

          近年、第三次AIブームにより、AIの発展が顕著になっており、(タンパク質構造の予測モデルや物理法則などの)科学の研究でさえAIが活用されている。しかし、そのどれもがビッグデータを用いた帰納的な処理によって成されており、科学のルールを一切踏まえず行われている。例えば、物理法則の発見では、物理学の知見を考えることなく、大量の物体観測データから法則を見つけ出している。 AIはヒトのような科学的思考法を行うことができるのかという疑問が出てくる。 そこで、ヒトの科学的思考法について整理

          哲学者パースから考える仮説推論と人工知能

          ミラーニューロンにおけるある問題

          ミラーニューロンシステムとはヒトの運動前野、一次運動野、頭頂葉で賦活します。機能としては他者意図理解の他に他者運動の模倣があります。ミラーニューロンの定義は自己が運動した時と、他者が同じ運動をするところを視覚入力を通して見た時活動します。運動前野の下部と上頭頂葉では運動の観察時や実行時よりも模倣課題中により強く検出されます。意図だけでなく、その行為の背景にある文脈も反映している可能性があるとされています(イアコボーニ2005)。 先行実験では、vogtの実験では、ギターのコ

          ミラーニューロンにおけるある問題

          AI アブダクション

          最近のディープラーニングの進歩により、人間のように考え行動する機械、すなわち人工知能の実現が間近に迫っているとの関心が再び高まっています。より大きく、より優れたニューラルネットワークを構築する道を歩むことで、人間の脳のデジタル版を作ることにどんどん近づけるという考え方だ。 しかし、これは神話だとコンピューター科学者のエリック・ラーソンは主張する。すべての証拠が、人間と機械の知能は根本的に異なることを示唆している。ラーソンの新著『人工知能の神話』(原題:The Myth of

          AI アブダクション

          デジタルアート市場とAIのジレンマ(短編)

          とある近未来、アートの敷居はますます低くなっていた。というのも、パレットやキャンバスを扱っていた昔とは違い、デジタル機器の電源を入れ、専用ゴーグルを着用すれば誰でも仮想空間上でアートを楽しむことができるからだ。デジタルアートは爆発的に普及していた。この時代のトレンドといえよう。とある大手デジタルアートプラットフォームを受け持つ企業Kでは、アート作品競技などをはじめ、多くのコンペを開催し、誰でも手軽に作品を出展できるようにした。コンペは数時間単位で行われており、1日で出展された

          デジタルアート市場とAIのジレンマ(短編)

          ヒトと動物の行動について

          心理学において「こころ」を生体の複雑な行動を支える内的過程と言った。 特に、高等動物では刺激と反応の中間において複雑な内的過程が存在する。 少し踏み込んだ言い方をすると、内外の環境から刺激情報を受け取り、神経系や脳の回路を経て、応答として行動を行う。ここで、刺激と反応の関係が直接的か間接的であるかを分ける事ができる。 すなわち、直接的行動か間接的行動である。 直接的行動では、脊髄などの下位の中枢で処理されるため、比較的短い神経回路のもと行動が成される。ちょうど梅干しを口に入

          ヒトと動物の行動について

          ワトソンと行動主義

          ヴントの内観主義に反対して、行動主義の主張を展開した人物こそワトソンである。 というのも、ワトソンは内観報告を主観的であると考えていたからだ。 確かに、被験者による言語報告の真意は、その場の環境や伝える相手などによって異なってくる筈だ。この相手は威圧感があるせいかハッキリと伝える事ができない、という具合にである。 もちろんこころの働きを知るための重要な手がかりではあることに間違いはない。 しかし、我々のこころの状態や働きそのものを伝える一次的な役割を十分に果たしているか

          ワトソンと行動主義

          内観法では困難な子どもの考察

          ヴントの心理学では主に被験者に内観報告を求めることで実証的データ得ていた。しかし、子どもの内観報告は大人のそれとは違い信用の置けるものではないとの理由により、20世紀半ばまでの間、発達研究ないし固体発生的研究は軽視されていた。現在ではそれらの研究も心理学の大きな分野の一つとして認識されつつある。そして、こころのさまざまな仕組みが明らかになっているのである。 例えば、1983年,kellmanとSpelkeによって行われた、馴化-脱馴化法を利用した有名な発達研究がある。(馴化

          内観法では困難な子どもの考察

          資本主義社会における神経症

          マックスウェーバーは 「自分が救済リストに載っているか不安なので、証が得たくて、神に calling(召命)された職業の、成功こそが救いの証だとして、神経症的に労働反復し、資本主義ができあがった」 と述べていましたが、これはウェーバーが自身の著書、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』にて、「カルヴァンの二重予定説」を基にした一つの考察でありました。 しかし、西欧の高度な資本主義社会の形成がカルビニズムによる神経症的不安からの反復行為によって成された、なんて少々納得

          資本主義社会における神経症