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「ザ・ビギニング・オブ・イワオトコ」


@Sheadcommander=サンに素敵なイラストを書いていただいたので、挿絵として採用しました。ユウジョウ!

「ゲームやろうよ」
「ロックマン」

「忍殺っぽく」
「近未来で緊急事態が発生した。自分は人類の支配者だと主張する科学者ワイリーがライト博士のロボットを奪い、世界征服を宣言したのだ。ライト博士は苦悩の末、お手伝いロボットを戦闘用に改造するが…」

「ハァーッ!ハァーッ!」安全ヘルメットめいた頭部のロボット、ガッツマンは何度も後ろを振り返りながら、採石場を走った。身体には無数の弾痕の跡。左手はほぼ千切れかけ、振り子めいて揺れている。「ハァーッ!ハァーッ!…畜生!」

ガッツマンはなおも走る。途中、足がもつれ、道端に墓標めいて置かれた雑魚メカの残骸を蹴り飛ばした。いつの間にか、彼は資材置き場に辿り着いていた。倉庫の壁には猫が指を刺すポスター。「ご安全に」。嘲笑うようだ。「奴は異常だ…狂ってやがる…」ガッツマンはブツブツと独りごちながら走る。

「イヤーッ!」「グワーッ!?」ガッツマンの身体に光弾が突き刺さる!千切れかけていた左腕が今度こそ完全に切断!「グワーッ!畜生!」バランスを崩したガッツマンは倒れこみ痛みに悶える!「イヤーッ!」「グワーッ!」今度は右足に光弾!足が大破!

追跡者はジゴクめいたスプリントで姿を現した。「世界平和重点!」冷たい瞳がガッツマンを見下ろす。鎧めいた青いボディーにヘルメット、口元には「岩」「男」のジゴクめいたメンポ。「ドーモ、ガッツマン=サン。ロックマンです」ロックマンはゆっくりとアイサツをした。

「ば、バカな…もうここまで…」ガッツマンの声は震えていた。「ロック…お前はただのお手伝いロボットのはず…」「お手伝いロボット?ロック?」ロックマンは小首を傾げた。「自分は戦闘用です。よって貴方を破壊します。世界平和重点!」「や、ヤメローッ!」「イヤーッ!」「アバーッ!」

ロックマンのロックバスターがガッツマンの頭部を貫いた。「サヨナラ!」ガッツマンはしめやかに爆発四散した。ロックマンはしばし残骸の中を漁り、「スゴイウデ」と書かれた武器チップを拾ってインストールした。「ドーモ、ロックマンです。ミッション完了な。次の破壊対象を…」

ロックマンは通信完了後、周囲を見渡した。偶然居合わせたメットールが後ずさる。「アイエエ…何も見てない!知らないよ!」ロックマンはツカツカと近づいた。「や、ヤメテ…」「世界平和重点!」「アバーッ!!」

『ザ・ビギニング・オブ・イワオトコ』終わり


(おまけ)
ドクロめいたワイリー要塞。その廊下を2人のロボットが歩いている。1人は頭にハサミを付け、もう1人は仮面舞踏会のマスクめいた飾りを付けていた。「ロックマンとかいう小虫がいきがっておるそうだな。エレキマン=サン」「そのようだ。カットマン=サン」

「破壊対象をリストにしてばら撒き、恐怖を煽って狩り立てるのだと。笑止な!」「だが、ガッツマン=サンも死んだという話だ。実際侮れぬのではないか?エレキマン=サン」「ふむ、先手を打つ必要があるかもしれんな。カットマン=サンこそ、警戒した方が良いのでは?」

カットマンは頭部のカッターを何度も開閉させた。「フフフ、来たところで防衛システムは完璧だ。俺の所に来た所でこのカッターの錆になるだけよ!ガッツマン=サンは心構えが足りなかったのだ。真のイクサのな」「頼もしいな。…む?待て、カットマン=サン」

2人の前には、いつの間にか黄色い巨大な人影が立っていた。「ドーモ、ご機嫌ようお二方」ワイリーの懐刀、イエローデビルである。「「ドーモ」」カットマンとエレキマンは無感情にアイサツを返した。「ガッツマン=サンが死んだとか。雑魚メカの損失も増えているな」イエローデビルは2人を見下ろす。

「イエローデビル=サン。今それについて話していた所だ。ロックマンとかいう小虫の話をな」「ほう!」イエローデビルは目を細めた。「では、ロックマンを狩る準備も?」「無論だ」エレキマンは言った。「実に楽しみだ。小虫に手こずるサンシタの居場所などワイリー軍団には無いからな!」

イエローデビルが2人に向けた眼光は、並のロボットなら爆発四散する迫力を持っていた。だが、カットマンとエレキマンもナンバーズだ。動じることは無い。去っていくイエローデビルの姿が完全に見えなくなったのち、エレキマンが口を開いた。「デクノボウめ…」

(おまけ)終わり

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