肩の上が痛む場合どの組織を疑うか

肩にはさまざまな筋肉や組織が付いているので疾患が多くそれらを精査し的確な治療が出来るようになることが必要だと感じています。
そこで肩シリーズとして今回は肩の上が痛むケースはこの二つを疑った方がいいよという記事を書いていきたいと思います。

結論 棘上筋・棘下筋・肩峰下滑液包を疑う

結論から言うと棘上筋・棘下筋と肩峰下滑液包が肩の上方の痛みに関係しているケースが多く存在します。

それでは詳細を解説していきます。

どこが痛むか?

まずは肩の上のあたりが痛いと言われた場合、どの筋肉や組織が痛みを発しているのかを明確にする必要があります。

肩の上が痛いと言われた場合に疑うべきなのは棘上筋・棘下筋と棘下筋と肩峰下滑液包であります。

まず動作や圧痛を確認して、スペシャルテストを行い痛みの出ている組織を絞っていきます。

棘上筋・棘下筋の場合

棘上筋と棘下筋は肩甲骨の関節窩に上腕骨頭を引き付ける役割を持ちます。

棘上筋の触診では棘上窩を触るのですが肩甲骨を他動的に内転させて棘上筋を触診した方が触れやすいです。停止部では肩峰下の陥凹で触診しますがここに圧痛がある場合は肩峰下滑液包炎の可能性もあるので鑑別が大切です。

圧痛を確認し(ある無しに関係なく)棘上筋・棘下筋のスペシャルテストを行いましょう。

棘上筋・棘下筋のスペシャルテストをイラストにしてわかりやすく解説していますのでこちらの記事を見てください。

肩峰下滑液包の場合

ビジブルボディより引用

肩峰下滑液包(SAB)は棘上筋と烏口肩峰下アーチの間にある滑液包で肩を挙上する際にかかるストレスの緩衝材となっています。

肩峰下滑液包は三角筋や肩峰に覆われているので触診は難しいのですが、肩峰下の圧痛とエコーなどで確認するのがいいでしょう。

肩峰下滑液包のスペシャルテストもこちらの記事に載っていますのでご覧ください。

なぜ痛むのか?

痛みを出している筋肉や組織がわかったら、どのような動作で痛むのかを運動学的に調べる必要があります。

どうしたら痛むか又は運動学的負荷が改善されないことには完全に治ったことにはなりません。なぜなら筋肉の柔軟性が改善し痛みがなくなったとしてもそこにかかる負荷を無くさないことにはまた痛みが再発してくるからです。

雨漏りしている家で溜まった水を永遠と取り除いているだけで屋根を直さない理論や浸水してきいる船で水だけ出して船底を直さない理論と一緒です。

まずは痛めた組織にどんなストレスがかかっていたのか、そしてなぜそのストレスがかかったのかを考えてみましょう。

棘上筋・棘下筋の場合

棘上筋・棘下筋に継続的なストレスが原因はなんのかと考えたときにこれらの2つの原因が挙げられます。先生方が見られている患者に当てはめてみてください。

①ローテーターカフの筋力低下

ローテーターカフの筋力が低下したり損傷することで肩甲骨の関節窩に上腕骨頭を引き付ける役割が破綻し元々不安定な肩関節はさらに不安定になり、肩甲上腕関節運動でインピンジメントが起こる可能性があります。

②IST muscleの筋力低下

肩甲骨と胸郭を繋いでいる筋肉をIST muscleと言いますが次の筋肉で構成されています。

僧帽筋、大・小菱形筋、前鋸筋、小胸筋これらの筋肉たちは肩甲骨を胸郭に引きつける役割を持ちます。ローテーターカフは上腕骨頭を肩甲骨関節窩に引きつけ、IST muscleは肩甲骨を胸郭に引きつけます。

IST muscleが筋力低下することで肩甲骨の安定性が低下し結果、肩関節運動の筋力は低下し挙上時のインピンジメントなどのストレスが加わります。

ローテーターカフや三角筋(肩甲上腕関節筋)とIST muscleどちらが筋力低下を起こしているかをMMT検査する。

まず座位で肩関節を挙上して筋力を測る。

次に肩甲骨を固定した状態で肩関節を挙上し筋力を測る(肩甲上腕関節筋のMMT検査)。

肩甲骨を固定した状態で筋力低下していれば肩甲上腕関節筋に問題あり。

筋力が上がるならIST muscleに問題あり。

肩峰下滑液包の場合

肩峰下滑液包に継続的なストレスが原因はなんのかと考えたときにこれらの2つの原因が挙げられます。先生方が見られている患者に当てはめてみてください。

①肩関節上方の軟部組織の拘縮

肩関節上方の軟部組織が拘縮することで上腕骨頭が上方に引き上げられ、肩関節挙上時に起こる上腕骨頭の転がり滑り運動を阻害することになり肩峰下インピンジメントが生じると肩峰下滑液包や棘上筋・棘下筋に損傷が起こりやすくなります。

肩関節上方の軟部組織が拘縮は肩関節の内転制限を引き起こします。これを利用してどこら辺の組織が拘縮しているかを見つけます。

背臥位で片方の手で肩甲骨上方回旋位に保持し、もう一方の手で上腕を内転させます。

この際に上腕内旋位で制限があれば後上方の軟部組織拘縮、外旋位で制限があれば前上方の軟部組織の拘縮が疑われる。

②IST muscleの筋力低下

肩甲骨と胸郭を繋いでいる筋肉をIST muscleと言いますが次の筋肉で構成されています。

僧帽筋、大・小菱形筋、前鋸筋、小胸筋これらの筋肉たちは肩甲骨を胸郭に引きつける役割を持ちます。ローテーターカフは上腕骨頭を肩甲骨関節窩に引きつけ、IST muscleは肩甲骨を胸郭に引きつけます。

IST muscleが筋力低下することで肩甲骨の安定性が低下し結果、肩関節運動の筋力は低下し挙上時の肩峰下インピンジメントが起こり肩峰下滑液包にストレスが加わります。

最後にまとめ

肩の上が痛いケースのほとんどが2つに分けられ、そこからそれぞれの問題を解決していくというのが検査から治療までの流れになります。

肩だけではなく他の疾患でもこのような流れで解決していきたいですね!

・肩の上が痛いケースは棘上筋・棘下筋そして肩峰下滑液包を疑う

・棘上筋・棘下筋はローテーターカフの筋力低下とIST muscleの筋力低下を疑う

・肩峰下滑液包は肩関節上方の軟部組織の拘縮とIST muscleの筋力低下を疑う

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