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外側上顆炎(テニス肘)が改善しない患者で考えるべき治療戦略

上腕骨外側上顆炎は「テニス肘」と呼ばれ、主に短橈側手根伸筋(ECRB)の微小断裂が原因です。40歳以上の人に多く見られ、組織の変性やECRBへのストレスが原因と考えられています。
テニス肘と診断されてなかなか良くならない患者さんいますよね。ECRBが主な原因であることが多いですが、改善しない患者の中には他の原因も併発していることがありますのでそのような患者をお抱えの先生はぜひご覧ください!

病態と鑑別すべき疾患

上腕骨外側上顆炎は、主にECRBという筋肉の微小断裂が原因とされていますが、痛みの原因がECRB以外の場合もあるため、診断と治療では慎重に観察することが大切です。次の評価表をみながらテストをしていくと痛みを出している組織を割り出すことができます。

外側上顆炎の原因評価表

ご自由にお使いください

治療のポイント

  • ストレッチング: 短橈側手根伸筋や総指伸筋のストレッチングが推奨されますが、外側側副靭帯複合体(LCL complex)の柔軟性を改善することも治療の成功に繋がります。

  • 「短橈側手根伸筋(ECRB)のストレッチ」肘関節伸展,前腕回内,手関節学尺屈のストレッチングを行う。起始部に牽引ストレスが入らないように、すぐ遠位をブロックする。外側上顆からリスター結節のすぐ橈側を通過し、第3中手骨底に付着する腱の走行を意識する。

  • 「総指伸筋(EDC)のストレッチ」外側上顆からまっすぐ手指方向に走行するEDCをストレッチングする(手指屈曲、手関節掌屈)。解割学的に外側上顆に付着する中指の線維や短橈側手根伸筋とより強い連結をもつ示指の繊維を中心に行う。

  • 「①LCL complexのストレッチング」LCLとLUCLの伸張には異なる肘の位置が必要です。LCLの前方部はやや伸展位で伸張し、LUCLや後方部は屈曲位で内反・前腕回内操作を行います。肘の内反操作時には上腕骨が内旋しないように固定することが重要です。

  • 「②LCL complexのストレッチング」橈骨頭を屈側から外側へ押し出し、前腕回内と肘関節の内反操作で輪状靱帯とLCLを伸張します。橈骨頭を局所的に強く押しすぎると、圧迫部の疼痛を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

結論

上腕骨外側上顆炎の治療には、病状に合った正確な診断と個別の治療方法が重要です。ストレッチングやLCL complexの柔軟性を高める物理療法、さらには適切なツールを使った評価が必要です。

参考文献

整形外科運動療法ナビゲーション 上肢・体幹


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